ベクルリー(R)、 欧州臨床微生物学・感染症学会(ECCMID)2022にてCOVID-19治療における試験結果を発表

ギリアド・サイエンシズのプレスリリース

ベクルリー(R)(レムデシビル)について、 欧州臨床微生物学・感染症学会(ECCMID2022にてCOVID-19治療における活性を示す複数の試験結果を発表

85万人以上の入院患者さんのリアルワールドエビデンスから、COVID-19標準治療薬としてのベクルリー(R)(レムデシビル)の臨床的知見を提供

IIIPINETREE試験の新たな事後解析から、発症5日以内にベクルリー治療を開始した COVID-19非入院患者さんにおいて入院リスクを90%軽減

 

ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は4月24日、入院および非入院のCOVID-19患者さんにおけるベクルリー治療について、2つの新たな試験結果を発表しました。1つ目は、Premier Healthcare社から得られた全米853,219人のCOVID-19入院患者さんにおけるリアルワールドデータの後ろ向き観察分析です。本分析から、50%以上のCOVID-19入院患者さんには主に、他の治療薬との併用においてベクルリーが投与されていたことが分かりました。このリアルワールドデータの分析結果は、欧州臨床微生物学・感染症学会議(ECCMID 2022)において、4月25日午前11時(西ヨーロッパ夏時間)にHall Pで口演発表される予定です。2つ目の第III相PINETREE試験の新たな事後解析では、症状の発症から5日以内または5日から7日の間にベクルリーを投与された重症化リスクの高いCOVID-19患者さんにおいて、入院リスクの軽減が確認されました。この事後解析結果は、ECCMIDのポスターセッション(#L 0447)で発表されました。

 

リアルワールドデータの観察分析では、パンデミックが拡大していた2020年5月から2021年12月の間、入院期間2日以内にベクルリーの投与を開始した患者さんが41%から91%に増加したことが明らかになりました。この期間中、新たな変異株が発生し、疾患の重症度が変化する中、入院期間(LOS)の中央値が7日から6日に短縮し、特に侵襲的機械換気/ECMOを必要とする患者さんにおいて最もメリットをもたらしました(LOSが15日から11日に短縮)。ICUでの管理が必要な患者さんにおいては、34%から27%に減少し、特に高流量酸素療法または非侵襲的換気療法を受けた患者さんに最もメリットをもたらしました(66%から52%に軽減)。一方で、全体のICUにおけるLOSに変化はありませんでした。全患者集団における死亡率は16%で変化はありませんでしたが、低流量酸素療法を受けた患者さんにおいて最も死亡率の低下がみられました(15%から12%)。これらの結果は、COVID-19による入院患者さんに対する基礎治療としてのベクルリーのポジションを裏付けており、COVID-19が重症化する前の早期治療の必要性を示しています。

 

ベイラー大学メディカルセンター、ベイラー・スコット&ホワイト研究所のロバート・ゴットリーブ医学博士(Robert L. Gottlieb, MD, PhD)は次のように述べています。「パンデミックにおいて、最も効果的な治療選択肢を見つける上で、リアルワールド解析は、治療選択肢が時を経てどのように進化してきたかを理解するのに重要な役割を果たしています。長年の研究から、抗ウイルス薬をできるだけ早期に、遅滞なく投与することにより、呼吸器系ウイルスに最適な効果を示すことが分かっています。今回のデータから、現在、より早期に入院患者さんに対して抗ウイルス療法が開始され、パンデミックの期間を通して、レムデシビルがCOVID-19入院患者さんに対する基礎治療であり続けていることが確認されました。さらに、COVID-19治療における医療従事者の経験と自信が高まるにつれ、エビデンスに基づく治療法の組み入れを段階的に反映して、併用療法の使用も増えています」

 

