森下仁丹株式会社のプレスリリース
森下仁丹株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長 森下雄司、以下「当社」)は、2022年12月3日(土)~4日(日)に開催された「第20回日本機能性食品医用学会総会」の一般演題≪機能性食品成分の腸内環境,生体機能改善効果 O-31≫において、カシスエキスにより、腸管からの細菌の侵入を防ぐバリアとなる「ムチン」産生が増加し、腸内環境改善作用が認められたことを発表いたしました。
当社では引き続き、カシスエキスの有用性について研究を進めてまいります。
カシス(black currant)は、ヨーロッパを中心に民間薬としても親しまれてきた果実の一種です。カシスに含まれるカシスアントシアニンは、目のピント調節機能や血流改善のほか、腸内環境改善に効果があることも報告されており(引用文献:1, 2)、当社においてもこれまでに、カシスエキス摂取による腸内細菌叢(腸内フローラ)の改善と腸内腐敗産物の産生抑制作用を確認しています(日本農芸化学会 2022年度京都大会 (2022年3月)にて発表)。本研究では、カシスエキスによる腸内環境改善作用のひとつとして、カシスエキスが腸管を保護する機能を持つ糖タンパク質「ムチン」の産生に与える影響について評価しました。
ムチンとは?
ムチンは、粘膜、唾液、涙などに含まれる糖タンパク質の一種です。腸管内部では、上皮細胞(杯細胞)からねばねばとした粘液として分泌され、身体にとって有害な細菌や毒素の侵入を防ぐ「バリア」として働きます。また、ビフィズス菌等の善玉菌はムチンを「エサ」として増殖するため、腸内環境を整える一助にもなります。
【研究成果】
腸管ムチン産生について
ヒト大腸由来の杯細胞モデル(LS174T細胞)にカシスエキスを添加し72時間培養したところ、非添加時に比べてムチンの産生量が有意に増加しました(図)。
試験の結果
カシスエキスによる腸管ムチン産生の変化
図 培養72時間後の腸管ムチン量
以上の結果より、カシスエキスにより腸管ムチン産生が亢進することが示唆されました。また、生菌を含むプロバイオティクスと、そのエサとなるムチンを増やすカシスエキスを組み合わせることで、さらなる腸内環境改善作用が得られる可能性も期待されます。
■「第20回日本機能性食品医用学会総会」概要
会期:2022年12月3日(土)~4日(日)
会場:ホテルルビノ京都堀川
HP:http://www.jsmuff.com/soukai2022/
<当社発表>
発表時間:2022年12月4日(日)13:50~14:00
演題「カシスエキスの腸管ムチン産生に与える影響」
(一般演題≪機能性食品成分の腸内環境,生体機能改善効果 O-31≫)
森下仁丹株式会社 事業統括本部 研究開発部
〇上田菜津美,河野麻実子,川上宏智
○:発表者
引用文献
1 Phytother. Res., 28, 416-22 (2014).
2 Eur. J. Nutr., 53, 1603-13 (2014).