花王株式会社(ニュースリリース)のプレスリリース
花王株式会社(社長・長谷部佳宏) 感覚科学研究所は、蘭の香りの多様性に着目し、独立行政法人国立科学博物館 筑波実験植物園(以下、筑波実験植物園)と共同で研究を行なっています。このたび、共同研究により再現した蘭の香りなどを、2023年1月22~29日に開催される「つくば蘭展(筑波実験植物園)」にて展示します。
花王は、このような蘭に着目し、約3,200種類の生きた蘭の株を保有し国際的な蘭保全の拠点として活動している筑波実験植物園と共同で蘭の香りの多様性について研究を行なってきました。このたび、この研究で再現された希少な蘭の香りの一部を、筑波実験植物園にて開催されるつくば蘭展にて展示します。
つくば蘭展 開催概要
https://tbg.kahaku.go.jp/event/2023/01orchid/
期間:2023年1月22日(日)~1月29日(日)
場所:筑波実験植物園
主催:筑波実験植物園
内容:多彩な世界の野生ランの展示、ランの香り体験、まぼろしの青いラン展示ほか
花王の協力内容
:アデノンコス・パルヴィフロラの再現香など、および、応用したスキンケア化粧品展示
<花王と筑波実験植物園との蘭の香り研究成果>
花王は、2017年より筑波実験植物園が保有する167種(のべ210個体)の蘭の香りについて、社内の調香師の鼻による香調解析と、精密分析機器(ガスクロマトグラフ)を使った香気成分解析の2つの方法で調査し、その成果を第23回世界蘭会議(2021年4月23~27日・台湾)にて、オンライン発表しています。
調香師による香調解析では、対象となる蘭の香りは、柑橘類を彷彿させる香りやフローラルな香りから、スパイシーな香り、グルマン調の香り、アニマリックな香りまで幅広く、15種もの香調に分類できることが明らかになりました(図1)。 さらに、遺伝的に近縁の種であっても香りは多様で、進化とともに香りがダイナミックに変化していることがわかりました。
また、機器分析からは合計887種類の香気成分を同定しました。今回の分析では、1種の蘭にしか見つけることができなかった稀な香気成分が非常に存在し、全体の38%(337成分)を占めました(図2)。バラの香気成分はおよそ300~400種類といわれていますが、長年にわたり詳細に研究されてきたバラと比べても倍以上もの成分が確認され、しかも稀にしか検出されない成分の割合が多いことが示されました。
調査対象は世界の1%に満たない種類ですが、蘭は他の園芸植物と比べ花の香りがはるかに多様で、バラやジャスミンのように「これが蘭の香り」といえる典型的な香りは存在しないことがわかりました。さらに、個性的でユニークな香りを持つものが多く、通常の花の香りからは想像がつかないような「未体験の香り」も発見されるなど、香りの面から蘭の奥深さとその秘めた可能性の一端を明らかにすることができました。
花王は今後も、未知の香りを自然から学び、その香りを製品に応用し新たな価値を生むことで、生活を豊かにすることに貢献していきます。さらに、一つの蘭が絶滅してしまうと、地球に二つとないユニークな香りも永久に失われてしまうという観点からも、蘭の香りの探求を通じて生物多様性を守る取り組みを進めていきます。
<蘭の香りの商品への応用>
花王は、研究の成果を化粧品などに応用しており、商品の香りに彩りや個性を加えています。