アトラスバイオメッド、プロバイオティクス・サプリメントの効果と腸疾患との関連性に関する考察レポートを発表

アトラス日本合同会社のプレスリリース

パーソナライズドヘルスソリューションを提供する、アトラスバイオメッド(本社:英国 ロンドン、CEO:セルゲイ・ムシエンコ、子会社:アトラス⽇本合同会社(住所:東京都渋谷区、代表者:セルゲイ・ミュシエンコ、以下 アトラスジャパン<https://atlasbiomed.co.jp/>は、アトラスバイオに所属し、人と微生物の関係を研究しているロス・カーヴァー・カーターが12月24日に執筆した「プロバイオティクス・サプリメントに関するレポート<https://atlasbiomed.com/blog/probiotic-supplements-evidence/>」の抄訳を発表しました。

現在、腸内環境の改善を期待して生きた培養物を含むプロバイオティクスのサプリメントの人気が高まっており、カプセルや飲料を摂取する人が増えています。カーターは、このレポートでプロバイオティクスの定義、プロバイオティクス・サプリメントの効果を裏付ける調査結果を紹介しています。

プロバイオティクスの定義
プロバイオティクスは、健康に効果がある生きた細菌です。大腸内に存在し、有害または病原性の細菌が腸に定着するのを防ぐ「人にやさしい」細菌として知られています。プロバイオティクスは、免疫システムをサポートし、腸壁を強化し、炎症を抑えることが知られている酪酸などの短鎖脂肪酸を生成することができます。この細菌はケフィア、キムチ、ザワークラウトなどの生きた発酵食品や、栄養補助食品に含まれています。

近年、腸内細菌叢のバランスを整えるためにプロバイオティクスのサプリメントが人気を集めており、カプセルや液体の生きた培養物を摂取する人が増えています。しかし、プロバイオティクス・サプリメントの効果については疑問視する声もあります。<https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2020.00160/full>

サプリメントを摂取すると生きた培養物が腸に届くのか、そもそもサプリメントの中に十分な量の生きた細菌が含まれているのかは明確でないというのが事実です。

バクテリアの分類
すべてのプロバイオティクス・サプリメントが同じように作られているわけではありません。有益な細菌の株や種は、特に抗生物質関連下痢、旅行者下痢症、潰瘍性大腸炎、クロストリジウム・ディフィシル病(正常な腸内細菌叢が損なわれて、増殖したクロストリジウム-ディフィシルが毒素を産生し、下痢などの症状を発症)と潰瘍性大腸炎による膨満感、便秘やガスなどの消化器症状の治療に役立つことを示唆する証拠が多数存在します。
最もよく研究されているプロバイオティクスは、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母、そしてフルーツ酵母の一種、サッカロマイセス・ブラウディです。ただし、ある属のある株が健康によいからといって、同じ属のすべてのプロバイオティクスが同じように効果があるとは限りません。

プロバイオティクスの安全性とプロバイオティクス菌の種類
プロバイオティクスは、健康な人にとっては安全と考えられていますが、サプリメントを摂取する前に、医師に相談することをお勧めします。無作為化対照試験における有害性の報告を検索したところ、研究者の中には、「多くの研究で副作用に関する議論が不十分または不充分である」や、「プロバイオティクスが抗生物質耐性遺伝子を病原体に移す可能性がある」と結論づけています。
免疫不全の人、腸が短い人、重い基礎疾患を患っている人など、副作用のリスクが高い人もいます。乳幼児は、プロバイオティクスによる副作用を発症するリスクが高くなります。これらのカテゴリーに属する人は、医療専門家が推奨しない限りサプリメントを摂取するべきではありません。

抗生物質関連下痢症
健康な腸内フローラは、豊富で多様性に富み、病原性のある種から身を守るためにバランスよく多様な細菌を含んでいます。腸内フローラは、生活習慣、食事、抗生物質などの薬剤に影響を受ける、ダイナミックな生態系です。腸内細菌の組成や多様性には様々な要因が影響しますが、特に食生活の乱れや抗生物質による影響が大きいと言われています。
抗生物質を服用すると、有益な細菌と日和見菌の区別がつかなくなります。混み合った微生物の街で手榴弾が鳴り響くようなものだと考えてください。有益な細菌が失われると、下痢を引き起こし、空いたスペースにクロストリジウム・ディフィシル菌などの腸内細菌が住み着いてしまう可能性があるのです。プロバイオティクスのいくつかの種が、抗生物質関連下痢症を最小限に抑えるのに役立つという、有望な証拠がいくつかあります。プロバイオティクスは、抗生物質投与後に腸内を再コロニー化してバランスを取り戻し、空いたスペースを確保して日和見菌が住み着くのを防ぐと考えられています。
11,811人を対象とした分析では、プロバイオティクスの使用と抗生物質関連下痢症の減少との間に統計的に有意な関連があることが明らかになりました。別のメタ研究(複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること)<https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16635227/>では、生きたまま腸に届く乳酸菌ラクトバチルスGG株は、抗生物質関連下痢症の発症を有意に減少させることが示されました。どの菌株と用量が最も効果的であるかを決定するために、さらなる研究が必要ですが、乳酸菌の一種であるラクトバチルス菌とフルーツ酵母であるサッカロマイセス・ブラウディのいくつかの株は、抗生物質関連下痢症を予防したり、その期間を短縮する能力において、初期に有望であることを示しています。

