ビクタルビ(R)、併存疾患を有するHIV陽性者への長期的な治療選択肢としてのリアルワールドエビデンスを発表

ギリアド・サイエンシズのプレスリリース

ビクタルビ(R)について、さまざまな併存疾患を有するHIV陽性者への 耐性バリアの高い長期的な治療選択肢として裏付ける リアルワールドエビデンスを発表

BICSTaR試験の3年間の結果は、ビクタルビの一貫した有効性および安全性プロファイルをさらに示し、HIV臨床ケアに対するインサイトを提供―

 
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は10月19日、治療歴のある、または併存疾患を有する人々を含む、幅広いHIV陽性者に対する治療レジメンとしてのビクタルビ(R)(ビクテグラビル50 mg/エムトリシタビン200 mg/テノホビルアラフェナミド25 mg錠(B/F/TAF))の安全性および有効性プロファイルを強調する、BICSTaR試験で得られた新たな長期リアルワールドデータを発表しました。これらの結果は、10月18日~21日にポーランド・ワルシャワで行われる第19回欧州エイズ学会(EACS 2023)で発表されます。
 
発表者であるドイツ・ハンブルクのICH Study Centerのミハエル・サブランスキー医師(Michael Sabranski, MD)は次のように述べています。「リアルワールド試験により治療の有効性や安全性プロファイルを理解することは、幅広いHIV陽性者に対するHIV臨床ケアをさらに理解する一助となります。BICSTaR試験の目的は、実臨床におけるビクタルビおよびその役割を、より包括的に理解することです。BICSTaR試験の3年間の結果は、さまざまなHIV陽性者におけるビクタルビのリアルワールドプロファイルをさらに支持しており、これらの結果は、ビクタルビの治療に関する無作為化臨床試験のエビデンスと一致しています」
 
現在進行中の国際共同、観察、実臨床BICSTaR試験から得られた新たなリアルワールドデータは、カナダ、フランスおよびドイツで登録されたHIV陽性者から収集されました。全体的に、ビクタルビは、3年間のフォローアップ後も被験者に対して非常に有効で、未治療被験者の97%(58/60)および治療歴のある被験者の97%(356/367)においてウイルス学的な抑制が示されました(HIV-1 RNA <50 copies/mL、欠測値は解析から除外)。さらに、治療に伴う薬剤耐性の発現は報告されませんでした。
 
全体的に、1年時、2年時および3年時に何らかの薬剤関連有害事象(DRAE)が発現した被験者は、それぞれ10%、2%および1%未満で、最も多く報告されたDRAEは、体重の変化(2%)とうつ病(1%)でした。3年間にわたり、未治療および治療歴のある被験者ともに、推算糸球体濾過量(eGFR)には数値的にわずかな中央値の変化が見られ、総コレステロール:HDLコレステロール比(TC:HDL)は安定していました。全被験者において、ベースラインから3年時までの体重変化の中央値は、未治療被験者で+4.3kg、治療歴のある被験者で+1.7kgでした。これらの結果は、過去に発表されたデータと一貫性を示しています。
一般的に、未治療のHIV陽性者は治療の開始により体重が変化しますが、これは部分的に健康回復効果によるものです。一部の被験者(7%)はDRAEのため、ビクタルビの投与を中止しましたが、中止の大半は最初の1年に発生しています。
 
以前からうつ病、不安、あるいは不眠症の症状を有する治療歴のある被験者から報告されたBICSTaR試験のメンタルヘルスに関するアウトカムも、EACS2023で発表されます。メンタルヘルスに関する症状を有する割合は、一般集団と比較して、HIV陽性者の方が高くなっています。精神的な健康不全は、HIVケアにおける全ての段階で、健康上のアウトカムに好ましくない影響を及ぼすリスクがさらに高くなる可能性があります。本試験のコホートにおいて、合併する精神疾患に対して薬物治療を受けながら、ビクタルビにスイッチしたHIV陽性者のウイルス量をベースライン時と24カ月時に評価しました。ウイルス学的抑制率は24カ月間にわたり、高い値を維持しました。欠測値を除外した解析において、94%(88/94)の被験者が、2年時にウイルス学的抑制を示しました(HIV-1 RNA <50 copies/mL)。自己申告によるうつ病、不安、または不眠症関連の症状は、ビクタルビによる治療期間を通して安定しており、Mental Health Component Summary scoreおよび治療満足度において、わずかに数値的な上昇がみられました。うつ病、不安、あるいは不眠症のDRAEは6%(7/123)報告があり、4名の被験者が治験薬の投与を中止しました。うつ病、不安、あるいは不眠症の重篤な有害事象(AE)は報告されていません。
 
