シワ原因「好中球エラスターゼ」の新知見

線維芽細胞への悪影響が判明

株式会社ポーラ・オルビスホールディングスのプレスリリース

 ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:片桐崇行)は、好中球(※1)から分泌され、シワの原因となるタンパク質分解酵素「好中球エラスターゼ」が、真皮を構成するコラーゲンやエラスチンを分解するだけではなく、真皮の維持に重要な線維芽細胞そのものにも悪影響を与えることを発見しました。


本研究で新たに分かったこと

  1.  好中球エラスターゼは、真皮線維芽細胞の増殖力(細胞活性)や遊走力(移動する力)を低下させる

  2.  好中球エラスターゼは、真皮線維芽細胞でのコラーゲン分解酵素の遺伝子発現を増加させる

  3.  好中球エラスターゼが分解したコラーゲン線維の上では真皮線維芽細胞の増殖力(細胞活性)が低下する

 また、シワを改善する医薬部外品有効成分ニールワン® (※2)がこれらの悪影響を抑制することを確認しました。これはニールワンの持つ好中球エラスターゼの活性阻害作用によるものと考えられます。本知見の一部は、2024年12月に開催される第49回 日本研究皮膚科学会にて発表予定です。

※1 免疫に関わる白血球の一種。

※2 三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウム。好中球エラスターゼの働きを阻害する。

好中球エラスターゼが真皮線維芽細胞に与える作用を評価

 当社では好中球が分泌するタンパク質分解酵素「好中球エラスターゼ」が真皮のコラーゲンやエラスチンを分解しシワ形成の原因となることを解明してきました(※3)。この酵素はコラーゲンやエラスチン以外にもさまざまなタンパク質を分解することが知られており、多方面からシワ形成につながるような影響を及ぼす可能性が考えられます。真皮の維持の要である線維芽細胞への影響を検証しました。線維芽細胞は、コラーゲンなどの線維上を動き回りながら新しい線維構造を作り、古くなったら分解するなど、多様な役割を担っています。

※3 参考リリース: 史上初!「シワを改善する」効能医薬部外品 ポーラ化成工業が製造販売承認を取得 (2016年7月14日発行) https://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20160714.pdf

 好中球エラスターゼは真皮線維芽細胞そのものにも悪影響を与えることが判明、ニールワン®はその作用を抑制  

 真皮線維芽細胞に好中球エラスターゼを添加したところ、線維芽細胞にとって重要な能力である増殖力や遊走力が低下してしまうことが判明しました。(図1、2)。

 他にも、線維芽細胞でのコラーゲン分解酵素(※4)の遺伝子発現が増えること(補足資料1)や、好中球エラスターゼで分解されたコラーゲン線維上では線維芽細胞が活発に増殖できなくなること(補足資料2)も分かりました。

 ただし、ニールワンも同時に添加した場合や、さらにシラカバエキスとユーカリエキスの混合物を添加した場合、好中球エラスターゼの悪影響は見られなくなりました。

以上の結果から、好中球エラスターゼは線維芽細胞そのものに対しても悪影響を与えて、シワ形成に関与している可能性が示されました。

※4 マトリクスメタロプロテアーゼ‐1(MMP-1)


【補足資料1】 好中球エラスターゼは真皮線維芽細胞でのコラーゲン分解酵素遺伝子の発現を増加させる

                                      
 真皮線維芽細胞に好中球エラスターゼを添加したところ、コラーゲン分解酵素の遺伝子発現が増加することを発見しました。また、同時にニールワンを添加した場合や、さらにシラカバエキスとユーカリエキスの混合物を添加した場合は、好中球エラスターゼだけを添加した場合に比べてコラーゲン分解酵素の遺伝子発現が抑制されることを確認しました(図3)。

【補足資料2】 好中球エラスターゼで分解したコラーゲン線維上では真皮線維芽細胞の増殖力が低下する

    
 好中球エラスターゼによって分解されたコラーゲン線維の上では、真皮線維芽細胞の増殖力が低下することを発見しました。また、同時にニールワンを添加した場合や、さらにシラカバエキスとユーカリエキスの混合物を添加した場合は、好中球エラスターゼだけを添加した場合に比べて細胞の増殖力が高まることを確認しました(図4)。

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