アッヴィのプレスリリース
Epcoritamab、再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の成人患者さんに対する、初めてかつ唯一の二重特異性抗体治療薬としてFDAより承認を取得
イリノイ州ノースシカゴ、2023年5月19日(米国時間)-アッヴィ(NYSE: ABBV)は本日、米国食品医薬品局(FDA)が、2回以上の全身療法後に再発又は難治性(R/R)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、非特定型(NOS)(低悪性度リンパ腫に起因するものを含む)および高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)の成人患者さんに対する、初めてかつ唯一のT細胞誘導二重特異性抗体としてepcoritamabを承認したことを発表しました。epcoritamabは、奏効率および奏効の持続性に基づき、FDAの迅速承認プログラムのもとで承認されています。この適応に対する承認の継続には、検証試験において臨床的有用性を検証、説明することが求められることがあります。epcoritamabは、アッヴィとジェンマブ社とのがん領域における提携関係の下、両社が共同開発を行っている薬剤です。
DLBCLは、リンパ系に発生するがんである非ホジキンリンパ腫(NHL)の1つで、白血球の一種であるB細胞に異常が生じる病勢進行の早いリンパ腫です。DLBCLは最も多いNHLであり、米国では2022年に30,400人、全世界では毎年15万人が発症すると推定されています。DLBCL患者さんは通常、化学免疫療法をベースとしたレジメンで治療されます。再発又は難治性DLBCL患者さんに対して、T細胞介在性の治療を含む複数の標的療法が近年登場しています。しかし、単剤療法および既存の治療選択肢は限られています1, 2, 3, 4, 5。
アッヴィのsenior vice president, research and development兼chief scientific officerであるThomas Hudson, M.D.は、次のように述べています。「DLBCLは急速に進行して治療抵抗性を示すことのある悪性度の高いがんともいえます。FDAによるepcoritamabの承認は、DLBCL患者さんに対する三次治療における新たな作用機序の治療の提供につながります。DLBCL患者さんに対する化学療法以外の単剤療法として、epcoritamabがこの進行性のがんを効果的に治療し、患者さんの治療に迅速に使用されるよう、医師にお届けできることを期待しています。本承認は、B細胞悪性腫瘍患者さんに対する、中核となる治療法の開発を目指すという、パートナー企業であるジェンマブ社との共通目標の達成に向けた第一歩にすぎません」
アッヴィは、血液がん全体の標準治療を変革し、積極的にがん研究と治療パイプラインの開発を推進しています。がん患者さんの人生をより豊かにすることを願い努力を続けるなか、epcoritamabは、アッヴィの拡大中のオンコロジーポートフォリオにおいて、3番目に承認された使用可能な血液がん治療薬です。
City of Hope、Division of Lymphoma, Department of Hematology & Hematopoietic Cell TransplantationのAssociate ProfessorであるTycel Phillips, M.D.は、次のように述べています。
「再発又は難治性のDLBCL患者さんに対して、現在利用可能な治療選択肢は限られています。一般的に、これらの患者さんの予後は悪く、この病勢進行の早い疾患の管理は困難な場合もあります。epcoritamabは、皮下投与の二重特異性抗体で、こうした患者さんに対する新たな治療選択肢の提供につながります。本承認により、2回以上の全身療法で効果が得られなかった、あるいは 再発した後に追加治療を必要とする患者さんに、epcoritamabによる治療機会を提供することが可能となります」
Lymphoma Research Foundationのchief executive officerであるMeghan Gutierrez氏は、次のように述べています。 「FDAによるepcoritamabの承認は、新しい薬剤を求めている再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者さんに対して、新たな治療を届けることにつながります」
本承認の裏付けとなった第1/2相EPCORE™ NHL-1臨床試験の主な内容:
EPCORE NHL-1試験の拡大コホートでは、CD 20+DLBCL患者さん148名が登録され、その86%がDLBCL, NOSと診断され、このうち27%が低悪性度リンパ腫から発現したDLBCL、14%が高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)でした。前治療の回数(中央値)は3回(範囲:2~11回)で、30%が2回、30%が3回、40%が4回以上の前治療を受けていました。18%が自家造血幹細胞移植(HSCT)の治療歴を有し、 39%がキメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法歴を有していました。82%の患者さんは最後に受けた治療法に難治性を示し、29%はCAR-T細胞療法に難治性を示していました。
