ライオン株式会社のプレスリリース
近年、口腔内は様々な感染症の感染の場であることが明らかになり、歯科医師らから「感染症予防において口腔内を清潔に保つことが重要」という情報発信がなされています(※1)。調査の結果、コロナ罹患経験者の44%が「歯みがきや舌みがきなどのオーラルケア行動が感染症予防につながる可能性がある」ことを知っていると回答し、うち38%は罹患をきっかけに知ったと答えました。一方、歯みがきなどのオーラルケア行動に関しては、コロナ罹患経験の有無にかかわらず、コロナ禍でもほとんど変化は認められませんでした。
「口腔内を清潔に保つこと」は、口腔内の免疫が働きやすくなることにつながります(※1、2)。例えば、感染症が気になる時は、普段よりも積極的に歯みがきなどで口腔内を清潔にするなど、毎日あたりまえのように行っているオーラルケア行動をその時々の目的やシーンに合わせて変えることが、感染症とともに暮らす時代の新しい生活習慣として重要だと考えます。
(※1) 日本歯科医学会連合HP「新型コロナウイルス感染症について 国民のみなさまへ」
http://www.nsigr.or.jp/coronavirus.html
(※2) 日本歯科医師会HP「ニューノーマル時代の歯磨きの新しい意味とは?」
https://www.jda.or.jp/corona/New-normal.html
【調査概要】
・期間:2022年3月18日(金)~2022年3月22日(火)
・方法:インターネット調査
・対象:16~79歳 男女計2,259名
一般募集者2,161名
(コロナ罹患経験なし 2,052名、コロナ罹患経験あり 109名)
コロナ罹患経験者207名
(一般募集者内の罹患経験者109名、罹患経験者限定による募集 98名)
*コロナ罹患経験者207名のうち、自身が罹患経験者154名、
家族が罹患経験者53名
1. 調査結果サマリー
(1)一般募集者全体(2,161名)のうち51%は、「オーラルケア行動が感染症予防につながる可能性がある」ことを知っていた。
(2)コロナ罹患経験者(207名)のうち44%は「オーラルケア行動が感染症予防につながる可能性がある」ことを知っていたが、そのうち38%は、受診時もしくは罹患後に知ったと回答した。
(3)コロナ罹患経験に関わらず、コロナ禍でオーラルケア行動にはほとんど変化がなかった。自身または家族がコロナ罹患を経験しても(207名)、歯みがきや舌みがきの頻度、フロスや歯間ブラシなどの使用はコロナ前の行動とほとんど変化がなかった。
(4)自身がコロナ罹患を経験した人(154名)は、感染症予防対策としてやっておけばよかったこととして、「免疫力を高める工夫(18%)」や「日ごろからの健康管理(15%)」などを挙げた。
2. 調査結果詳細
(1)「オーラルケア行動が感染症予防につながる可能性がある」ことを知っているのは一般募集者全体の51%!自身または家族がコロナ罹患経験者においては44%で、うち約4割は罹患をきっかけに知ったと回答!
