資生堂とNTT、化粧品の触り心地を遠隔・非接触で体験できる技術開発に向けた共同研究を開始 ~両社の強みを活かし一人ひとりの多様なニーズに応え、新たな体験の機会創出をめざす~

株式会社資生堂のプレスリリース

 株式会社資生堂(本社:東京都中央区、代表執行役 会長CEO:魚谷雅彦、以下「資生堂」)と日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田明、以下「NTT」)は、資生堂の感性科学研究の知見とNTTの非接触情報提示技術を融合し、遠隔・非接触でも、化粧品の触り心地を視覚や聴覚を通して体験できる、革新的な技術の開発をめざし、共同研究を開始しました。

 これまでオンライン販売では、実際の商品やテスターに触れることなく化粧品の触り心地を伝える手段は限られており、動画や言語表現による情報提供が主流でした。本共同研究を通じてさらに体験価値を高め、将来的には遠隔・非接触でも触り心地を体験し、時間や場所、言語などの制約を超えて、いつでも世界中の一人ひとりの多様なニーズに応える新たな体験機会を創出します(図1)。

                                            図1 共同研究を通じてめざす世界

《背景》

 インターネット上での商品やサービスの売買、すなわちオンライン販売の急速な普及に伴い、多くの生活者がEC(Electronic commerce)を通じて化粧品を購入するようになりました。デジタル上での購買・体験活動の多様化が一般化している現在に対して、オンライン販売などの購買環境では、繊細で多様な化粧品の触り心地の確認など、店頭と同様に化粧品に直接触れて試すことができない課題があります。

 資生堂は、一人ひとりの美のニーズに寄り添い、いつでも・どこでも、ビューティーの力を享受できる機会を提供することで、人々が幸福を実感できるサステナブルな社会の実現をめざしています。その実現のために、資生堂の強みである人の感覚や心理といった主観的なものを客観的・科学的なアプローチで解き明かす感性科学研究とDX(デジタルトランスフォーメーション)の融合にも多数取り組んでいます。

 一方、NTTは、人間が感じ取る感覚・知覚の内容を、リアルに、そして豊かに伝達・共有することをめざし、これを可能にする社会をめざした研究開発を行っています。近年では、素材の柔らかさを非接触でお客さまに伝える技術提案を行っています※1。

両社のビジョンと新しい技術開発に必要な知見が合致したことから、この共同研究を開始するに至りました。

《両社の役割と活用するコア技術(図2)》

 資生堂は感性科学研究において、肌触りや化粧品の感触に関する知覚メカニズムの知見※2,3や、心地よい感触を生み出す製剤化の知見※4を提供し、NTTは質感を伝達する非接触情報提示技術※5や質感の錯覚に関する知見※6を提供します。

                    図2 両社の強みを活かした共同研究

《今後の展開》

 本共同研究は、人間が化粧品基剤に触れた時の触り心地を視覚や聴覚など複数の感覚の視点で探り、最終的には、化粧品基剤の触り心地をさまざまな感覚で再現する感覚インターフェースを実現します。この感覚インターフェースを活用することで、オンライン販売などで実際の商品やテスターに直接触れることが難しい状況でも、生活者が触り心地を体験できる新しい機会を創出します。これにより、一人ひとりの多様なニーズやライフスタイルに合った化粧品の選択や購入が可能になる世界をめざします。

《各社コメント》

株式会社資生堂 東條洋介 エグゼクティブオフィサー チーフテクノロジーオフィサー

 資生堂は2030年ビジョンとして、スキンビューティーを拡張し、生涯を通じて自分らしい健康美を実現する「Personal Beauty Wellness Company」を掲げています。その実現に向け、当社は生活者のニーズの変化や多様化、社会の潮流を敏感に捉え、期待を超える価値の創出を追求しています。本共同研究は、「感覚コミュニケーション」による新たなビューティー体験の創出につながると考えています。この体験が、デジタル化され利便性が上がった社会の裏側で、同時に生活者が感じている孤立感や満たされたいといった気持ちにも応える新しい体験となることを期待しています。今後も、当社の強みである感性科学研究を発展させ革新的な体験創出を加速していきます。

日本電信電話株式会社 木下真吾 執行役員 研究企画部門長 

 NTT は、2023年に新中期経営戦略「New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN」を掲げ、テクノロジーによる新たな価値創造を通じ、人々のWell-beingの向上に努めてまいります。そのためには、従来のデータ中心の情報処理に加え、人々の感性や情動などの深い理解が必要となります。資生堂は「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」を企業使命とする化粧品事業のリーディングカンパニーであり、人々の感性や情動に関して卓越した知見と技術を持っています。今回、資生堂と共通のビジョン実現に向けて、研究開発の連携を行えることを大変嬉しく思います。

《関連情報》

※1:Kawabe, T. & Ujitoko, Y. (2023). Softness perception of visual objects controlled by touchless inputs: The role of effective distance of hand movements. IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics.

https://doi.org/10.1109/TVCG.2023.3254522

※2:資生堂、高精度な触感評価を可能とする2種類のデバイスを独自に開発(2021年)

https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003181&rt_pr=trr21

※3:資生堂、化粧膜の物性が肌の柔軟感に影響することを発見 (2020年)

https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002983&rt_pr=trr21

※4:資生堂、リッチなコクとなじみの良さを両立する成分の開発に成功(2019年)

https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002744&rt_pr=trr21

※5:空中擬似触覚による質感提示をめざして

https://journal.ntt.co.jp/div/9679

※6:世界で初めて、写真や絵に動きを与える不思議な照明『変幻灯』を開発(2015)

https://group.ntt/jp/newsrelease/2015/02/17/150217a.html

▼ ニュースリリース

https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003887&rt_pr=trr21

▼ 資生堂 企業情報

https://corp.shiseido.com/?rt_pr=trr21

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