ニコチンアミドモノヌクレオチド (NMN)のヒト安全性試験の学術雑誌への掲載について

三菱商事ライフサイエンスのプレスリリース

三菱商事ライフサイエンス株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 岸本 好司、以下「当社」) では、健康機能素材の研究開発を進めています。ニコチンアミドモノヌクレオチド (NMN)の過剰摂取によるヒトでの安全性を確認することを目的とした臨床試験を実施し、この研究成果が学術雑誌Scientific Reportsに掲載されました。
当社は、引き続きライフサイエンスの技術の力で世界の人々に生きる喜びと豊かな生活をお届けできるよう努めてまいります。

発表のポイント

  • 健常成人男女を対象に、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN、注1)を1日あたり1250mg、4週間摂取した際の安全性を評価しました。
  •  4週間のNMN摂取で、血液、尿、体組成検査値に問題となる変化はなく、医師による診断で問題となる有害事象は認められませんでした。

■発表内容
研究背景
近年の老化研究の発展により、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (NAD+、注2)の加齢に伴う体内量の減少が加齢関連疾患 (注3)などの発症に関わっていることが明らかとなっています。そのため、加齢によって減少していく体内のNAD+を効率的に補充し、抗老化や加齢関連疾患の予防や緩和の目的でNAD+の前駆体であるNMNを投与する研究がなされています。ヒトにおいてもNMNの有効性を明らかにするためにいくつかの臨床試験が実施されていますが、ヒトでの安全性評価については十分な科学的根拠が得られていないことが課題となっています。そこで、健常成人男女におけるNMNの摂取した際の安全性を明らかにするために、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験 (注4)を実施いたしました。

 
研究内容
日本人の健常な成人男女31名を対象として、1,250 mg (摂取目安量を250 mgとした場合の5倍量)のNMNまたはプラセボ (注5)を4週間にわたって連続経口摂取した際の安全性への影響を検討しました。その結果、血液、尿、体組成検査において懸念事項は認められませんでした。また、NMNの摂取で問題となる有害事象は認められませんでした。

 
■発表雑誌
雑誌名: Scientific Reports 12, 14442 (2022)
論文タイトル: Safety evaluation of β-nicotinamide mononucleotide oral administration in healthy adult men and women
著者: Yuichiro Fukamizu, Yoshiaki Uchida, Akari Shigekawa, Toshiya Sato, Hisayuki Kosaka, Takanobu Sakurai
DOI番号: 10.1038/s41598-022-18272-y
アブストラクトURL: https://www.nature.com/articles/s41598-022-18272-y

■用語説明
(注1) ニコチンアミドモノヌクレオチド (NMN)
NAD+生合成の前駆体である。食品ではブロッコリー、枝豆、アボカド、牛乳などに比較的に多く含まれる。
 
(注2) ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (NAD+)
生命活動を支える酸化還元反応などの代謝において重要な役割を担う物質である。近年、特定の酵素によって消費され、老化や健康に関わっていることが知られている。

(注3) 加齢関連疾患
がん、糖尿病、慢性腎臓病、虚血再灌流障害、アルツハイマー病などの高齢者に多い疾患をいう。

(注4) 無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験
被験者は対照群と投与群のいずれかにランダムに割り付けられ、各群間における差をみることで、有効性と安全性が検証される。どちらのグループにどちらを投与しているかを、臨床試験実施に関わるすべての人間が一切知らずに行われる。

(注5) プラセボ
評価対象の機能成分を含まずに見た目や味・香りに違いがないもの。

■添付資料
 

 

 

図1 NMNの5倍量摂取時の安全性評価図1 NMNの5倍量摂取時の安全性評価

■このリリースに関するお問い合わせ先
三菱商事ライフサイエンス株式会社
問い合わせ先窓口(Mail): Nutrition@mcls-ltd.com
 

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