「歯みがきなど口腔内を清潔にすることで感染症リスクを下げる可能性がある」「舌みがきをすることにより、コロナウイルスの感染や重症化のリスクを減らせる可能性がある」「歯周病を放置すると歯周ポケットが温床となり、ウイルス感染しやすくなる可能性がある」など、「オーラルケア行動が感染症予防につながる可能性がある」ことを知っていたのは一般募集者全体の51%でした(図1)。2021年に行った同様の調査結果(※3)(51%)とほぼ同じ結果でした。
自身または家族がコロナ罹患経験者の場合、上記のようなオーラルケア行動と感染症予防の関係を知っていたのは44%(91名)で、91名のうち38%は「罹患時に受診したとき」や、「罹患後」に知ったと答えていました(図1、2)。
いわゆる風邪などの感染症を予防するための行動として一般的に知られている手洗いやマスク着用と異なり、オーラルケア行動は、口腔内を清潔に保つための行動という意識にとどまっていることが示唆されます。
(※3) 2021年当社調べ、インターネット調査、コロナ罹患経験の有無を問わずに募集した16~79歳 男女計2,084名を対象に実施。
図1
図1 「オーラルケア行動が感染症予防につながる可能性がある」ことを知っている人の割合
(一般募集者全体n=2161、自身または家族がコロナ罹患経験者n=207)
図2 コロナ罹患経験者のうち「オーラルケア行動が感染症予防につながる可能性がある」ことをコロナ罹患をきっかけに知った人の割合
(図1に示したコロナ罹患経験者の中の情報認知者44%、n=91)
(2)コロナ禍でのオーラルケア行動は、罹患の有無にかかわらずコロナ前とほとんど変化なし
一般募集者全体において、コロナ禍でのオーラルケア行動は、コロナウイルス流行前に比べてほとんど変化はありませんでした(図3)。コロナ罹患経験者に限定しても、罹患をきっかけに変化したオーラルケア行動は見出せませんでした(図4)。
歯みがきをはじめとするオーラルケア行動は、コロナウイルスの流行前からむし歯や歯周病予防として既に毎日の生活の中で固定化されています。そのため、オーラルケアが感染症を予防する可能性があることを知っても、普段のオーラルケア行動をさらに増やすなどの対応をとりにくいのではないかと推察されます。
図3 新型コロナウイルス流行前と比較して歯みがき回数が増えた人の割合
(2020年n=2084 2021年n=2161)
*いずれも罹患経験の有無を問わずに募集した一般募集者
図4 コロナ罹患前後のオーラルケア行動の変化
(自身または家族がコロナ罹患経験者、n=207)
(3)コロナ罹患経験者が感染症予防のためにやっておいた方がよかったことは「免疫力を高める工夫」
コロナ罹患経験者は、感染症予防のためにやっておいた方がよかったこととして、「免疫力を高める工夫(18%)」や「日ごろからの健康管理(15%)」などを挙げていました(図5)。自分の力で感染症に対応する力を高め、リスクを避ける行動をとることが大切だという意識がうかがえます。
図5 感染症予防のためにしておけばよかったこと
(自身がコロナ罹患経験者n=154、MA)
3. 調査結果まとめ
感染症予防にオーラルケア行動が重要だと知っていても、なかなか普段のオーラルケア行動には反映されにくいことがわかりました。コロナ罹患経験者が予防のためにしておけばよかったこととして「免疫を高める工夫」を挙げていましたが、オーラルケア行動は自身の免疫力を高めることに寄与するという報告もあります(※4)。毎日当たり前に行っているオーラルケア行動が、実は免疫にも影響を及ぼす可能性があるという事実を伝えることで、例えば、「感染症が気になる時は普段よりも歯みがきなどを積極的に行う」など、オーラルケア行動の見直しにつながるかもしれません。
感染症にも様々なものがありますが、目的やシーンに合わせて毎日のオーラルケア行動を柔軟に変えることが、感染症とともに暮らす時代の新しい生活習慣として重要であることが示唆されます。
(※4) 日本歯科医師会HP「口腔ケアで免疫力アップ!」
https://www.jda.or.jp/corona/Oral-care-Immunity.html
4. 感染症とともに暮らす時代のオーラルケアについて
感染症が気になる時、オフィスや学校、外出先などでは、オーラルケアのエチケットとして人の密集を避ける、洗面台を汚さないなどの気配りも大切です。当社の生活情報サイト「Lidea」では、飛沫の飛散を抑える「口閉じ歯みがき」の方法や、気をつけるポイントなどを詳しく紹介しています( https://lidea.today/articles/002892 )。
当社は、今後も、感染症とともに暮らす時代のオーラルケア習慣のあり方について、ひきつづき調査研究を行い、情報発信をしてまいります。