株式会社ユーグレナのプレスリリース
※1 ユーグレナ粉末から水で抽出し、煮沸した物質で、ユーグレナ粉末の水溶性成分が含まれていると考えられます
※2 フラボノイドの一種でタマネギなどの野菜に含まれています
■研究の目的
インフルエンザウイルスは呼吸器系の感染症を引き起こすウイルスとして知られており、ワクチンや数種の抗インフルエンザ薬が開発されていますが、新型ウイルスの出現や副作用などの問題があり、さらなる対策が求められています。
当社はこれまでに、「免疫力の低下」によって影響を受ける現象のひとつであるインフルエンザウイルス感染症状について、主にユーグレナ特有の機能性成分であるパラミロンの作用によって免疫伝達物質の産生促進を介して症状を緩和する可能性※3,4や、体内に摂取されたユーグレナの水溶性成分が、既存の抗ウイルス薬とは異なるメカニズムでインフルエンザウイルスの増殖を阻害している可能性、ならびにインフルエンザウイルスに直接作用するのではなく宿主細胞(感染される細胞)の防御機構を活性化している可能性※5を報告してきました。
今回は、ユーグレナと共存することでインフルエンザウイルスの増殖抑制効果を増す成分の探索の一環として、ケルセチンとの共存に関する研究を行いました。ケルセチンも、抗ウイルス活性をもつ成分として報告されています。
※3 2015年2月9日付のリリース https://www.euglena.jp/news/n20150209/
※4 2017年11月1日付のリリース https://www.euglena.jp/news/20171101-2/
※5 2020年11月16日付のリリース https://www.euglena.jp/news/20201116/
■研究の内容と結果
イヌの腎細胞にインフルエンザウイルスを感染させ、
・ユーグレナ熱水抽出物を含んだ培地
・ケルセチンを含んだ培地
・ユーグレナ熱水抽出物およびケルセチンを含んだ培地
・何も含まない培地(コントロール)
で各々培養しました。
その結果、ユーグレナ熱水抽出物およびケルセチンを含んだ培地では、それぞれの成分を単独で含んだ培地と比較して、相乗的にインフルエンザウイルスの増殖が抑制されました(図)。
図:ユーグレナおよびケルセチンのインフルエンザウイルス増殖抑制効果
(※Welchのt検定, *p<0.05 Virus titterは感染時のウイルスの強さ、FFUはFocus Forming Unitの略でFFU/mLとは培養液1mL中にウイルスによって変性した細胞がどのくらいいるかを表す。ユーグレナやケルセチンは、単体でもインフルエンザウイルスの増殖抑制効果が確認されているが、今回の実験では相乗効果の検証のために、ウイルス増殖抑制効果が弱く出るよう調整した濃度を採用。)
以上のことから、これまで確認してきたユーグレナ熱水抽出物によるインフルエンザウイルスの増殖抑制効果が、ケルセチンとの共存により相乗的に増す可能性が示されました。
当社では引き続き、からだが本来もつ「つくる・はたらく・まもる」のサイクルを支えるユーグレナの可能性のさらなる解明と、ユーグレナおよびその含有成分の健康食品、医療分野等での利活用や食材としての付加価値向上を目指し、研究開発を行っていきます。
<微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>
ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持っており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んでいます。なお、ユーグレナ特有の成分でβ-グルカンの一種であるパラミロンは、近年機能性についての研究が進み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されています。
<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスの提供を行っています。また、2014年よりバングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」を継続的に実施。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開。https://euglena.jp