今すぐできる!内臓脂肪をためない生活習慣の提案

花王株式会社(ニュースリリース)のプレスリリース

 お腹にたまった内臓脂肪は、メタボリックシンドロームの原因のひとつと言われています。今回花王は、弘前大学COI※1との共同研究により、内臓脂肪をためないためには、①座位行動を減らすこと、②少しでもたくさん、速く歩く習慣を身に着けることが、その対策となることを明らかにしました。

■室内では、デスクワークなどの座っている時間を減らす
 座位行動とは、デスクワークのように、座っていたり、横になっていたりする状態のことで、起きている時間の大半が該当します(図1)。今回、青森県弘前市岩木地区の住民健診参加者(20~88歳、758名)において、活動量計により座位行動時間を、内臓脂肪計※2により内臓脂肪面積を精密に測定して、両者の関係性を検討しました。

 

図1 起きている時間における各行動時間の割合図1 起きている時間における各行動時間の割合

 その結果、座位行動時間が長いほど内臓脂肪面積が大きいという関係性があることが明らかになりました。さらに、統計モデルを用いて、座位行動時間を30分減らし、家事などの低強度身体活動時間へと置き換えた場合の内臓脂肪面積への影響を推定したところ、置き換え前よりも2.4cm2小さい値が算出されました(図2)。以上の結果から、内臓脂肪をためないためには、座っている時間を減らすように心がけることが、ひとつの対策になると考えられます。

 

図2 統計モデルによる内臓脂肪面積の推定値図2 統計モデルによる内臓脂肪面積の推定値

■外出した時には、少しでもたくさん、速く歩く習慣を
 次に、歩行習慣の改善が内臓脂肪にどのような影響を与えるか調べました。はじめに、各参加者(25~74歳、173名)の歩行に関するデータを測定し、それをもとに歩行速度や身体のバランスなど、より健康的な歩き方になるようにアドバイスを行ないました。その後、3カ月間、活動量計を着用してその歩き方を実践していただき、活動量計から得られた歩数や日常歩行速度などのモニタリングデータを、参加者本人が日々確認できるようにしました。
 その結果、1日の歩数および日常歩行速度は有意に増加しました。また、内臓脂肪面積の平均値は、今回の参加者においては、3カ月間で5.5cm2減少しました(図3)。以上の結果から、歩行習慣を見直すことで、よりたくさん、速く歩くようになり、内臓脂肪も低減することがわかりました。

 

図3 歩行習慣の見直しによる変化図3 歩行習慣の見直しによる変化

 今後も内臓脂肪研究を深化し、一人ひとりの生活習慣に寄り添った内臓脂肪低減ソリューションを提案できるよう、研究開発を進めていきます。

 これらの研究成果は、国際学術誌および国内学術誌にて論文発表しました※3。

※1 文部科学省から革新的イノベーション創出プログラム「COI STREAM」の採択を受けた、全国に18あるCOI拠点のひとつ https://coi.hirosaki-u.ac.jp/
※2 花王が開発した、腹部生体インピーダンス法の測定原理に基づく医療機器
※3 ①Association of sedentary behaviour and physical activity with cardiometabolic health in Japanese adults. Sci Rep 12, 2262 (2022) https://dx.doi.org/10.1038%2Fs41598-022-05302-y
②職域における歩行習慣改善支援プログラムの試行と健康増進の効果検証. 日本健康教育学会誌 2022年30巻3号230頁

Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。