クロストリジウム・ディフィシル関連下痢症
抗生物質は大腸内の微生物群集を大きく変化させ、この内部の生態系のバランスを崩す可能性があります。そうなると、正常な腸内細菌叢が損なわれて、増殖したクロストリジウム-ディフィシルが毒素を産生し、下痢などの合併症を引き起こす可能性があります。この下痢症は、抗生物質を長期間服用している人、ひいては高齢者に多く見られます。これまでの研究で、一部のプロバイオティクスがクロストリジウム・ディフィシル関連下痢症に関連した下痢に対して有効である可能性があることが示されています。
例えば、25の無作為化比較試験で3000人以上の被験者を対象としたあるメタ研究では、サッカロマイセス・ブラウディはクロストリジウム・ディフィシル関連下痢症の発症を抑えるのに有効であることが示されています。同様に、31の無作為化比較試験と8672人の患者を対象とした別のレビューでは、研究者はプロバイオティクスがクロストリジウム・ディフィシル関連下痢症の予防に効果的である可能性があると結論付けています。プロバイオティクスを抗生物質と一緒に摂取した場合、クロストリジウム・ディフィシル関連下痢症の発症リスクが60%も減少することが示唆されています<https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0002927099008096>

過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、消化器系に影響を及ぼす疾患です。症状には腹部膨満感、腹痛、便秘、下痢などがあり、時間の経過とともに変化することがあります。原因は不明ですが、この疾患は腸内フローラの異常と関連していると言われています<https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31473156/>。現在までに、いくつかのプロバイオティクス菌株がこの衰弱した疾患の症状を緩和することができるかもしれないことを示唆する研究がなされています。
まず、122人を対象とした無作為化比較試験<https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21418261/> において、プロバイオティクスのビフィズス菌MIMBb75は、生活の質と痛み、膨満感、切迫感を含む過敏性腸症候群症状の両方を有意に改善することが示されました。さらに、このプロバイオティクスは忍容性が高く、有害事象はプラセボ群とかわりませんでした。
11の無作為化比較試験をスクリーニングした分析結果<https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6769995/>では、一部の過敏性腸症候群症状の治療に有効であることを示すエビデンスが見出されました。この研究のうち、7つの研究では、プロバイオティクスを補充することで、プラセボ群と比較して過敏性腸症候群症状が有意に改善されることが明らかになり、残りの4つの研究では、プロバイオティクスを補給しても有意な改善は見られませんでした。
多菌種プロバイオティクスを用いた研究のうち1件を除いてすべてで改善が認められたのに対し、単菌種プロバイオティクスを用いた研究ではすべてプラセボ群との差が認められませんでした<https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2020.00332/full>。このことから、過敏性腸症候群の治療には、単菌のものよりも多菌のプロバイオティクスがより効果的であることが示唆されます。しかし、昨年発表された別の分析では<https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2020.00332/full>、これとは正反対の結果が示されており、過敏性腸症候群患者には、より高用量の単菌プロバイオティクスがより適しているようだと指摘されています。
要約すると、プロバイオティクスが過敏性腸症候群の症状を緩和し、個人の過敏性腸症候群管理に役立つという説得力のある証拠がある。にもかかわらず、プロバイオティクスは単一菌株と複数菌株のどちらがより効果的か、どの用量/期間で最良の結果が得られるか、過敏性腸症候群患者にとってどの菌株が最良の選択肢であるかは、まだ明らかになっていません。