ECCMID 2022では、第III相二重盲検プラセボ対照試験(PINETREE)の新たな事後解析において、3日間のベクルリー投与により入院リスクが有意に軽減したことも発表されました。本解析では、症状の発症時間とベースラインのリスク因子の数に基づく、ベクルリーの治療効果の変動性を評価しました。本解析で、症状発症から7日以内にベクルリーを投与された重症化リスクの高い患者さんにおいて、入院リスクの軽減が認められました。抗ウイルス療法で予想されるように、ベクルリーをより早期に投与することにより、さらに高い結果を示し、症状発症から5日以内にベクルリーを投与された患者さんにおいて入院リスクが90%軽減しました。さらに、症状発症から5日目以降にベクルリーを投与された患者さんでは、入院リスクが81%低下しました。この新たな解析は、ベクルリー(0.7%[2/279])が、プラセボ(5.3%[15/283]、p=0.008)と比較して、28日目までにCOVID-19に起因する入院または全死亡率を、統計学的に有意に87%低下させたことを示す、過去に発表された複合主要評価項目解析結果を強化するものです。いずれの群においても、主要評価項目での死亡は認められませんでした。

 

ギリアドのシニアバイスプレジデントでウイルス治療領域責任者のフランク・ダフ(Frank Duff)は次のように述べています。「ECCMIDで発表されたデータは、COVID-19入院患者さんに対する抗ウイルス標準治療としてのベクルリーの位置付けを明らかにしただけでなく、症状発症後7日以内にベクルリーの投与を開始した患者さんにおいて治療効果を得られ、その効果は投与が早ければ早いほど高いことが示されました。パンデミックが拡大し、新たな変異株に対する他の治療薬の有用性が変化する中、ベクルリーがCOVID-19入院患者さんの基礎治療であり続けていることをうれしく思います」

 

ギリアドは、ECCMIDにおいて、さらにCOVID-19の臨床試験とリアルワールドエビデンスプログラムの2つの試験結果を発表しました。

 

・CARAVAN試験のデータでは、生後28日以上の小児患者さんにおけるベクルリー投与の安全性、薬物動態、ウイルス学的および臨床転帰を評価しました。生後28日から18歳未満の小児のCOVID-19入院患者さんを対象としたベクルリーの中間解析では、ベクルリーの忍容性はおおむね良好であり、臨床的改善および回復を示した患者さんの割合が高いことが示されました。全体として、ベクルリーの新たな安全性に関する所見は認められませんでした。本試験では、10日目および最終評価時にそれぞれ75%および85%が臨床的改善(順序尺度で2点以上の改善)を示し、それぞれ60%と83%が、10日目と30日目までに退院しました。全体で38例(72%)に有害事象(AEs)が発現しました。試験登録前からの患者さんの基礎疾患または入院中に起こったCOVID-19に起因する3件の死亡例を含め、11例(21%)に治験薬とは関連がないと判断された重篤な有害事象(SAEs)が発現しました。

・リアルワールドエビデンス解析では、過去に腎移植を受けたCOVID-19入院患者さん2,310例のデータが評価されました。解析の結果、この患者集団における全死亡率は、COVID-19により入院した一般患者集団と同等でしたが、腎機能低下、併存疾患または入院時より高い酸素必要量の患者さんにおいて顕著に増加しました。この試験結果は、腎臓移植患者さんおよび他の固形臓器移植患者さんの管理における臨床上の意思決定に役立ちます。

 

ベクルリーについて

ベクルリー(レムデシビル)は、ギリアドの10年以上にわたる抗ウイルス研究の成果を基に創薬されたヌクレオチド誘導体です。ベクルリーは、COVID-19による入院患者さんの基礎治療として使われる抗ウイルス薬で、進行リスクが高い非入院患者さんの疾患進行を抑制する治療として推奨されています。ベクルリーは確立された安全性プロファイルを示し、幅広い集団において最小限の薬物相互作用を有しています。これまでに、米国においてCOVID-19で入院している患者さんの半数以上がベクルリーによる治療を受けています。ベクルリーは、重症度に関わらず、疾患の進行を抑制し、入院患者さんの早期回復を可能にすることで、病院の限られたリソースの確保と医療システムのコスト削減に貢献しています。

