スキリージ、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の成人患者さんに対する治療薬として欧州委員会の承認を取得

アッヴィのプレスリリース

アッヴィ、スキリージ(R)(リサンキズマブ)について、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者さんに対する治療薬として欧州委員会の承認を取得

 
ー 本承認により、スキリージ(R)(リサンキズマブ)は欧州連合で4番目の適応症取得
ー 2つの主要な第III相試験(INSPIRE寛解導入療法試験1、COMMAND維持療法試験2)から得られたデータに基づく承認
ー これらの試験において、スキリージは主要評価項目である臨床的寛解(Adapted Mayoスコア*に基づき判定)、主な副次評価項目である粘膜治癒**および組織学的・内視鏡的粘膜治癒を達成†,1,2
 
イリノイ州ノースシカゴ、2024年7月26日(米国時間)-アッヴィ(NYSE: ABBV)は本日、スキリージ(R)(リサンキズマブ)について、既存治療または生物学的製剤で効果不十分、効果減弱または不耐容であった中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎(UC)を有する成人患者さんの治療薬として、欧州委員会の承認を取得したことを発表しました3
 
リエージュ大学病院消化器内科教授兼科長およびリエージュ大学学部長(professor and head of gastroenterology, Liège University Hospital, dean of faculty, Liège University)であり、INSPIRE試験の治験責任医師であるEdouard Louis, M.D., Ph.D.は、次のように述べています。「潰瘍性大腸炎は、慢性的かつ予測不可能で、時に身体を衰弱させる疾患であり、潰瘍性大腸炎の患者さんは持続的な症状緩和を必要としています。INSPIRE試験およびCOMMAND試験でスキリージの投与を受けた患者さんでは、臨床的寛解と粘膜治癒に関して有意な改善が認められました。粘膜治癒は症状管理にとどまらず腸内壁の修復につながり、長期的な転帰の改善をもたらすため、これらの知見は重要なものです。今回の承認により、潰瘍性大腸炎患者さんにとって長期的な治療目標達成の助けとなる、新たな選択肢が提供されることになります」
 
世界では500万人が潰瘍性大腸炎に罹患していると推定され、罹患率は世界的に上昇しています4。潰瘍性大腸炎に特徴的な徴候および症状は、下痢、腹痛、血便、便意切迫感、直腸からの粘液排出、直腸痛および直腸出血です5。潰瘍性大腸炎患者さんは一般的に疼痛や不快感のため、日常活動を過ごす力や意欲が低下しています6
 
アッヴィのexecutive vice president, research & development兼chief scientific officerであるRoopal Thakkar, M.D.は、次のように述べています。「今回、UCの治療薬としてスキリージが承認されたことにより、既存治療または生物学的製剤など、さまざまな治療歴のある幅広い患者さんに役立つことが証明された新たな治療選択肢を医師の皆さまに提供するものです。注目すべきこととして、第III相試験では、特に生物学的製剤もしくはJAK阻害剤による治療歴がない、または効果不十分となったことがない患者さんにおいて、粘膜治癒に関して肯定的な結果が認められました。EUにおける潰瘍性大腸炎に対するスキリージの承認は、アッヴィのIBD(炎症性腸疾患、Inflammatory Bowel Disease: IBD)ポートフォリオを強化し、IBD患者さんの治療のためのさらなる選択肢を医療従事者の皆さんに提供するものです」
 
スキリージの用量については、寛解導入療法として0週、4週および8週時に1200 mgを静脈内(IV)投与し、その後維持療法として、12週時から8週間ごとに、個々の患者さんの症状に応じて180 mgまたは360 mgを皮下(SC)投与することが推奨されています。
 
スキリージの承認は、2つの第III相試験(INSPIRE試験およびCOMMAND試験)に基づいています1,2。これらの第III相試験の主要評価項目および主な副次評価項目の結果は以下の通りです。
 
主要評価項目:臨床的寛解
・INSPIRE寛解導入療法試験で、リサンキズマブ1200 mg IV群では、12週の時点でプラセボ群と比較して有意により多くの患者さんが主要評価項目である臨床的寛解(Adapted Mayoスコア*に基づき判定*)を達成しました(20%対6%、p < 0.00001)3
・COMMAND維持療法試験で、寛解導入療法のみを受けた対照群と比較して、52週の時点でリサンキズマブ180 mg SC群および360 mg SC群では有意により多くの患者さんが臨床的寛解を達成しました(25%に対しそれぞれ40%および38%、p ≤ 0.01)3
 
