大人気のスキンケア成分「レチノール」を正しく知っていますか?【皮膚科医に聞く】レチノールの正しい取り入れ方を伝授!

株式会社ユーグレナのプレスリリース

 毎年様々な効果的なスキンケア成分を使用した製品が発売されていますが、近年、その即効性で大きな注目を集めている化粧品成分のひとつがレチノールです。レチノールは、ビタミンAの一種であり、個人差がありますが使用してすぐにお肌がスムースになったと即効性を感じることも多く、近年スキンケア業界で広く使用されている成分です。ターンオーバーの促進やシワの改善、くすみの解消などに効果があるといわれています。
 株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲充)が全国の20代から70代の女性1000人に行ったインターネット調査によると、レチノールについて「まったく知らない」という人は36.0%と4割を切っており、6割以上の人がその名称は耳にしたことがあるようです。しかし、効果についても正しく認知している人はわずか15.2%にとどまります。

株式会社ユーグレナ調査(調査期間:2024年9月12日~13日 調査対象:20代から70代の女性1000人 調査手法:インターネット調査)

 非常に高い効果を持つレチノールですが、肌質によっては副反応が見られることもあり、使用する際に注意すべきポイントのある成分です。より安全に、効果的に活用するために、皮膚科医の横山歩依里先生に効果や注意点を伺いました。

【監修】

エルムクリニック麻布院 院長 美容皮膚科医 横山 歩依里先生

広島大学医学部医学科卒業。JCHO東京新宿メディカルセンター及び関連病院(国立国際医療研究センター病院、東京山手メディカルセンター)にて勤務。皮膚科・形成外科研修。2022年7月 エルムクリニック麻布院 開院。美容皮膚科学会所属、ジュビダームビスタ認定医、ボトックスビスタ認定医、日本化粧品検定1級。

レチノールの歴史
 レチノールの歴史は、ビタミンAの発見に始まります。牛乳中に存在する脂溶性成分の中にビタミンAが発見されました。その後、この成分が成長や視覚機能に役立つということが確認されました。ビタミンAにはいくつかの形態がありますが、その一つがレチノールです。1950年代に入ると、レチノールのスキンケアにおける効果が注目され始め、特に、肌のターンオーバーを促進することが発見され、医療と美容の両面で使用されるようになっていきました。1980年代に、レチノイン酸(トレチノイン)が開発され、ニキビ治療薬としての使用がされるようになりました。
 1990年代から2000年代にかけて、レチノールはエイジングケア成分としても拡がりはじめました。より効果的で肌に優しいレチノールの派生物や安定化技術が研究され、最近は敏感肌でも使用できる製品も登場しています。

レチノールの効果
1.ターンオーバーの促進

皮膚のターンオーバー(肌の新陳代謝)を促進します。加齢とともに遅くなるターンオーバーが正常に戻ることで、古い角質がはがれ、肌が柔らかくなり、くすみも解消されます。

2.皮膚の厚み・弾力の増加
表皮細胞の厚みを増し、繊維芽細胞を刺激してコラーゲンの生成を促進します。これにより、肌の弾力性が向上し、シワが目立ちにくくなるといわれます。

3.皮脂の抑制と毛穴の改善
皮脂の分泌を抑える働きがあり、ニキビの予防や毛穴の広がりを抑える効果も期待できます。

使用する際に注意すべきこと
1.初めて使用する場合の注意点
レチノールは美容成分の中でも強力な成分であるため、初めて使用する際は少量から始め、肌の反応を見ながら徐々に量を増やすのが良いでしょう。

2.紫外線により効果が減少する
紫外線に弱く、使用後は肌のバリア機能が一時的に低下するため、製品によっては夜間のみの使用が推奨される場合もあります。もしも日中に使用する場合は、レチノールを塗った後、必ず高いSPFの日焼け止めを併用してください。

3.使用してよい部位と避けるべき部位
顔全体に使用できますが、皮膚が薄い部分(首、まぶた、リップなど)は特に注意が必要です。これらの部位は赤みや腫れが出やすいため、避けるか、薄く塗るようにしましょう。

4.他成分との組み合わせについて
ピーリング系成分との併用はNG

AHA(アルファヒドロキシ酸/フルーツ酸)やサリチル酸などの強力なピーリング成分とレチノールを重ねて使用すると、肌に過剰な負担がかかってしまい炎症を引き起こす可能性があるので、同時に使用するのは避けましょう。

併用が推奨される成分
ハイドロキノンやビタミンCは、レチノールと併用することで、より効果的にシミや色素沈着の改善が期待できると考えられています。

5.市販品にチャレンジする際はマイルドな「次世代型レチノール」を
クリニックで処方されるレチノールは効果も高いですが、医師の指導のもと量や頻度などに注意を払って使用する必要があります。
近年、市販の化粧品でもレチノールを配合したものは人気を博していますが、肌が弱い方や合わない方だと肌の赤みや皮むけ、かゆみといったA反応(レチノイド反応)※1と呼ばれる副反応が現れる場合があります。そのリスクを低減するために、最近では「次世代型レチノール(レチノイン酸ヒドロキシピナコロン)」と呼ばれる、反応がマイルドな成分も登場しています。従来のレチノールの効果はそのままに、刺激を軽減し、より安定した形で肌に作用するように設計された新しいレチノールの形態の成分です。市販のスキンケアでレチノールのものを選ぶ際は、次世代型レチノールを配合したもののほうが安心かもしれません。

 レチノールは、美肌効果が高い一方で、使い方に注意が必要な成分でもあります。正しい使用方法と成分の組み合わせを守ることで、より健康的で美しい肌を目指したいですね。まずは自分の肌質に合わせて少量から始め、徐々に使い慣れていくことをおすすめします。

※1 ビタミン A が不足している肌(新陳代謝の遅い眠っていた肌)に、急に多くのビタミン A を補給した時、肌の新陳代謝が促進されることで起こる反応のこと

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