ギリアド・サイエンシズのプレスリリース
「エプクルーサ(R)配合錠」 C型慢性肝炎およびC型代償性肝硬変に対する適応追加承認を取得
ギリアド・サイエンシズ株式会社(以下「ギリアド」、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:ケネット・ブライスティング)は、「エプクルーサ(R)配合錠」(以下「エプクルーサ」)(一般名:ソホスブビル・ベルパタスビル)について、本日「未治療又は前治療歴のないC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」に対する適応追加承認を取得したことをお知らせします。本承認により、エプクルーサはC型肝炎の進行にかかわらず、C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変およびC型非代償性肝硬変に対する治療選択肢を提供することができる唯一の治療薬となりました。
本承認は、国内および海外で実施した臨床試験で確認されたエプクルーサの12週間投与の安全性および有効性に基づいています。これらの臨床試験には、未治療、またはインターフェロン含有レジメンによる治療歴のあるC型代償性肝硬変の患者さんを対象とした国内第III相臨床試験(NCT04112303)、および未治療またはインターフェロン含有レジメンによる治療歴のあるC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変患者さんを対象とした海外での第III相試験(NCT02201940、NCT02220998、 NCT02201953)が含まれます。
今回の適応追加承認について、千葉大学大学院医学研究院 消化器内科学 加藤直也教授は次のように述べています。「C型慢性肝炎は、徐々に肝硬変へと進展し、いつ、どのステージでも肝発癌のリスクをもつ疾患です。ほとんど症状のない代償性肝硬変も、浮腫・腹水、脳症、黄疸、出血傾向などの症状を伴った非代償性肝硬変へと進んでいきます。線維化や肝予備能の正確な評価は難しい場合がありますが、エプクルーサは、慢性肝炎・肝硬変にかかわらず(パン-フィブロティック)、また、代償性・非代償性にかかわらず適応を持つ唯一の薬剤になります。今回のエプクルーサの適応追加承認で、疾患ステージに関係なく、1日1回1錠で有効かつ安全な治療が可能になることは、治療者や患者さんにとって歓迎すべきことだと思います」
また、ギリアドの代表取締役社長であるケネット・ブライスティングは「ギリアドは生命を脅かす疾病とともに生きる患者さんに革新的な医薬品を届けるために、研究開発に尽力しています。当社はこれまでにC型肝炎の患者さんの治癒を可能にする複数の医薬品を開発してきました。今後はエプクルーサの追加適応承認を得て、パンジェノティピックで、パンフィブロティックな治療の選択肢を患者さんに提供できることをうれしく思います。また、本承認により、C型肝炎の患者さんは診断後、早期に治療を開始することが可能になります。より多くの人がウイルス排除を達成し、2030年までにウイルス性肝炎を撲滅するというWHOの目標達成に、大きく貢献できることを期待しています」と述べています。
今回の適応追加承認後の内容
効能又は効果 |
C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変又はC型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善 |
用法及び用量 |
〈未治療又は前治療歴のないC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善〉 〈C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善〉 通常、成人には、1日1回1錠(ソホスブビルとして400mg及びベルパタスビルとして100mg)を12週間経口投与する 〈前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善〉 リバビリンとの併用において、通常、成人には、1日1回1錠(ソホスブビルとして400mg及びベルパタスビルとして100mg)を24週間経口投与する |
C型慢性肝炎、C型肝硬変について
日本におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染者数は約90~130万人と推定されています1, 2。HCVに感染した肝臓は、ウイルスを排除しようとして炎症を起こし、C型肝炎を発症します。C型肝炎は慢性肝炎の段階において自覚症状がないことから、治療がされないまま肝硬変に至る場合が多くあります。肝硬変には、肝臓の働きがある程度保たれている代償性肝硬変と、肝臓の働きが失われた状態の非代償性肝硬変があり、非代償性肝硬変は代償性肝硬変に比べて難治性で、肝がんに進行するリスクが高まります。日本における代償性肝硬変の患者数は約4万人、非代償性肝硬変の患者数は約3万5千人とされています3。
NCT04112303試験について
日本人のC型代償性肝硬変患者さんを対象に、ソホスブビル・ベルパタスビル固定用量配合錠の12週間投与時の有効性および安全性を検討する第III相、多施設共同、非盲検試験です。主要評価項目は、最大解析対象集団(FAS)におけるSVR12(投与終了後12週目のHCV RNA量が定量下限未満と定義)でした。
エプクルーサについて
HCVの複製に必要なタンパク質の働きを阻害し、HCVの増殖を抑えます。エプクルーサは、C型非代償性肝硬変に対する唯一の直接作用型抗ウイルス薬で、核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害剤ソホスブビルとNS5A阻害作用を有するベルパタスビルを含有する配合剤です。日本においては2019年1月に「C型非代償性肝硬変、および前治療歴を有するC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」に対する製造販売が承認されており、現在世界90の国・地域で承認されています。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。米国カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
1 第26回肝炎対策推進協議会. 田中参考人研究報告. 厚生労働省(2021-05-13)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18724.html
2 Ko K, Akita T, Sataka M, Tanaka J. Epidemioloy of viral hepatitis C; Road to Elimination in Japan. Global Health & Medicine 2021 Oct31;3(5):262-269
3 伊藤澄信、考頭達哉、八橋弘、他厚生労働省肝炎等克服政策研究事業B型・C型肝炎による肝硬変、 肝がん患者における医療費等の実態調査2017