カラハリスイカ果汁の摂取が、PM2.5などの大気汚染物質による肺の炎症を抑制することを示す研究結果を確認しました

株式会社ユーグレナのプレスリリース

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、社長:出雲充)と武蔵野大学薬学部薬学科(東京都西東京市、学長:西本照真)の田中健一郎講師は、共同研究により、カラハリスイカ果汁の摂取がPM2.5※1などの大気汚染物質による肺の炎症を抑制することを示す研究成果を確認したことをお知らせします。なお、今回の研究結果は、2023年5月24日~25日に開催された「第76回日本酸化ストレス学会学術集会」※2で発表しました。
※1 PM2.5:大気中に浮遊している2.5μm(1μm = 1mmの1000分の1)以下の小さな粒子のこと
※2 「第76回日本酸化ストレス学会学術集会」:https://plaza.umin.ac.jp/sfrrj76/index.html

■研究の背景と目的

近年、おもに人間の社会活動に伴う大気汚染に起因する健康被害が問題になっています。年間死者数が喫煙による死者数を上回ったという研究報告や※3、大気汚染が新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)などの呼吸器疾患の発症・重症化に繋がる可能性も指摘されており※4、解決策を見つけることが急務です。 大気汚染による健康被害の原因であるPM2.5は非常に小さいため、肺の奥深くまで容易に到達し、肺の炎症を引き起こします。

今回、研究を行ったカラハリスイカは、アフリカ南西部のカラハリ砂漠に自生する野生種スイカの一種で、抗酸化作用※5があり、インフルエンザ予防効果やアルコール性肝障害症状の抑制効果などの保護作用を有する事が、当社の研究で明らかになっています※6,7,8。カラハリスイカの抗酸化作用や研究結果から、炎症を抑制する作用をもつ可能性が考えられますが、大気汚染により生じる肺の炎症に対する有効性は明らかとなっていませんでした。そこで今回は、大気汚染物質により誘発された肺の炎症に対するカラハリスイカ果汁の有効性を確認するために検証を行いました。

※3 J. Lelieveld, et al., Eur Heart J. 2019, 40, 20, 1590-1596. 

※4 S. Maheswari, et al., Environ Anal Health Toxicol. 2020, 35, 4, e2020020.

※5 抗酸化作用:活性酸素による過剰な酸化反応を抑える作用
※6 2016年10月24日付のリリース「カラハリスイカによるインフルエンザウイルス増殖抑制効果を確認しました」https://www.euglena.jp/news/n20161024/

※7 2020年5月21日付のリリース「カラハリスイカの摂取により、アルコール性肝障害症状を抑制することを示す研究結果を確認しました」https://www.euglena.jp/news/200521-2/

※8 2022年2月22日付のリリース「カラハリスイカのインフルエンザウイルス感染抑制作用は、含有する8-プレニルナリンゲニン等のポリフェノールによるものであることを示唆する研究成果を確認しました」https://www.euglena.jp/news/20220222-3/

■研究の内容と結果

①カラハリスイカ果汁の摂取が、大気汚染物質が誘発したマウスの肺の炎症を抑制することが示唆されました

今回、以下の3群を用意して、肺の炎症性細胞※9数および炎症性サイトカイン※10の遺伝子発現量を比較しました。

・何も摂取させない健康なマウス(以下、コントロール群)

・生理食塩水を経口摂取させた1時間後に大気汚染物質を投与したマウス(以下、大気汚染物質群)

・カラハリスイカ果汁を摂取させた1時間後に大気汚染物質を投与したマウス(以下、大気汚染物質+カラハリスイカ群)

その結果、コントロール群と比較して、大気汚染物質群では、肺の炎症性細胞数および炎症性サイトカインの遺伝子発現量が大幅に増加し、炎症反応が確認されました。

一方、大気汚染物質+カラハリスイカ群では、大気汚染物質群と比較して肺の炎症性細胞数および炎症性サイトカインの遺伝子発現量が有意に減少し、炎症反応が抑制されました(図1、2)。

※9 炎症性細胞:炎症に伴って増加する細胞のこと。マクロファージや好中球などの免疫細胞

※10 サイトカイン:免疫細胞が応答した際に産生されるタンパク質のこと。TNF遺伝子やIL-6遺伝子など

図1:マウスの肺の炎症性細胞

※炎症性細胞を紫色に染色しています

#p<0.05, ##p<0.01 vs大気粉塵群、 ** p<0.01 vs コントロール群、Dunnett’s test

図2:マウスの肺のサイトカインの遺伝子発現量

※発現量はコントロールとの相対評価で表示しています

#p<0.05、## p<0.01 vs大気粉塵群、 ** p<0.01 vs コントロール群、Dunnett’s test

②カラハリスイカ果汁の摂取による大気汚染物質が誘発したマウスの肺の炎症の抑制は、抗酸化作用を介していることが示唆されました

また、マウスの肺の活性酸素※11の産生量を解析したところ、大気汚染物質群では、コントロール群と比較して大幅な活性酸素の産生が見られましたが、大気汚染物質+カラハリスイカ群では活性酸素の産生が有意に抑制、つまり、抗酸化作用が確認されました(図3)。

※11 活性酸素:呼吸により体内に取り込まれた酸素の一部が通常よりも活性化した状態になること。活性酸素の産生が過剰になると酸化ストレスとなり、細胞損傷や炎症をもたらすなど疾患に深く関与する

図3:マウスの肺の活性酸素の産生量

#p<0.05 vs大気粉塵群、 ** p<0.01 vs コントロール群、Dunnett’s test

画像の色付き箇所はマウスの肺中の活性酸素の産生量

これら検証により、カラハリスイカ果汁の摂取が抗酸化作用を介して、大気汚染物質による肺の炎症を抑制することが示唆されました。

今後も当社は、カラハリスイカ果汁の機能性の解明を目指し、研究に取り組んでいきます。

<カラハリスイカについて>

カラハリスイカは、アフリカのカラハリ砂漠に自生する野生種スイカであり、スイカ本来の特徴に加え、過酷な砂漠環境ストレスから自らの細胞を守る能力と水分を保持する能力に優れています。そのため、アミノ酸の一種であるシトルリンなどの抗ストレス成分や保水に関わる成分を蓄えています。ユーグレナ社は2013年11月に植物ハイテック研究所を完全子会社化、カラハリスイカの研究を引き継ぎ、人々の健康増進への貢献を目指し、機能性解明に取り組んでいます。

<株式会社ユーグレナについて>

2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の生産に向けた研究、遺伝子解析サービスの提供を行っています。また、2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、2019年4月より化粧品を含む全グループ商品に拡大。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開。https://euglena.jp

<武蔵野大学について>

1924年に仏教精神を根幹にした人格教育を理想に掲げ、武蔵野女子学院を設立。武蔵野女子大学を前身とし、2003年に武蔵野大学に名称変更。2004年の男女共学化以降、大学改革を推進し12学部20学科、13大学院研究科、通信教育部など学生数13,000人超の総合大学に発展。2019年に国内私立大学初のデータサイエンス学部を開設。2021年に国内初のアントレプレナーシップ学部を開設し、「AI活用」「SDGs」を必修科目とした全学共通基礎課程「武蔵野INITIAL」をスタートさせる。さらに2023年に国内初のサステナビリティ学科を開設し、創立100周年を迎える2024年には国内初となるウェルビーイング学部を設置構想中。クリエイティブな人材を育成するため、大学改革を進めている。

武蔵野大学HP:https://www.musashino-u.ac.jp

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