NTTコミュニケーションズ株式会社のプレスリリース
本実証実験では、NTT Comの連携先である特定非営利活動法人アクティブシニア支援機構(以下 ASO)に所属するコールスタッフが、一人暮らしの高齢者に定期的に電話をかけ、コミュニケーション機会の創出に取り組み、「いきつけ」のお店に通っているかのような会話で高齢者に寄り添い、会話の内容を分析することにより、高齢者自身に気づきや行動のきっかけを提供します。
1. 背景
厚生労働省の2021年の調査によると、日本における平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳であり、健康寿命とは10年前後の差があると言われています。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことで、今後一人ひとりの生活の質を維持し、社会保障制度を持続可能なものとするためには、平均寿命を上回る健康寿命の延伸が必要だと言われています。また、平均寿命が延伸するとともに、一人暮らしの高齢者も増加しており、発話の機会が減少することで高齢者の心身の健康に関する問題が顕在化するなど、高齢者の心身へのケアが急務となっています。
NTT Comは、ドコモビジネスブランドのもと、ICTを活用した地域社会の課題解決に取り組んでいますが、この一環として今回、高齢者の心と体の健康維持に役立つサービスの検討に向けセブン&アイが実施する「いきつけフォン」の実証実験に参画します。
2. 本実証実験の概要
本実証実験は、セブン&アイが、高齢者のコミュニケーション機会の創出と新たなビジネスの検討に向けたニーズ把握を目的として行うもので、以下の取り組みを実施します。
(1)ASO所属のコールスタッフによるコミュニケーション機会の創出
事前に募集した25名の利用者に対し、高齢者向けのコミュニケーションスキルを持つコールスタッフが、約1.5カ月の間に一人当たり6回架電します(※1)。1回あたり30分程度、コールスタッフがコミュニケーションの機会を提供し、利用者の生活意欲の向上につなげます。
(2)コミュニケーション内容の分析
会話の内容を録音し(※2)(※3)客観的に分析(※4)することにより、利用者、コールスタッフが気づいていない潜在的な感情を可視化し、今後のサービスの向上・検討につなげます。
(3)「寄り添いレター」(※5)の送付
一部の利用者には全6回の「いきつけフォン」での会話の内容から得られた情報を手紙にまとめ送付することで、利用者に気づきを与えるとともに、行動のきっかけを提供します。また、どのような内容の「寄り添いレター」がより好まれるかについての検証を行います。
〈 図 「いきつけフォン」イメージ 〉
3. NTT Comの取り組み内容
電話・通話録音機能(クラウドサービス)の提供
コミュニケーション内容のテキスト化
コールスタッフによる実際のコール業務(ASOと連携)
4. 今後の展開
本実証実験で得られた知見を活用し、高齢者の課題解決に資する新たなビジネスモデルを検討するセブン&アイの取り組みをNTT Comのもつさまざまなリソースの提供により支援します。
また、少子高齢化により労働力の減少が想定されることから、高齢者のスキルや知見を活用できる場の提供にも取り組んでいきます。
■参考
内閣府 令和3年版高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/html/zenbun/index.html
厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002.html
(※1): 利用者に対しては事前に発信元番号やコールスタッフ名を通知し、安心してご利用いただけるよう事前準備を行います。
(※2): 通話の録音および通話データの分析にあたっては、利用者に事前の承諾をいただきます。
(※3): 本実証実験における電話・通話録音機能では、NTT Comの「COTOHA Call Center」を利用予定です。
(※4): 本実証実験におけるコミュニケーション内容の分析では、株式会社RevCommの「MiiTel」を利用予定です。
(※5): コミュニケーション内容の分析や「寄り添いレター」の執筆はセブン&アイの新規事業創出プログラムで活動している実証実験チーム「かいたす」にて実施予定です。