毛穴の黒ずみ解消の効果実感は、視覚的効果に加え触感的効果が大きく影響することを発見

株式会社桃谷順天館のプレスリリース

創業から137年、美と健康を追求し続けている「桃谷順天館」(代表取締役社長 桃谷誠一郎、大阪市中央区)は、毛穴の黒ずみ改善の効果実感が、視覚的効果に加えて触感的効果が大きく影響していることを明らかにし、第24回日本感性工学会にて発表しました。
毛穴の黒ずみは視覚的効果が起因している悩みだと考えていましたが、触感的効果も大きく作用しており、肌の手触りが改善することでも効果実感を得ていることが分かりました。
今後引き続き、この感性メカニズムについて解明していく考えです。

 

【研究背景:毛穴の黒ずみが実際は改善していないのに、被験者が改善効果を感じているのは何故?】
毛穴について訴求した製品の効果試験で、被験者自身が「毛穴の黒ずみの改善」を実感した場合においても、専門評価者による目視評価で効果が捉えられないことが多く、黒ずみへの効果実感は視覚的以外の要素も関与しているのではないかと考え、以下のStepで研究を行いました。

Step1:イメージ調査
毛穴の黒ずみに悩む方が「毛穴の黒ずみが改善された」と効果を感じるのは、どの様な状態のことをイメージしているかヒアリングし、潜在的に求めている効果感を調査。
⇒結果:毛穴の黒ずみに効果を感じる要素として、見た目だけでなくツルツルとした手触りがあげられた。

Step2: 毛穴の黒ずみが目立つ人の皮膚特性分析
Step1で調査した効果感をなぜ求めるのか、毛穴の黒ずみが目立つ方の皮膚特性を分析。
⇒結果:毛穴の黒ずみに悩まれている方は、見た目だけでなくざらつきやごわつきも感じている。

Step3:仮説検証
手触りの効果実感が高い製品を使用した時の、毛穴の黒ずみに対する効果実感を確認。
⇒結果:実際、毛穴の黒ずみの改善が見られないにも関わらず、肌が「ツルツル」することで効果を実感していることが分かった。目視よりも触感の影響が強いのではないか、という検証結果となった。

【結論】
上記から、毛穴の黒ずみに悩む方が視覚的効果だけではなく触感的効果も求めていること、また、それは毛穴の黒ずみが目立つ方の肌の重層度が高く、くすんでいる状態であり、日々肌のくすみやごわつきを感じていることが起因している可能性があることが分かりました。
また、仮説検証により視覚的効果に比べ、触感的効果がより毛穴の黒ずみへの効果実感において強く作用するのではないかと考え、今後そのメカニズムを追求していきます。

■研究詳細■

◇Step1:イメージ調査
毛穴の黒ずみに悩む方が「毛穴の黒ずみが改善された」と効果を感じるのは、どの様な状態のことをイメージしているかヒアリングし、潜在的に求めている効果感を調査
 女性 100名(20代26名,30代36名,40代26名,50代12名)を対象にWEBアンケート調査を実施。質問項目は「毛穴について悩んでいるか?(回答:悩んでいる,やや悩んでいる,悩んでいない)」、「どのような毛穴について悩んでいるか?(複数回答可能:黒ずみ・毛穴の開き・たるみ・色素沈着・不明・その他)」としました。
 「毛穴について悩んでいる」又は「やや悩んでいる」と回答かつ、毛穴の悩みを「黒ずみ」と回答、加えてインタビュー可能な方を16名選定してインタビュー調査を実施。主に「毛穴の黒ずみに効果を感じる状態」に関してヒアリングを行いました。

Step1 結果及び考察
 毛穴の黒ずみに悩んでいる方16名に「毛穴に効果を感じると思う状態」に関してインタビューを行ったところ、「黒ずみが目立たなくなる」「ツルツルとした手触り」が最も多い回答を得ました。※図1
  基本的に、毛穴の黒ずみは鏡を見た時に目立って気になり始めるという視覚的な悩みであることを踏まえると、毛穴の黒ずみ或いは毛穴が目立たなくなる視覚的効果が効果実感と結びつくことは容易に推測出来ます。
一方、「ツルツル」という手触りに関しては毛穴の黒ずみという視覚的な悩みとの関係性は直接的ではなく、毛穴に悩む方が潜在的に毛穴の黒ずみとざらつきが結び付いたイメージを持つ可能性が考えられます。
さらに、視覚的効果と触感的効果の2つに分類したところ、視覚的効果のみ回答した方は16名中8名、視覚的効果と触感的効果の両方を回答した方は16名中8名でした。
 視覚的効果に加えて触感的効果も求めている方が、視覚的効果のみを求めている方と同程度おり、触感的効果も毛穴の黒ずみの効果実感に寄与することが示唆されました。

