大正製薬のプレスリリース
~コラーゲン、老化マーカー、肌細胞の動きへの影響~
研究背景
※1 2021年6月30日発表リリース
『世界初、細胞の若返りの鍵「マイトリガーゼ」の肌での役割を解明 ミトコンドリア機能維持に着目したエイジングケア研究』
URL: https://www.taisho.co.jp/company/news/2021/20210630000793.html
2021年9月2日発表リリース
『若返りの鍵「マイトリガーゼ」を増やす成分の持つ効果とマイトリガーゼ減少が肌老化を加速させる可能性を発見』
URL: https://www.taisho.co.jp/company/news/2021/20210902000815.html
2021年12月15日発表リリース
『いつまでも若々しくいたい気持ちに応える、マイトリガーゼ研究の挑戦~これまでの研究成果と今後の展望~』
URL: https://www.taisho.co.jp/company/news/2021/20211215000873.html
研究成果
若齢(30代)及び老齢(60代)の女性の肌から採取した組織を用いて検討を行いました。加齢した肌では、コラーゲン構造の乱れが認められやすく、さらにマイトリガーゼが減少することを確認しました(図1)。
①マイトリガーゼの減少が「コラーゲン減少」の原因の一つに
マイトリガーゼを減少させた肌の細胞を用いて、コラーゲンに及ぼす影響を調べました。その結果、マイトリガーゼが減少した細胞では、コラーゲンの遺伝子発現量が減少し、コラーゲンを分解する酵素の遺伝子発現量が増加することが確認され(図2)、マイトリガーゼの減少が肌のコラーゲンを減少させる可能性が示されました。
さらに、マイトリガーゼを減少させた肌の細胞を用いて、細胞自体の老化への影響を調べました。すると、マイトリガーゼが減少した細胞では、細胞老化の指標である老化マーカー(p16遺伝子)の発現量が増加し(図3)、マイトリガーゼの減少が細胞自身の老化を引き起こす可能性が示されました。
マイトリガーゼが減少した肌細胞の動画を撮影し、細胞が移動する速度を解析したところ、マイトリガーゼの減少によって細胞の移動速度が低下することが明らかとなりました(図4)。ダメージによって肌が傷つくと、肌細胞が移動して傷を埋めますが、肌細胞の動きの低下は、傷修復の遅延に繋がります。以上のことから、加齢による傷の修復力低下は、マイトリガーゼの減少が一因となっている可能性が新たに示されました。
まとめ
当社は、健康で美しくあり続けたいと願う生活者の方々に向けて、これからも美しい肌に繋がる先端の美容研究を進め、その研究成果を皆様にお届けしてまいります。
<用語説明>
◆マイトリガーゼ(Mitochondrial Ubiquitin Ligase):
柳茂教授(学習院大学)が2006年に発見したミトコンドリアに存在する酵素。ミトコンドリアにおけるユビキチン化(タンパク質分解の目印)に関わることから Mitochondrial Ubiquitin Ligaseと名付けられた。
◆MMP1遺伝子:マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP1)遺伝子。細胞外マトリックス(コラーゲン、プロテオグリカン)の分解に関わっている。
◆p16遺伝子:細胞分裂を制御する遺伝子。老化細胞で特異的に発現増加する。
◆細胞移動:肌に傷ができた際には、傷に面した肌の細胞が移動して傷口を埋めることで修復が行われる。