本結果は、人中心のHIV研究のアプローチとして、患者報告アウトカムの重要性を強調するもので、健康関連QOL、特にHIV陽性者のメンタルヘルスへの影響をより理解する一助となるものです。また、これらの集団に対する治療戦略に役立つ可能性があります。
 
ギリアドのグローバル・メディカルアフェアーズ(HIV領域)バイスプレジデントのフェルナンド・ボグナー(Fernando Bognar, MD)は次のように述べています。「BICSTaR試験の最新結果は、HIV治療およびケアが、精神的な症状を有する人々を含む、HIVと共に生きる人々に及ぼす影響を直接評価したものです。EACSで発表される本結果は、複数の第III相臨床試験でみられた結果を補完するもので、ビクタルビの持続的な有効性、安全性プロファイルおよび高い耐性バリアを示しています。リアルワールドエビデンスおよび観察研究は、臨床試験と実臨床のギャップを埋めるのに役立ち、特にこれまでHIV臨床研究では取り上げられなかった特定の領域やコミュニティにおけるHIV陽性者の特徴に関する重要なインサイトを提供しています」
 
ビクタルビを評価するその他の研究試験には、未治療HIV陽性者、およびウイルス学的リバウンドを経験した後にビクタルビの治療を再開し、ウイルス学的に抑制されたHIV陽性者を対象とした9件の第III相無作為化試験の併合解析が含まれます。全被験者(3,772名)のうち、2.5%(96/3,772)がウイルス学的リバウンドを経験し、110件のウイルス学的リバウンド事象が発現しました。なお、ウイルス学的リバウンド事象は、ウイルス学的抑制達成後にウイルス量が1,000 copies/mL以上となった場合、と定義されました。最終評価時のリバウンドによりアウトカムが評価できなかった事象を除いた場合の再抑制率は93%(91/98)でした。
 
本試験により、ウイルス学的リバウンドを経験した被験者の大半は、ウイルス学的コントロールが再度得られてから30日以内に、ウイルス学的再抑制を達成したことが明らかになりました。持続性ウイルス血症を有する被験者において、治療に伴う薬剤耐性は発現しませんでした。これらの結果は、過去にウイルス学的抑制を達成し、その後治療を再開したウイルス血症を有する人々に対する治療選択肢として、ビクタルビの継続的な評価を支持するものです。治療失敗歴のある患者さんに対するビクタルビの使用は研究段階であり、本使用の安全性および有効性については明らかになっていません。
 
ビクタルビの米国での適応および枠組み警告を含む重要な安全性情報については、以下をご参照ください。
 
HIVまたはAIDSを治癒する方法は現在のところ存在しません。
 
BICSTaR試験について
Bictegravir Single Tablet Regimen(BICSTaR)試験は、未治療および治療歴のあるHIV陽性者を対象に、ビクタルビによる治療の有効性、安全性、忍容性、および患者報告アウトカムを評価する、現在進行中の国際共同、観察、単群、非比較、実臨床コホート試験です。BICSTaR試験に登録されているHIV陽性者は、ベースライン時に高い併存疾患の有病率を有しています。
 
ビクタルビについて
ビクタルビは、3種類の強力な薬剤の組み合わせで、インテグラーゼ阻害剤(INSTI)をベースとした1日1回1錠レジメン(STR)においては3成分を含有する最小のHIV製剤です。また、食事の有無にかかわらず服薬でき、薬物相互作用の可能性が低く、耐性へのバリアが高い薬剤です。ビクタルビは、ブースターを必要としない新しいINSTIのビクテグラビルとデシコビ(R)(エムトリシタビン200 mg/テノホビルアラフェナミド25 mg錠、F/TAF)をバックボーンとする配合剤です。ビクタルビは完全なSTRで、他のHIV治療薬と併用しないでください。
 