 

ベクルリーは、成人および12歳以上で体重40kg以上の小児患者さんの入院を要するCOVID-19の治療薬として、2020年10月に米国食品医薬品局(FDA)により承認されました。FDAは、入院または死亡を含むCOVID-19重症化リスクの高い非入院成人および青年患者さんの治療薬として、ベクルリーの医薬品承認事項変更申請(sNDA)を2022年1月に承認しました。この適応拡大により、要件を満たす外来施設でのベクルリーの3日間連続の静脈投与(IV)が可能となりました。また、ベクルリーは、入院を必要とするCOVID-19患者さんに加え、非入院小児患者さんのうち、体重3.5 kg以上で12歳未満、あるいは体重40kg未満で疾患の進行リスクが高い患者さんへの緊急使用許可(EUA)を取得しました。ベクルリーは、同製剤またはその成分に対してアレルギーのある患者さんには禁忌です。ベクルリーに関するその他の重要な安全性情報については、以下を参照してください。

 

ベクルリーは変異するSARS-CoV2に対し、持続的な効果を示しています。ベクルリーは、SARS-CoV-2ウイルスのRNAポリメラーゼを標的とすることにより、細胞内でのウイルスの複製を直接阻害するヌクレオチド類似体です。複数のin vitro試験において、ベクルリーは、オミクロン変異株やその亜変異株であるBA .1およびBA .2を含むSARS-CoV-2ウイルスに対し、持続的な活性を示しています。世界中で新たに懸念されるSARS-CoV-2変異株が出現している中、ギリアドはウイルス変異株に対するベクルリーの有効性を継続的に評価していきます。

 

ベクルリーは、世界約50カ国で承認、または緊急使用が認められています。現在までにベクルリーおよびジェネリック薬のレムデシビルは、ボランタリー・ライセンスを通じて提供された127の低中所得国における700万人以上の患者さんを含め、世界で1,100万人以上の患者さんに提供されています。これらのボランタリー・ライセンスは、レムデシビルへの幅広い患者アクセスを可能にするというギリアドのコミットメントを反映し、ロイヤリティ・フリーで提供されています。

 

米国でのベクルリーの適応症

米国におけるベクルリー(R)(レムデシビル100 mg注射剤)の適応症は、SARS-CoV-2ウイルス検査の結果が陽性であった、次の成人および小児(年齢12歳以上で体重40 kg以上)患者さんに対するCOVID-19治療となります。

・入院している

・あるいは、入院しておらず、軽症から中等症のCOVID-19であり、入院や死亡を含むCOVID-19重症化リスクが高い

 

ベクルリーは、必ず医療従事者が重度のインフュージョンリアクションや過敏性反応(アナフィラキシーなど)を迅速に治療でき、必要に応じて緊急医療システム(EMS)を行える環境で投与してください。ベクルリーは必ず静脈投与してください。ベクルリーは同製剤またはその成分に対してアレルギーのある患者さんには禁忌です。詳細については、www.gilead.comに掲載されている米国の添付文書(完全版)をご覧ください。

 

米国におけるベクルリーに関する重要な安全性情報

 

禁忌

ベクルリー製剤またはそのいずれかの成分に対して臨床上問題となる過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。

 

警告および使用上の注意

・過敏症(注入に伴う反応とアナフィラキシー反応を含む):ベクルリーの投与中および投与後に、注入に伴う反応やアナフィラキシー反応などの過敏症の発生が報告されています。また、そのほとんどが1時間以内に発現しています。投与中は患者をモニタリングし、臨床的に適切となるよう投与完了から少なくとも1時間は過敏症の徴候や症状がないか観察します。低血圧、高血圧、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管浮腫、発疹、吐き気、発汗や振戦などの症状が現れることがあります。点滴速度を下げると(点滴時間は最長で120分)、これらの反応が予防できる可能性があります。投与に伴う重度の過敏症が発現した場合、直ちにベクルリーの投与を中止し、適切な治療を開始して下さい(「禁忌」を参照)。