主な副次評価項目:粘膜治癒
・INSPIRE試験で、12週時に粘膜治癒**が認められた患者さんの割合はプラセボ群で12%であったのに対し、リサンキズマブ1200 mg IV群では37%でした(p < 0.00001)3
・特に、生物学的製剤またはJAK阻害剤による治療で効果不十分となったことがない患者さんにおいて、12週時に粘膜治癒が認められた患者さんの割合はプラセボ群で14%であったのに対し、リサンキズマブ1200 mg IV群では48%でした3
・COMMAND試験で、52週時に粘膜治癒を達成した患者さんの割合は、寛解導入療法のみを受けた対照群で32%であったのに対し、リサンキズマブ180 mg群では51%、360 mg群では48%でした(p < 0.001)3
・生物学的製剤またはJAK阻害剤による治療で効果不十分となったことがない患者さんでは、粘膜治癒を達成した患者さんの割合は、寛解導入療法のみの対照群で36%であったのに対し、リサンキズマブ180 mg群で60%、360 mg群で76%でした3
 
主な副次評価項目:組織学的・内視鏡的粘膜治癒(HEMH
・INSPIRE試験で、12週時にHEMH†を達成した患者さんの割合はプラセボ群で8%であったのに対し、リサンキズマブ1200 mg IV群では24%でした(p < 0.00001)1
・COMMAND試験で、52週時の時点で、寛解導入療法のみを受けた対照群と比較して、リサンキズマブ180 mg群および360 mg群では有意により多くの患者さんがHEMHを達成しました(23%に対しそれぞれ43%および42%、p ≤ 0.01)2
*Adapted Mayo スコアは、排便回数のサブスコア(SFS)、直腸出血のサブスコア(RBS)および内視鏡所見のサブスコア(ES)に基づきます。
** 粘膜治癒は、ESが1点以下で易出血性が認められない場合と定義しました。
†HEMHは、ESが1点以下で易出血性が認められず、かつGeboes スコアが3.1点以下の場合と定義しました。
 
両試験におけるスキリージの安全性プロファイルは、さまざまな適応症を対象としたこれまでの試験全体でみられた安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性のリスクは認められませんでした。観察された主な有害事象は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、貧血、上咽頭炎および関節痛でした1,2
 
第III相試験のINSPIRE寛解導入療法試験およびCOMMAND維持療法試験から得られた結果は、The Journal of the American Medical Association (JAMA)(2024年7月号)に公表されています。
 
スキリージは、ベーリンガーインゲルハイムとアッヴィの業務提携の一環で開発され、アッヴィが世界的に開発と販売を主導しています。
 
潰瘍性大腸炎(UC)について
潰瘍性大腸炎は大腸における慢性、特発性の免疫介在性の炎症性腸疾患(IBD)であり、直腸からより近位の結腸までのさまざまな範囲で粘膜の炎症が持続的に生じます7,8。UCに特徴的な徴候および症状は、直腸出血、腹痛、血性下痢、しぶり腹(圧迫感)、便意切迫感および便失禁です6,9。UCの経過は患者さんによって異なり、寛解から慢性難治性疾患までさまざまな経過をとり、ときには外科手術や生命を脅かす合併症の発症に至ることもあります6,9。重い症状と予測不可能な疾患経過は、患者さんにとって大きな負担となることもあり、しばしば生活に支障をきたすことも報告されています9
 
INSPIRE寛解導入療法試験について1
INSPIRE試験は、中等症から重症の活動期UCを有する患者さんを対象に、リサンキズマブの寛解導入療法(0週、4週および8週時に1200 mgをIV投与)の有効性および安全性を評価するために設計された第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験です。
 
本試験のトップライン結果は20233に発表しています。詳細はwww.clinicaltrials.gov(NCT03398148)に掲載されています。
 
COMMAND維持療法試験について2
COMMAND試験は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者さんを対象に、リサンキズマブ180 mgまたは360 mg SC投与の有効性および安全性を評価するために設計された第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、比較対照、52週間維持療法試験です。本試験では、再無作為化投与中止デザインを採用し、リサンキズマブIV投与による寛解導入療法を受け、リサンキズマブ投与が奏効した患者さんを再度、リサンキズマブ180 mg SC投与群、リサンキズマブ360 mg SC投与群またはリサンキズマブ投与中止群(寛解導入療法のみの対照群)に無作為に割り付けました。リサンキズマブ投与中止群(寛解導入療法のみの対照群)の患者さんは、試験終了時までリサンキズマブを休薬しました。この第III相試験の目的は、INSPIRE試験でリサンキズマブIV投与による寛解導入療法が奏効した中等症から重症の活動期UC患者さんを対象に、リサンキズマブ投与中止(対照群)と比較して、維持療法としてのリサンキズマブ180 mgまたは360 mgの有効性および安全性を評価することです。
 