治療歴の多い再発又は難治性DLBCL患者さんにおいて、 epcoritamabによる全奏効率は61%、完全奏効率は38%、奏効期間(中央値)は15.6ヵ月でした。
epcoritamabについて
epcoritamabは、びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(DLBCL)および高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)のうち、再発した(再発性)または前治療に反応せず(難治性)、かつそのがんに対して2回以上の全身療法を受けた成人患者さんに処方される治療薬です。epcoritamabは患者さんから得られたデータに基づいて、米国で承認されました。現在、epcoritamabの臨床的有用性を検証するための試験が進行中です。epcoritamabの小児に対する安全性および有効性データは確立されていません。
epcoritamabはジェンマブ社の独自技術DuoBody(R)を用いて作製されたIgG1二重特異性抗体です。
ジェンマブ社のDuoBody-CD3技術は、細胞傷害性T細胞に選択的に作用し、標的細胞に対する免疫反応を誘導する技術です。epcoritamabは、T細胞上のCD3とB細胞上のCD20に同時に結合するよう設計されており、T細胞によるCD20陽性細胞傷害を誘導します5,6,7,8。
アッヴィおよびジェンマブ社は、血液悪性腫瘍の複数の治療ラインにおいて、epcoritamabの単剤および併用療法としての評価を行っています。これには、再発又は難治性のDLBCL患者さんを対象にepcoritamab単剤療法を評価する第III相非盲検無作為化試験(NCT:04628494)、新たにDLBCLと診断された成人患者さんを対象にepcoritamab併用療法を評価する進行中の第III相非盲検無作為化試験(NCT:05660967)、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(FL)患者さんにepcoritamab併用療法を評価する第III相非盲検臨床試験(NCT:05409066)が含まれます。両社は米国と日本においては、共同で商業化を担い、グローバルにおけるさらなる商業化についてはアッヴィが担当します。アッヴィは、今後も海外市場でのepcoritamabの規制当局への申請を年間を通じて行っていく予定です。
がん分野におけるアッヴィについて
アッヴィでは、複数の血液がんの標準治療の変革に取り組むとともに、多様ながん種に対する治験薬の開発を積極的に推進しています。献身的で経験豊富な当社のチームは、革新的なパートナーと協力し、画期的新薬となり得る製品の開発促進に努めています。当社は、世界で最も罹患者が多く、また最も消耗性が高いがん種に対し、20種類を超える治験薬を300件超の臨床試験で評価しています。当社の事業の目的は、人々の人生を豊かにすることです。そのため、患者さんが当社のがん治療薬にアクセスすることができるよう、ソリューションの探求にも取り組んでいます。詳細については、http://www.abbvie.com/oncologyをご覧ください。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、精神・神経疾患、アイケア、ウイルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティックスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.comをご覧ください。Twitterアカウント@abbvie、Facebook、Instagram、YouTubeやLinkedInでも情報を公開しています。
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6.Engelberts PJ, Hiemstra IH, de Jong B, et al. “DuoBody-CD3xCD20 induces potent T-cell-mediated killing of malignant B cells in preclinical models and provides opportunities for subcutaneous dosing.” EBioMedicine. 2020;52:102625. DOI: 10.1016/j.ebiom.2019.102625
7.Rafiq S, Butchar JP, Cheney C, et al. “Comparative Assessment of Clinically Utilized CD20-Directed Antibodies in Chronic Lymphocytic Leukemia Cells Reveals Divergent NK Cell, Monocyte, and Macrophage Properties.” J. Immunol. 2013;190(6):2702-2711. DOI: 10.4049/jimmunol.1202588
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