cotreeが、オンラインカウンセリングが継続する要因について共同研究にて論文を発表

株式会社cotreeのプレスリリース

オンラインカウンセリング・コーチングの「cotree」を展開する株式会社cotree(本社:東京都港区、代表取締役:西岡恵子、以下cotree)は、早稲田大学人間科学学術院の桂川泰典准教授を中心とした研究グループと「オンラインカウンセリングにおける初期ドロップアウト要因」に関する共同研究を行い、論文を発表しました。
その結果、①初回カウンセリング終了時に「効果の予感」を感じるとカウンセリングが継続しやすくなること。②カウンセラーの臨床経験年数が長いとカウンセリングが継続しやすいこと。一方で、③カウンセラーの年齢や性別の違いは継続の有無に影響しないことが明らかになりました。
なお、本研究の成果は日本パーソナリティ心理学会 学会誌『パーソナリティ研究』にて公開されています。

  • 研究の背景

オンラインカウンセリングは、支援機関が身近にない人や健康上などの理由で支援機関を訪れることができない人に対し、時間や場所の制約なく支援を提供することができる優れた選択肢として急速に社会に浸透しつつあります。

また、オンラインカウンセリングは対面での心理支援に劣らない効果を有していると、多くの研究が示しています。

しかし一方で、対面での心理支援よりも面接初期での中断(1回だけの面接で、次の面接が行われないこと)が生じやすいことも指摘されています。

早期に面接が中断したクライエントは予後が非常に悪いことが報告されており、面接の中断を減らしていくことはクライエントの利益のために非常に重要なテーマと言えます。
しかし、オンラインカウンセリングにおける面接中断についてはまだ十分な調査が行われておらず、とくに国内においては、そういった調査の前提となるオンラインカウンセリングの基礎的な利用実態についてすらほとんど明らかにされていない状況にあります。

そこで本研究では、国内におけるオンラインカウンセリングの利用実態について、cotreeの利用データを用いて記述を行うとともに、面接の早期中断に関わる要因についての調査・分析を実施しました。
 

  • 研究概要・成果

本研究では、cotreeで話すカウンセリングを利用したことのある3,470名を対象に調査を行い、おもに以下の事柄が明らかになりました。

 

  1. 初めて受けたカウンセリングの終了時に「効果の予感」を感じるとカウンセリングが継続しやすくなる
    • クライエントがカウンセリング後に「将来的に効果が出そうだと感じる」と継続しやすい傾向が確認されました。カウンセリングへの期待に関する個人差を評価・分析し、カウンセラーがクライエントに取り組みへの見通しを伝える等、期待へのコントロールの介入を行うことが面接中断を減らすことに有効であると考えられます。
  2. カウンセラーの臨床経験年数が長いとカウンセリングが継続しやすい
    • 対面での心理支援場面においては、カウンセラーの臨床経験年数が長い方が面接が継続しやすいことが報告されています。オンラインカウンセリングにおいても、対面と同様の傾向が確認されました。
  3. カウンセラーの年齢や性別の違いは継続の有無に影響しない
    • ​​臨床経験年数が影響を及ぼす一方で、それ以外のカウンセラーの属性については、必ずしもカウンセリングの継続に影響を与えないことが明らかになりました。
    • 対面の心理支援場面においても、カウンセラーの性別の違いや年齢の高低自体はカウンセリングの効果に大きく関係しないことが報告されており、オンラインカウンセリングにおいても同様の傾向があることが分かりました。

今回の調査および分析を通して、国内におけるオンラインカウンセリングの利用実態の一端を明らかにしたのと同時に、初回カウンセリング実施時に効果への期待感を醸成することで継続を促すことができるなどの、オンラインカウンセリングサービスの提供者やカウンセラーによって介入や改善が可能なポイントを発見することができました。これらはオンラインカウンセリングにおける面接中断のメカニズムの解明に寄与することが期待できます。
 