旅行者下痢症
旅行者下痢症は、外国、特に発展途上国に行った人がよく経験する消化器系の病気です。多くの場合、汚染された食物や水による細菌感染によって引き起こされます。他の疾患と比較すると、旅行者下痢症に関連するプロバイオティクスに関する試験の数は少ないのですが、2007年、12の無作為化比較試験を対象としたメタ分析で、いくつかのプロバイオティクス(サッカロマイセス・ブラウディ/ラクトバチルス菌/ビフィズス菌の一種ビフィドバクテリウム・ビフィドゥムの混合物)が旅行者下痢症の発症を有意に予防することが明らかになりました。
試験中、重篤な副作用は報告されませんでした。しかし2017年にThe International Society of Travel Medicineは、旅行者の下痢の治療に関するガイドラインを発表しました。プロバイオティクスに関するエビデンスを検討した結果、旅行者下痢症の予防や治療において市販のプロバイオティクスを推奨するには研究が不十分であると結論づけました。この判断の理由として、研究によって投与量、菌株、地理的な目的地にばらつきがあることを挙げています。

“プレ”バイオティクスと“プロ”バイオティクス
プロバイオティクスのサプリメントは万能薬ではありませんし、プロバイオティクスが含まれる飲料を飲めば腸の健康が「改善する」わけでもありません。実際、プロバイオティクスとプレバイオティクスを豊富に含む食事をするだけで、サプリメントを摂取しなくても腸の健康を最適化することができるのです。プレバイオティクス食品には、アーティチョーク、豆類、植物性繊維などがあり、プロバイオティクス食品には、キムチ、昆布茶、ケフィア、味噌、ザワークラウトなどの発酵食品などがあります。

特定の疾患を持つ人はサプリメントが有効かもしれませんが、アトラスバイオメッドは腸内細菌の多様化につながる植物性食物繊維を増やすことを強く推奨しています。健康的でバランスのとれた食事をとることで善玉菌を育てることにつながります。

まとめ
特定のプロバイオティクス株が過敏性腸症候群の症状や感染性下痢症の治療に役立つとする研究は存在するものの、その情報は現時点で決定的な結論を出すほど十分ではありません。また、プロバイオティクス株の種類、用量、混合製品が最も効果的なのかといった明確なコンセンサスは得られていません。サプリメントではなく、食生活の改善を通じてプロバイオティクスを増やすことをお勧めします。

<注意>この考察は情報提供のみを目的としたものです。
専門的な医学的アドバイス、診断、治療を行うことを意図したものではなく、またその代わりとなるものでもありません。

アトラスバイオメッドのアトラス腸内フローラ検査とレポートを活用すると、自分の腸内フローラの状態を可視化できるため、将来的な疾患リスクがわかり、プロバイオティクスを摂取するべきかがわかります。

 「アトラス遺伝子検査」
ユーザーの唾液サンプルから遺伝⼦データを解析・解釈・可視化します。予防・改善可能な疾患発症リスクにフォーカスした検査です。この検査によって2型糖尿病、クローン病、パーキンソン病などの13の多因⼦疾患発症リスクを評価するとともに個⼈特性・形質を判定します。科学的根拠に基づいたパーソナライズされた健康増進アドバイスを提供します。

「アトラス腸内フローラ検査」
ユーザーの糞便サンプルから微⽣物遺伝子を解析、解釈、可視化します。この検査でユーザーの腸内フローラの酪酸・ビタミン合成能⼒、⾷物繊維の分解能⼒、腸内フローラの多様性、プロバイオティクスと善⽟菌の状態を評価します。さらに2型糖尿病、クローン病などの5の疾患の発症リスクから腸内フローラがどの程度保護してくれているかを評価します。さらに腸内フローラのタイプを判定し、検査結果を基に、パーソナライズされた⾷事に関するアドバイスを提供します。

ユーザーの唾液、糞便サンプルはアトラスバイオメッドに送られ、分析されます。Atlas検査を受けたユーザーは、アトラスバイオメッドがオンラインで提供するパーソナルアカウントにアクセスし、検査結果、健康状態の改善に結びつくことが科学的に証明されているパーソナライズされたアドバイスやお勧めの食品を確認することができます。

アトラスバイオメッドについて
アトラスバイオメッドは、2016年にイギリスで設立されたパーソナライズドヘルス企業です。遺伝子および腸内フローラ領域の最先端技術と、ユーザーの遺伝子、腸内フローラ、ライフスタイルデータを組み合わせることで、健康状態を多面的に把握します。それらをもとにパーソナライズされたアドバイスを提供し、健康に関する意識向上及びデータに基づいた意思決定を支援します。
アトラスバイオメッドの検査キットは、英国、欧州16か国、ロシア、そして日本で提供しています。アトラス合同会社はアトラスバイオメッドの日本の子会社です。

 

 

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