株式会社資生堂のプレスリリース
本研究は、資生堂独自のR&D理念『DYNAMIC HARMONY』の研究アプローチの1つである、肌の内外から健やかな美しさを引き出す「Inside/Outside」の観点で進めました。当社は長年にわたり、シミ部位特有の肌状態の研究により様々なシミ形成要因を解明するなど、シミ研究をリードしてきました。今回の新たな知見を加え、今後も様々な領域に研究を応用していきます。
※IFSCC: The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists
E-カドヘリン減少環境下にあるメラノサイトの4D動的解析|資生堂
https://corp.shiseido.com/jp/r/yt/20221014/01/?rt_pr=trm10
《ヒトのシミ部位皮膚におけるE-カドヘリンの減少とその減少によるシミ発生因子の増加》
今回、シミの根本的な原因を探るべく、メラノサイトとその周辺環境を深掘りしました。先行研究において、メラノサイトが正常に機能するためには、適度な細胞接着の存在が必要であることが知られています。そこで、細胞接着において特に重要な分子であり、皮膚組織の恒常性維持にも重要なE-カドヘリンに着目し、シミとの関連性について研究を進めました。ヒトの皮膚を用いて、正常な部位とシミのある部位を比較したところ、シミのある部位ではE-カドヘリンが減少していることがわかりました(図3)。また、E-カドヘリンの発現が抑制された表皮細胞由来の分泌物質をメラノサイトに作用させると、メラニン生成に関わる因子であるチロシナーゼの発現が亢進しました(図4)。また、E-カドヘリンの発現が抑制された表皮細胞下では、メラノサイトにおけるメラニンの産生が増加しました(図5)。つまり、表皮細胞のE-カドヘリンの減少によって表皮細胞同士の接着が弱まり、シミ因子の分泌が増加し、メラノサイトが活性化されてメラニン産生が亢進することが明らかとなりました。
《E-カドヘリン減少による、メラノサイトの動態への影響と表皮細胞のメラニン取り込み促進》
E-カドヘリンが減少している表皮細胞の下で、メラノサイトの動きを3次元かつリアルタイムに解析すること(4D動的解析)に成功し、この環境下において、メラノサイトそのものの動きが停滞することを発見しました。また、E-カドヘリンの発現が抑制された表皮細胞にメラニン添加すると、その取り込み活性が高くなっていることも分かりました(図6)。つまり、E-カドヘリンが減少し、メラノサイトが動かず局所的にメラニンが放出され、さらには表皮細胞が積極的にメラニンを取り込むことが、シミの発生・定着を引き起こす一因となっていると考えられます。
以上より、E-カドヘリンはシミ形成の様々なプロセスに関与していることが明らかになりました。
《E-カドヘリン産生促進する、有効なエキスを発見》
ヒトの表皮細胞を用いた実験で、バラ科植物由来のエキスにE-カドヘリンの発現を促進する効果があることを見出しました (図7)。減少したE-カドヘリンを正常化することで、シミの発生・定着の予防および根本的な改善へのアプローチが期待されます。
資生堂は2030年に向けたビジョンとして「PERSONAL BEAUTY WELLNESS COMPANY」を掲げ、生涯を通じて一人ひとりの自分らしい健康美を実現する企業となることを目指しています。シミに悩まない自分らしい健康美をサポートするため、これからもより根本的なシミ・くすみなどの肌悩み解決を目指して研究を進めます。
R&D理念「DYNAMIC HARMONY」とは
・資生堂、独自のR&D理念「DYNAMIC HARMONY」を制定(2021年)
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003252&rt_pr=trm10
・「DYNAMIC HARMONY」特設ページ
https://corp.shiseido.com/jp/rd/dynamicharmony/?rt_pr=trm10
▼ ニュースリリース
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003497&rt_pr=trm10
▼ 資生堂 企業情報
https://corp.shiseido.com/?rt_pr=trm10