図1.毛穴の黒ずみに効果を感じる状態図1.毛穴の黒ずみに効果を感じる状態

◇Step2: 毛穴の黒ずみ目立ちと相関のある要素の分析
毛穴の黒ずみに悩む方がStep1で調査した効果感をなぜ求めるのか調べるため、黒ずみが目立つ方の皮膚特性を分析

 男性 3名(20代2名、30代1名)と女性 13名(20代10名、30代3名)を被験者として検討を行いました。対象部位は毛穴の黒ずみが最も気になる部位である鼻とし、肌物性を測定。
既定の洗顔料で洗顔を行ったあと、温度と湿度を一定にした環境で肌状態を安定させたのち測定を実施することを条件とし、①皮脂量、②毛穴の面積、③角層の重層度、④光の反射率の4つを測定項目としました。
 また、専門評価者4名により対象部位のみ表示された画像を観察し、毛穴の黒ずみの目立ち度を5段階で目視評価した後、肌状態の各測定項目と黒ずみの目立ち度の相関関係について調べました。

Step2 結果及び考察
 毛穴の黒ずみへの効果を実感する可能性がある要素を見出すために、毛穴の黒ずみが目立つ人の皮膚特性を分析しました。
 毛穴の黒ずみ目立ち度と4つの測定項目数値の関係を調べた結果を表1.に示しました。毛穴の目立ち度と有意な相関が認められた肌測定の項目は、「毛穴の面積」「「角層重層度」「光の反射」の3項目でした。
透明感がありくすんでいない肌は、光の反射率がくすんだ肌に比べ高いといわれています。※
 従って、毛穴の黒ずみが目立つ方の鼻の肌状態は、角層が重層してくすんでいることが推測されます。
また、毛穴の黒ずみで悩む方は目視的に毛穴の黒ずみが気になるだけでなく、日々ざらつきやごわつきも感じているため、「Step1の結果及び考察」に示したように視覚的効果だけでなく触感評価も毛穴の黒ずみへの効果実感の要素として挙げたのではないかと考えます。
※高橋秀企, 高田定樹, フレグランスジャーナル,2006, 267-273.より

表1. 黒ずみ目立ち度と肌物性の相関係数(「1」「-1」に数値が近付くほど相関関係の強さを表す)表1. 黒ずみ目立ち度と肌物性の相関係数(「1」「-1」に数値が近付くほど相関関係の強さを表す)

◇Step3:仮説検証
手触りの効果実感が高い製品を使用した時の、毛穴の黒ずみに対する効果実感を確認

 毛穴の黒ずみに悩む女性5名を対象に、口コミサイトにおいて手触りの効果実感に関する記載が多い市販品の洗顔料Aを、使用してもらいました。
 試験期間中、被験者自身に毎日毛穴の黒ずみ悩み度の評価と、感じた効果を自由記入方式で回答してもらいました。また、使用前後で専門評価者による黒ずみの目立ち度の評価及び毛穴面積の測定を行いました。

Step3 結果及び考察
 2週間後、被験者自身の毛穴の黒ずみの悩み度は、使用前より減少し効果を感じていることが分かりました※図2  更に、自由記述式アンケートの結果より、毛穴の黒ずみへの効果を感じた方はいずれも使用後ツルツルとした手触りを実感していることが分かりました。
 一方、同様に2週間後の専門評価者による毛穴の黒ずみの目立ち度評価からは、毛穴の黒ずみが解消された方はおらず、使用前と同様か、使用前と比較し目立つようになっているという結果となりました。※図3 また、毛穴の面積も、使用前より増加していることが分かりました。※図4
 本試験結果より、毛穴の黒ずみへの効果実感において、視覚的効果より触感評価が強く影響を与えることが示唆されました。

図2. 洗顔料A連用試験における黒ずみの悩み度 (被験者の実感)図2. 洗顔料A連用試験における黒ずみの悩み度 (被験者の実感)

 

 

図3. 洗顔料A連用試験における黒ずみの目立ち度 (専門評価者による評価)図3. 洗顔料A連用試験における黒ずみの目立ち度 (専門評価者による評価)

 

図4. 洗顔料A連用試験における毛穴の面積 (専門評価者による評価)図4. 洗顔料A連用試験における毛穴の面積 (専門評価者による評価)

■結論
 本研究により、毛穴の黒ずみに悩む方が視覚的効果だけではなく触感的効果も求めていること、また、それは毛穴の黒ずみが目立つ方の肌は重層度が高くくすんでいる状態であり、日々肌のくすみやごわつきを感じていることが起因している可能性があることが分かりました。
 また、触感的効果が感じられる洗顔料Aの連用試験により、視覚的効果に比べ触感的効果がより毛穴の黒ずみへの効果実感において強く作用することが示唆されました。
今後は、触感的要素が毛穴の黒ずみという視覚的な悩みに対して効果を与える感性メカニズムを解明していく考えです。

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