  • 今後の展望

オンラインカウンセリングの利用実態をよく理解することや、どのような支援体験が面接を継続させるかを定量的に把握することは、クライエント一人ひとりのカウンセリング体験を予測し、適切な支援を提供するために重要なことです。
今回の成果を踏まえてcotreeは、よりよいカウンセリング体験を実現するためのサービス開発を進めるとともに、更に精緻な定量調査を実施していくことで、オンラインカウンセリングサービスにおける⽀援効果の向上を目指します。

今後もcotreeはメンタルヘルスケアのインフラになり、やさしさでつながる社会をつくることを目指し、それに資する研究やサービス開発を進めてまいります。

 

  • 著者プロフィール

桂川 泰典 早稲田大学 人間科学学術院  准教授 
https://w-rdb.waseda.jp/html/100001131_ja.html
主に学校や療育機関等において子どもの発達を支援するカウンセリング、コンサルテーション業務に従事。2015年より早稲田大学人間科学学術院准教授。近年の研究テーマは、不登校支援、カウンセリングプロセスの分析等。

松葉 百合香 早稲田大学大学院人間科学研究科
早稲田大学大学院博士後期課程に在籍。研究テーマはメンタライゼーションを用いた支援者支援プログラム開発。2022年より代表理事を務めるNPO法人だーちゃらぼにて、フリースクールだーちゃ等を運営し、地域の子どもと家族のための心理発達支援に従事。

飯島 有哉 富山大学 学術研究部人文科学系 講師
早稲田大学大学院博士後期課程修了。学校現場を中心とした児童生徒・保護者のカウンセリングや教職員のコンサルテーション業務に従事。2021年より富山大学学術研究部人文科学系講師(専任)。主な研究テーマは、児童生徒のストレス、学校教職員のメンタルヘルス、子ども・若者の自傷行為および自殺予防。

原田 陸 株式会社cotree
建設企業にてコンサルタントや技術開発業務に従事。オンラインカウンセリングという新しい分野の発展を支えることを目指し、2020年よりcotreeにて勤務する。カウンセリング・コーチングに関する研究およびサービス開発業務を担当。

千葉 一輝 株式会社cotree
東京大学医学部健康総合学科にて、主に精神保健・精神福祉について学ぶ。その後、株式会社ビービットに入社しWebマーケティング業務に従事。2018年よりcotreeに参画。
 

  • 論文情報

掲載誌
パーソナリティ研究 第31巻(2022) 第3号
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/personality/31/3/_contents/-char/ja

発行年
2022年

論文タイトル
オンラインカウンセリングにおける初期ドロップアウト要因の探索的検討

著者

桂川 泰典(早稲田大学)、 松葉 百合香(早稲田大学) 、飯島 有哉(富山大学)
千葉 一輝(cotree)、原田 陸(cotree)

論文URL
https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/31/3/31_31.3.2/_pdf/-char/ja

 

  • 株式会社cotreeについて

株式会社cotreeは、「やさしさでつながる社会をつくる」を企業理念とし、支え合い、育て合うつながりを生み出すことを目指し、2014年の設立以来、オンラインカウンセリングを中心に「メンタルヘルス x IT」の領域で事業およびサービスを展開しています。

【会社概要】
代表者:代表取締役 西岡 恵子
所在地:東京都港区六本木4-8-5 5階 Kant. co-office 507
設立日: 2014年5月14日
資本金:22,500,000円
URL:https://cotree.co

【運営サービス】
個人向けオンラインカウンセリングサービス 「cotree (コトリー)」
https://cotree.jp/
個人向けコーチングサービス 「cotreeアセスメントコーチング」
https://as.cotree.jp/
法人・団体向けオンラインカウンセリングサービス「cotree法人・団体向けプラン」
https://corp.cotree.jp/
大学向けオンラインカウンセリングサービス「cotree大学向けプラン」

https://corp.cotree.jp/university
 

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