資生堂 江川麻里子主任研究員 令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰で科学技術賞(研究部門)を受賞

株式会社資生堂のプレスリリース

 資生堂 みらい開発研究所 江川麻里子主任研究員(公益社団法人 日本分光学会推薦)が、「令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において、「科学技術賞(研究部門)」を受賞しました。本賞は、日本の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い、独創的な研究や開発を行った者に対し贈られる賞です。本賞の受賞者の発表は4月8日に行われ、4月20日には末松文部科学大臣出席のもと、表彰式が催されました。

《受賞業績の概要》
<受賞業績名>
近赤外およびラマン分光法によるヒト皮膚成分分布解析の研究
<受賞者>

資生堂 みらい開発研究所 江川麻里子主任研究員
<内容>
3つの分光技術(「近赤外分光イメージング」、「自発ラマン分光法」、「非線形ラマン分光法」)により、皮膚切片を特殊な薬剤等により処理する必要のあった従来の技術では観察が難しかった、「生きたまま」の状態の皮膚の構成成分の分布とその変化挙動を、非侵襲的に評価することを可能にしました。これにより、水・タンパク質・脂質などの皮膚成分の外部環境応答や、皮膚の新陳代謝に関係する表皮の分化の詳細な過程を、可視化することに初めて成功しました。これらの知見は、皮膚科学の新たな基礎知見として、当社の商品開発へ応用しているほか、多数の学術発表を行うことで、日本、そして世界の科学技術の発展に大きく貢献しています。

《江川麻里子 主任研究員のコメント》
 この度は科学技術賞(研究部門)を受賞することができ、大変光栄です。この場をかりて、推薦機関である日本分光学会はじめ、研究を支援くださった方々に深く感謝いたします。今回の研究業績は、分光法を非侵襲での皮膚の計測や評価法へ応用し、“美容、健康、医療”の全ての土台となる皮膚科学の新たな知見を生み出し、産学両分野に貢献しています。皮膚の状態は心身ともつながっています。今後も、人々が健やかに幸せに生活できる社会の実現のために、分野横断的な視点で研究を進め、科学技術の発展に貢献してまいります。

《受賞に関連した3つの分光技術》
【近赤外分光イメージング】
水の検出感度が高い近赤外分光法に基づく技術で、顔面の水分分布などの可視化を可能にしました。(図1)
【自発ラマン分光法】
水に加えてタンパク質・脂質・アミノ酸など皮膚成分に特有の多くの官能基を検出できる技術で、皮膚における水やアミノ酸などの構成成分の深さ方向の分布解明に活用しました。
【非線形ラマン分光法】
自発ラマン分光法の1000倍程度の高速イメージングが可能な技術で、皮膚における水・タンパク質・脂質の3次元分布の可視化を可能にしました。(図2)

関連する論文
(1) Egawa M et al, Visualization of Water Distribution in the Facial Epidermal Layers of Skin Using High-Sensitivity Near-Infrared (NIR) Imaging. Appl Spectrosc. 2015 Apr;69(4):481-7.
(2) Egawa M et al. Label-free stimulated Raman scattering microscopy visualizes changes in intracellular morphology during human epidermal keratinocyte differentiation. Sci Rep. 2019 Aug 29;9(1):12601.
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