米国でのビクタルビの適応症
ビクタルビの適応症は、抗レトロウイルス未治療の成人および体重14 kg以上の小児患者さんに対するヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染治療、あるいは安定した抗レトロウイルス療法によりウイルス学的に抑制され(HIV-1 RNAは1 mLあたり50 copies未満)、治療失敗歴がなく、ビクタルビの個々の成分への耐性に関する既知の変異を示さない人々に対する現在の抗レトロウイルス療法に代わる治療となります。
 
米国におけるビクタルビに関する重要な安全性情報
枠組み警告:投与後のB型肝炎の急性増悪
・B型肝炎の重度の急性増悪は、HIV-1HBVに同時感染し、エムトリシタビン(FTC)および/またはフマル酸テノホビルジソプロキシル(TDF)を含む製品を中止した患者で報告されており、ビクタルビの投与中止に伴い生じる可能性があります。HIV-1HBVに同時感染し、ビクタルビの投与を中止した患者では、少なくとも数カ月間、臨床と検査の両面で経過観察し、肝機能を注意深くモニタリングしてください。該当する場合、B型肝炎治療が必要になる可能性があります。
 
禁忌
・併用投与:ビクタルビをドフェチリドまたはリファンピンと併用しないでください。
 
警告および注意
・薬物相互作用:「禁忌」および「薬物相互作用」の項をご参照ください。ビクタルビの投与前と投与中に薬物相互作用が生じる可能性を考慮し、副作用をモニタリングします。
発現までの期間が変わりやすい自己免疫疾患の発現を含む免疫再構築症候群が報告されています。
・腎機能障害の新規発現または悪化:急性腎不全、近位腎尿細管症(PRT)、ファンコニ症候群などの腎機能障害に関する市販後症例が、テノホビルアラフェナミド(TAF)含有製品で報告されています。推定クレアチニンクリアランス(CrCl)30 mL/分未満の場合、ビクタルビの投与を開始しないでください。ただし、慢性血液透析を受けてウイルス学的に抑制された15 mL/分未満の成人を除きます。腎機能障害のある患者および/または腎毒性物質(NSAIDなど)を服用している患者においては、腎関連の副作用リスクが高まります。臨床的に重大な腎機能低下またはファンコニ症候群のエビデンスが認められた場合、ビクタルビの投与を中止します。
腎モニタリング:ビクタルビの投与開始前/投与開始時/投与中には、臨床的に適切となるよう、全ての患者で血清クレアチニン、CrCl、尿糖、および尿蛋白を評価します。慢性腎臓病の患者では、血清リンを評価します。
・乳酸アシドーシスおよび脂肪症を伴う重度の肝腫大:FTCとTDFなどのヌクレオシド類似体使用による死亡症例が報告されています。乳酸アシドーシスまたは顕著な肝毒性を示唆する臨床所見や検査所見が発生した場合には、ビクタルビの投与を中止します。この所見には、顕著なトランスアミナーゼ上昇がない中での肝腫大および脂肪症があります。
 
副作用
・144週までの臨床試験最もよくみられた副作用(全てのグレードで5%以上)は、下痢(6%)、悪心(6%)および頭痛(5%)でした。
 
薬物相互作用
・処方情報:禁忌、警告、および臨床コメントを含む潜在的に重要な薬物相互作用の詳細については、ビクタルビの全処方情報をご参照ください。
・酵素/トランスポーター:P-gpを誘導する、またはCYP3AとUGT1A1の両方を誘導する薬剤は、ビクタルビの成分濃度を大幅に低下させる可能性があります。P-gpとBCRPを阻害する薬剤、またはCYP3AとUGT1A1の両方を阻害する薬剤は、ビクタルビの成分濃度を大幅に上昇させる可能性があります。ビクタルビは、OCT2またはMATE1を基質とする薬剤の濃度を上昇させる可能性があります。
・腎機能に影響を与える薬剤:腎機能を低下させる薬剤または能動的尿細管分泌で競合する薬剤とビクタルビとの併用は、FTCとテノホビルの濃度および副作用リスクを高める可能性があります。
 