・トランスアミナーゼ上昇リスク:健常被験者や、ベクルリーを投与されたCOVID-19患者にトランスアミナーゼの上昇が認められています。COVID-19の臨床初見としてもトランスアミナーゼ上昇が報告されています。全ての患者について、肝機能検査を行ってください(「用法・用量」を参照)。ALTが施設基準値上限(ULN)の10倍を超える場合、ベクルリーの投与中止を検討してください。ALT上昇に伴い肝臓の炎症を示す症状・徴候が認められた場合はベクルリーの投与を中止してください。

・クロロキン・ヒドロキシクロロキンとの併用時の抗ウイルス活性低下リスク:ベクルリーとリン酸クロロキンまたはヒドロキシクロロキン硫酸塩との併用については、細胞培養で拮抗作用が認められ、ベクルリーの抗ウイルス活性が低下する可能性があることから、併用は推奨しません。

 

副作用

・発現率が高かった有害事象(全グレードにおいて発現率5%以上)は吐き気でした。

・発現率が高かった検査値異常(全グレードにおいて発現率5%以上)は、ALT上昇とAST上昇でした。

 

薬物相互作用

・ベクルリーと併用薬の薬物相互作用を検討するヒトを対象とした試験は行われていません。

 

用法および用量

・用量:成人患者および12歳以上で体重40 kg以上の小児患者: 1日目に200 mg、2日目以降は1日1回100 mgを点滴静注します。COVID-19の徴候があると診断された場合、早急にベクルリーの投与する必要があります。

・投与期間:

o 侵襲的機械換気および/またはECMOを必要とする入院患者の場合、推奨投与期間は合計10日間です。

o 侵襲的機械換気および/またはECMOを必要としない入院患者の場合、推奨投与期間は5日間です。臨床的改善が認められない場合、投与期間をさらに5日間まで延長でき、投与日数の合計は最高で10日間です。

o 軽症から中等症のCOVID-19と診断され、入院または死亡を含むCOVID-19重症化リスクの高い非入院患者の場合、推奨投与期間は合計で3日間です。

・投与前および投与中の検査:ベクルリーの投与開始前はeGFR、肝機能検査、プロトロビン時間の検査を行い、投与期間中も必要に応じて行ってください。

・腎機能障害:eGFRが30 mL/分未満の患者には、ベクルリーの投与は推奨しません。

・調製と投与:完全版の添付文書をご参照下さい。

 

妊婦および授乳婦への投与

・妊婦:妊婦レジストリは確立されています。妊娠中のベクルリーの使用に関するヒトのデータは十分に得られていません。COVID-19は、子癇前症、子癇、早産、前期破水、静脈血栓塞栓性疾患、胎児死亡などの母体や胎児の有害転帰と関連しています。

・授乳婦:ベクルリーが乳汁中へ移行するかは不明です。COVID-19患者の授乳については、乳児へのウイルス曝露を避けるための臨床ガイドラインを参照してください。

 

ギリアド・サイエンシズについて

ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。

 

将来予想に関する記述

本プレスリリースは、1995年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予想に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があります。これらのリスク等には、ベクルリー(レムデシビル)を用いた進行中または追加の試験から得られた結果が好ましくない可能性を含みます。これらのリスクやその他のリスク、不確定要素については、米国証券取引委員会に提出している、2021年12月31日を期末とするギリアド年次報告書(Form 10-K)において詳細な説明がされています。これらのリスク、不確実性およびその他の要因により、実際の結果が「将来予想に関する記述」で言及されたものと大きく異なる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、「将来予想に関する記述」とみなされます。このような「将来予想に関する記述」は将来の業績を保証するものではありませんので、この記述のみに過度に依拠しないようご注意下さい。「将来予想に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは「将来予想に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。

 

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