トルラ酵母(Candida utilis)由来食物繊維摂取による食後血糖値上昇抑制効果を臨床試験にて確認

三菱商事ライフサイエンスのプレスリリース

三菱商事ライフサイエンス株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:藤木 洋) では、発酵技術を利用した食品素材の健康機能に関する研究開発を進めています。このたび、当社が開発中のトルラ酵母由来食物繊維を摂取することで、空腹時血糖値が高めの方、血糖値が上がりやすい方の食後血糖値の上昇が抑制されることが明らかとなりました。本研究成果は、2021年11月発行の「薬理と治療」誌に掲載されました。

■発表のポイント

  • トルラ酵母由来食物繊維の摂取が成人男女の食後血糖値に及ぼす影響を検証するために臨床試験を実施した。
  • 「空腹時血糖値が高めの被験者」、「血糖値が上がりやすい被験者」を対象とした層別解析において、本素材を摂取することで食後血糖値の上昇が有意に抑制されることが認められた。

■発表概要
現代の高度に加工されたカロリーの高い食事は、肥満や運動不足と相まって、食後の血糖値や血中中性脂肪値の過大な上昇をもたらし、糖尿病や動脈硬化など多くの生活習慣病を引き起こす原因となっています。血糖値の急激な上昇、いわゆる血糖値スパイクが糖尿病の発症を促進することが知られており、食後の血糖値を下げることは、糖尿病への進行を抑制するためにも重要であると考えられています。トルラ酵母は長い食経験を有する「たんぱく質」と「食物繊維」を高含有する食品素材で、今までの我々の研究において、細胞壁分解酵素処理を施したトルラ酵母由来食物繊維(TPF)が食後血中中性脂肪値の上昇を抑制する効果を有することを見出してきました。

今回、新たにTPFが食後血糖値の上昇を抑制する効果を有するかを検証することを目的として、健常成人30名を対象とした臨床試験(ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験)を実施しました。200gの白米と800mgのTPFを溶解した水を被験者に摂取していただき、摂取前と摂取15, 30, 45, 60, 90, 120分後の血糖値の測定を行いました。その結果、空腹時血糖値が高めの被験者(注1)を対象とした層別解析において、TPFを摂取した群はTPFを摂取しなかった群(プラセボ群)に対して、摂取後60および90分後の血糖値の有意な上昇抑制とAUC(注2)値の低下が認められました(図1)。また、血糖値が上がりやすい被験者(注3)を用いた解析では、TPFの摂取はプラセボと比較して、45, 60, 120分後における有意な血糖値の上昇抑制効果および、AUC値の低下が確認されました(図2)。

TPFの摂取は、我々の先行研究において、食後血中中性脂肪値の上昇抑制効果も有することが見いだされていることから(注4)、機能性表示食品素材としての開発を進めていきます。
 

 

注1) スクリーニング時の空腹時血糖値が正常高値+境界域(100mg/dL≦グルコース<126mg/dL)の被験者を「空腹時血糖値が高めの被験者」と定義した
注2) AUC(area under the curve):摂取後0~120min.の⊿BS(注2)値の総面積。台形法にて算出。⊿BS=(各採血時間における血糖値)-(白米摂取前の血糖値)
注3) プラセボ摂取時の糖負荷後の血糖値の最大変化量(Cmax)の中央値(75mg/dL)を用いて、被験者を「血糖値が上がりやすい被験者」と「血糖値が上がりにくい被験者」の2群に層別。Cmaxが中央値以上の被験者を「血糖が上がりやすい被験者」と定義した
注4) 薬理と治療 48, 5, 811-826(2020)

■発表論文
Sakurai T, Fukuda Y, Shigekawa A, Iwahashi S, Kitahara C, Yokoi Y, Kaneko T, Katsumata T. Suppressive Effect of Water-soluble Dietary Fiber from Candida utilis on Postprandial Blood Glucose Level -Randomized, Double-blind, Placebo-controlled, Crossover Study- 薬理と治療, 49, 11, 1903-1911(2021)

 
■​このリリースに関するお問い合わせ先
三菱商事ライフサイエンス株式会社
問い合わせ先窓口:Mail:prgroup_mcls@mcls-ltd.com

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