本試験のトップライン結果は20236に発表しています。詳細はwww.clinicaltrials.gov(NCT03398135)に掲載されています。
 
スキリージ®(リサンキズマブ)について
スキリージは、インターロイキン-23(IL-23)のp19サブユニットに結合することによりIL-23を選択的にブロックするIL-23阻害剤です3。炎症プロセスに関与するサイトカインであるIL-23は、多くの慢性免疫関連疾患に関連すると考えられています10,11。スキリージは、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、クローン病および潰瘍性大腸炎の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)より承認されました3,12
 
世界各国で処方情報は異なります。完全な情報は各国の製品表示をご参照ください。
 
消化器領域におけるアッヴィについて
アッヴィは、潰瘍性大腸炎やクローン病といったIBD領域を大きく発展させるため、充実した臨床試験プログラムを実施し、最先端の研究に取り組んでいます。革新と学習、そして適応することを通して、IBDによる患者さんの負担を軽減し、患者さんの生活を長期にわたって豊かにすることを目指しています。消化器領域におけるアッヴィについて、詳細は以下をご覧ください。
https://www.abbvie.com/our-science/therapeutic-focus-areas/immunology/immunology-focus-areas/gastroenterology.html.
 
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、精神・神経疾患、アイケア、さらに美容医療関連のアラガン・エステティックスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.comをご覧ください。FacebookInstagramX(旧TwitterYouTubeLinkedInでも情報を公開しています。
 
References:
1.Louis, E. et al. (2023). “OP021 Risankizumab Induction Therapy in Patients With Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis: Efficacy and Safety in the Randomized Phase 3 INSPIRE Study.” United European Gastroenterol J. 11(8):26.
2.Louis, E. et al. (2024). “OP06 Risankizumab Maintenance Therapy in Patients With Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis: Efficacy and Safety in the Randomised Phase 3 COMMAND Study.” J Crohns Colitis. 18(1):i10-i12. doi: 10.1093/ecco-jcc/jjad212.0006.
3.SKYRIZI. Summary of Product Characteristics. https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/skyrizi-epar-product-information_en.pdf.  Accessed July 9. 2024.
4.Le Berre, C. et al. (2023). “Ulcerative Colitis.” Lancet. 402(10401):571-584. doi: 10.1016/S0140-6736(23)00966-2
5.National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. “Ulcerative Colitis.” https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/ulcerative-colitis/all-content. Updated September 2020. Accessed July 15, 2024.
6.Rapport, F. et al. (2019). “Patient Views About the Impact of Ulcerative Colitis and Its Management With Drug Treatment and Surgery: A Nested Qualitative Study Within the CONSTRUCT Trial.” BMC 7.Gastroenterol. 19(1):166. doi:10.1186/s12876-019-1085-y.
7.Gajendran, M. et al. (2019). “A Comprehensive Review and Update on Ulcerative Colitis.” Dis Mon. 65(12):100851. doi:10.1016/j.disamonth.2019.02.004.
8.Crohn’s & Colitis Foundation of America. “The Facts About Inflammatory Bowel Diseases.” https://www.crohnscolitisfoundation.org/sites/default/files/2019-02/Updated%20IBD%20Factbook.pdf. Published November 2014. Accessed July 15, 2024.
9.Mehta, F. (2016). “Report: Economic Implications of Inflammatory Bowel Disease and Its Management.” Am J Manag Care. 22(3 suppl):s51-60.
10.Duvallet, E. et al. (2011). “Interleukin-23: A Key Cytokine in Inflammatory Diseases.” Ann Med. 43(7):503-511. doi:10.3109/07853890.2011.577093.
11.Moschen, A.R. et al. (2019). “IL-12, IL-23 and IL-17 in IBD: Immunobiology and Therapeutic Targeting.” Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 16(3):185-196. doi:10.1038/s41575-018-0084-8.
12.Skyrizi.Highlights of Prescribing Information. https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2022/761262s000lbl.pdf. Updated June 2022. Accessed July 15, 2024.
 
 
 

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