日本ヘアカラー工業会のプレスリリース
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調査背景
理美容師のヘアカラーによる皮膚トラブル経験者は消費者と比較してかなり多く、理美容師の皮膚トラブルを軽減していくためには、直接薬剤との接触をさけることができる手袋の着用を推進することが急務とされています。直近の理美容師を対象とした定量調査(JHCIA調べ)では、理美容師の手袋着用率は「ヘアカラーの塗布時」が66.3%、「ヘアカラーの乳化や流し時」が33.7%であり、手袋着用率は低値でした。
また、サロン現場、特に中型、小型サロンでは、手袋を着用して施術すると、「お客様が嫌がるのでは?」との心理が働き、シャンプー時など手袋を着用しない傾向にあります。
このような現状を踏まえ、一般消費者の意識(抵抗感や許容性など)を把握するため、「理美容室でヘアカラーを施術する際、理美容師が手袋を着用して一連の作業を行うこと」や「理美容師の手荒れまたは理美容師のヘアカラーによる手指・爪の汚れに対する印象」などについて調査を行いました。
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調査概要
■調査地域:全国
■調査方法:Web調査(クローズ型モニターサンプリング)
■調査対象:20~69歳 男女 (男性300名、女性750名)
理美容室で年に2回以上ヘアカラーで髪を染めており、理美容師が手袋を着用した状態で
ヘアカラーが行われたことがある方。
■調査日:2021年8月26日(木)〜9月6日(月)
■調査内容:理美容室でヘアカラーを施術する際の理美容師の手袋着用や理美容師の手荒れ及び
ヘアカラーによる手指・爪の汚れに対する印象に関する意識調査
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調査結果
■消費者は、ヘアカラー時の手袋着用を望む声が非常に高い
・ヘアカラー時、理美容師が手袋をしている事について気にならない方が多く、全ての世代で74.8%以上、全世代平均では82.6%を占めている。気になる方の理由でも「理美容師自身の手を守ることができて良い」が上位。
・ヘアカラー時、理美容師が手袋をしていても良いと思う作業では「ヘアカラーを塗る時」や「ヘアカラーを洗い流す時」等、カラー剤に直接触れる可能性のより高い作業が上位。「どんな時でも手袋を着用して欲しくない」は 0%。
・ヘアカラー以外で手袋をしていても良いと思う作業があるかでは、主にパーマ液に直接触れる可能性の高い作業が上位。
理美容師の手指や爪がヘアカラーで染まっているのを見たことがある方や、手が荒れているのを見たことがある方が感じたことでは、理美容師の身体を心配する声が最も高いほか、衛生面や安全面からも着用して欲しい と望む声も高め。
■理美容師が手袋を着用していても良いと消費者が思う割合は、実際の手袋着用状況よりも高い
お客様から見た、ヘアカラー施術時の「手袋をしていても良いと思う作業」と「手袋をしていたと認識している作業」
・手袋をしていた作業と、していても良いと思う作業では「ヘアカラーを塗る時」以外の全項目で、良いと思う数値の方が高い。
・「ヘアカラーを洗い流す時」では、全世代平均にて「手袋をしていても良い」と「手袋をしていた」の間で、
26.6%の差が見られている。
・「ヘアカラー後のシャンプーの時」では、全世代平均にて「手袋をしていても良い」と「手袋をしていた」の間で、19.4%の差が見られている。
■手袋着用の重要性を消費者が認識した場合、手袋着用を望む声が高い
下記の説明文をお客様が読んだ場合の手袋着用に対する意識
ヘアカラーを行う時、手袋をしていないと、理美容師の皮膚に肌トラブルが起こることがあります。
また、理美容師の肌トラブルについて、以下のことが分かっています。
・理美容師は一般の人よりも、手荒れを経験している人が多い。
・手荒れをしていると、アレルギーを発症する可能性が高まる。
・手袋着用は、理美容師の手荒れ防止の最も有効な手段である。
手袋着用により皮膚トラブルを防ぐことが出来る旨をお伝えすることで、お客様から手袋着用に対する理解をさらに得ることが出来ます。
・説明文を読んだ後における「手袋をしてほしい」と望む声は、96%以上を占める
・「手袋着用が気になっていた人」でも、説明文を読んだ後、「手袋をしてほしい」と望む声が 90%以上を占める
多くの理美容師は、シャンプーやヘアカラーなどで使用する洗剤・薬品に触れることが原因で、手荒れやかゆみを発症することが多いとされています。少しでも薬剤に直接接触せず、手荒れやかゆみを防いだり抑えたりするために、手袋を活用しましょう。 手袋の着用を習慣づけることが皮膚トラブルから肌を守るために大切です。
<JHCIAとは>
JHCIAは日本国内におけるヘアカラーの製造販売または製造するメーカーの団体です。昭和35年10月に設立し、正会員35社、賛助会員15社(令和5年6月現在)です。JHCIAの主な活動には、ヘアカラーに関する業界自主基準の作成・改正、安全性や規制情報の収集と分析、一般消費者や理美容師を対象とした調査の実施と啓発情報の提供、ヘアカラー等の薬事申請のノウハウを集めた染毛剤製造販売承認申請要領の作成・改訂などが含まれます。