シワ形成に関わるECMリサイクルシステムの関連因子「Endo180」の産生量を増加させる真珠貝由来新成分「パールシルク®」を開発

御木本製薬株式会社のプレスリリース

御木本製薬株式会社(本社:三重県伊勢市、代表取締役社長 田中 利尚)は、シワ形成に関わるECMリサイクルシステム関連因子「Endo180」の産生量を増加させる真珠貝由来新成分「パールシルク®」を開発しました。この成果は、2022年9月5日より開催された日本水産学会 秋季大会にて発表いたしました。今後、本成果をもとに当社の製品開発に応用していきます。

  • シワ形成に関わるECMリサイクルシステムの関連因子に着目

近年の化粧品市場では、皮膚の加齢に伴う劣化を予防するためのエイジングケア製品が伸長しています。皮膚老化でも悩みが多いシワ、タルミの主な原因となるのは、ECM(特にコラーゲン、エラスチン)の変性です。ECMとは、線維芽細胞間を満たして安定させる働きがあります。このECMは、古くなると「分解→線維芽細胞への取り込み→再生」とつねに新しいものへつくり変えられ、これをECMリサイクルシステムといい、肌のハリを維持しています。そこで当社は、ECMリサイクルシステムの関連因子に着目して研究を進めました。
 

  • 「Endo180」の産生量増加が、ECM※リサイクルシステムを活性化する作用を発見

 ECMリサイクルシステムの関連因子である「Endo180」は、分解されたECMを線維芽細胞へ取り込む際に関与するタンパク質です(図1)。
 この「Endo180」の産生量を増加させることで、古くなって分解されたECMの線維芽細胞への取り込みを促進し、ECMリサイクルシステムを活性化する作用を発見しました。そして、ECMが満たされることで真皮からハリのある肌へ導きます。しかし、紫外線や加齢の影響により「Endo180」が低下すると、分解されたECMが線維芽細胞に取り込めなくなり、古くなったECMが真皮内に蓄積されることでハリの低下やシワなどの発生につながります。
 

  • 「Endo180」の産生量を増加させる真珠貝由来新成分「パールシルク®」開発

「Endo180」の産生量を増加させる新しい成分として、「パールシルク®」を開発しました。パールシルク®とは、アコヤガイの足糸(図2)から得た真珠関連成分です。
研究の結果、パールシルク®にはリアルタイムPCR・タンパク質の発現解析にて、「①Endo180 の発現亢進」、「②断片化コラーゲンの取込量の増加傾向」が確認できました。パールシルク®は、Endo180 の産生量を増加させ、つねに新しいECM※を産生することで、肌のシワを防ぎ、真皮からハリのある肌へ導くことが明らかとなりました。
※ここではコラーゲンのことです。

 

  • 補足資料

 海洋資源の可能性の探求、サスティナビリティに注力しているミキモトグループは、アコヤガイ Pinctada fucata の未利用成分の有効利用に取組んでいます。

【足糸とは】足糸とは、アコヤガイをはじめとするウグイスガイ科など一部の二枚貝が岩盤などに固着する際に分泌する繊維状の組織です。タイラギ類など一部の二枚貝において、当該物質を繊維として利用してきましたが、ア
コヤガイでは未利用でした。そのため、アコヤガイ足糸の化粧品原料への利用可能性を検討しました。

【研究内容】アコヤガイ足糸から加水分解物を得ました。これを無血清培地に終濃度2.5、5.0 および10.0mg/mLになるように添加し、ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)に37℃、5%CO2 下で48 時間作用させました。その後、ECMリモデリング機構に関わるEndo180 他、関連遺伝子の発現量をリアルタイムPCR にて解析しました。この内、最も発現量が亢進したEndo180 について、発現タンパク質量をELISA 法にて解析しました。さらに、Endo180 の機能である断片化コラーゲンの取込みを調べるため、断片化コラーゲンを特異的に染色する蛍光プローブを用いて解析しました。

【研究結果】アコヤガイ足糸加水分解物をNHDF へ作用させた結果、各遺伝子の発現量は亢進しました。この内、最も発現量が亢進したEndo180 についてタンパク質発現量も調べたところ、遺伝子発現と同様に亢進しました。また、NHDF 内の断片化コラーゲンの取込量が増加する傾向が確認されました(図5)。以上の結果は、アコヤガイ足糸加水分解物がECM リモデリング作用を有する化粧品原料となる可能性を強く示唆します。

◆掲載時のお問合せ先◆
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(9:00~17:00 (日・祝日・年末年始・夏季休業日を除く))

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