用法および用量
・投与量:成人および体重25 kg以上の小児の場合:50 mgのビクテグラビル(BIC)、200 mgのエムトリシタビン(FTC)および25 mgのテノホビルアラフェナミド(TAF)を含む1錠を食事の有無にかかわらず1日1回服用します。体重14 kg以上25 kg未満の小児の場合:30 mgのBIC、120 mgのFTCおよび15 mgのTAFを含む1錠を食事の有無にかかわらず1日1回服用します。錠剤を丸ごと飲み込めない小児については、錠剤の全ての部分が約10分以内に摂取される限り、錠剤を分割して各部分を別々に服用することができます。
・腎機能障害:体重25 kg以上の場合、CrClが15 mL/分以上30 mL/分未満の患者、15 mL/分未満で慢性血液透析を受けていない患者、または15 mL/分未満で慢性血液透析を受けており抗レトロウイルス治療歴のない患者には投与を推奨しません。体重14 kg以上25 kg未満の場合、CrClが30 mL/分未満の患者には投与を推奨しません。
・肝機能障害:重度の肝機能障害のある患者には投与を推奨しません。
・投与開始前/投与開始時:HBV感染の検査を行います。
・投与開始前/投与開始時/投与中:臨床的に適切となるよう、全ての患者で血清クレアチニン、CrCl、尿糖、尿蛋白を評価します。慢性腎臓病の患者では、血清リンを評価します。
 
妊婦および授乳婦への投与
・妊婦:妊娠中におけるビクタルビの使用に関するヒトを対象としたデータが不足しています。別のインテグラーゼ阻害剤であるドルテグラビルは、神経管欠損に関連しています。妊娠中および受胎中にビクタルビを使用することのベネフィットとリスクについて話し合いをしてください。抗レトロウイルス妊婦レジストリ(Antiretroviral Pregnancy Registry、APR)は確立されています。APRから入手できたFTCに関するデータが、先天性欠損症の割合について米国の準拠集団と差がないことを示しています。
・授乳婦:HIV-1に感染した女性はHIV-1を伝播する可能性があるため、授乳をしないように指示してください。
 
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、全ての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、新型コロナウイルス、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。当社は、カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
 
ギリアドは30年以上にわたり、HIV分野におけるリーダーであり、革新者として治療、予防および治癒に関する研究の進歩を推進してきました。HIV感染症治療を目的とした初めての1日1回1錠レジメンや、HIV感染症の発症リスクを低減させるための曝露前予防(PrEP)を目的とした初めての抗レトロウイルス薬、初めての年2回投与の長期作用型HIV治療注射剤など、ギリアドの研究者らはこれまでHIV治療薬を12種類開発してきました。こうした医学研究の進歩により、何百万人もの人々にとってHIVは治療および予防が可能な慢性疾患となりました。
 
ギリアドは、世界中のHIV感染者の進化するニーズに対する解決策を提供するため、継続的な科学的イノベーションに取り組んでいます。パートナーシップと協力を通じて、当社は教育を発展させ、アクセスを拡大し、ケアに対する障壁に対処することも目指しながら、世界におけるHIVの流行を終結させることを目標としています。またギリアドは、Funders Concerned About AIDSが発表した報告書において、HIV関連プログラムの慈善資金提供者として第1位に認定されました。
 
将来予測に関する記述
本プレスリリースは、1995 年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があり、具体的には以下がそれに当たります:
ギリアドが現在見込まれる日程内に臨床試験を開始、進行、完了する能力、またはそれらが全くできない可能性、ビクタルビに関するものを含む現在進行中および追加の臨床試験において好ましくない結果が認められる可能性、および上述のいずれかの背景となる前提。これらのリスクやその他のリスク、不確定要素や要因については、米国証券取引委員会に提出している、2023年6月30日を期末とするギリアド社四半期報告書(フォーム10-Q)において詳細に説明しています。これらのリスク、不確定要素、その他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、「将来予測に関する記述」とみなされます。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではなく、リスクや不確実性を伴いますので、これに過度に依拠しないようご注意ください。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドでは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。

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