東大発スタートアップ「AI予防医学研究所」シードラウンドとして5,000万円を調達

特別な検査を必要とせず健診データのみで認知症リスク判定する画期的AI「AICOG」予防医療事業本格参入、創薬、保険・金融などの分野での活用を目指し会社設立

株式会社AI予防医学研究所のプレスリリース

  • 企業設立と資金調達の背景

日本は超高齢社会であり、認知症等の高齢者疾患の予防による健康寿命の延伸は、医療費の抑制、社会・地域の活性化につながる取り組むべき重要な課題となっています。それに伴い、近年、従来の医療である、診断・治療に加え、疾病にかかる前段階での早期の予防を目指した「予防医療」が注目されています。特に、「デジタルヘルスケア」と呼ばれる、デジタル技術の活用を通じた科学的データに基づく健康管理や疾病予防が、医療やヘルスケアの向上に繋がることが期待されています。

当社は、コア技術としてAIを活用した認知症リスク評価モデル「AICOG」を有し、人工知能を活用した革新的な予防医学ソリューションを提供することで、健康管理の未来を形作ることを目指しています。AICOGの最大の特長は、認知症のリスク判定にあたり特別な検査を必要とせず、一般の健康診断のデータのみでリスク推定が可能という点です。定期健診以外の特別な検査は必要なく、過去の健診データの解析や大規模スクリーニング検査を実施することが可能です。

このたびの会社設立と資金調達により、認知症の予防医療事業への本格参入はもちろんのこと、創薬・治験でのデータ活用、保険等金融分野への信用スコアリング等の事業展開を目指しています。デジタルヘルスケア分野の課題は、判定に必要なデータ取得のため特別な検査やウエアラブルの使用が必要な点でした。検査やデータ測定に費用や手間がかかることから、AIの精度向上に必要な深層学習データの絶対量が不足しがちとなり、また一般の人々への普及のハードルとなっていました。一方、AICOGは自治体・企業で幅広く実施される健診データのみで判定が可能なため、それら課題をクリアすることができました。「健診データ」という基本的に誰もが簡単に取得できるデータをベースにリスク判定ができるため幅広い分野に応用ができ、予防医療分野以外にも、創薬や金融、健康経営などの分野でも事業展開が期待できる革新的なテクノロジーです。

以下の4つの分野でのビジネスの展開を予定しています。

① 医療分野でのAICOGの活用を通じ予防医療への寄与(医療機関・健診機関・自治体向け)

② 創薬や治験分野におけるデータ活用(製薬企業向け)

③ 保険等、金融分野での信用スコアリング活用(保険・金融企業向け)

④ 自治体の予防医療促進、企業の健康経営等への活用(自治体・一般企業向け)

また、世界に目を向けると、世界の認知症有病数は現在、およそ3,560万人に上ります。そして、2030年までに2倍の6,570万人、2050年までに3倍の1億1,540万に増えると予測されています。(※1)こういった状況を鑑みて、長期的にはグローバル展開を視野に入れて事業を進めてまいります。

※1 三菱UFJ信託銀行「認知症の現状と将来推計」世界保健機関(WHO)報告書データより

https://www.tr.mufg.jp/shisan/mamori/dementia/02.html

  • 資金調達の目的と用途

・サービス開始に向けた基幹システム開発、運営環境(要員)の整備

・営業体制の構築、事業体制の構築

・内部データ管理、データ統計情報、UI/UX開発(プロジェクト対応)、ユーザーフレンドリーなインターフェースの構築

・AICOGのテストとレポートの最適化

  • 今後の展望

医療、創薬、保険、健康保健など各分野で事業シナジーが期待できる新たな企業、団体及び代理店を開拓し、AIを活用した認知症予防プラットフォーム「AICOG」の普及を行ってまいります。具体的には、自治体や一般消費者向けのセミナーやイベントを積極的に開催することで、認知症予防という社会課題に対する啓蒙とAICOGの認知度向上を目指します。特に、保険業界との協業を通じ、AICOGの活用による健康増進を目的とした新たな保険商品の開発を目指します。また、自治体との連携では、地域住民向けの健康増進プログラムの開発や、認知症予防に関する啓発活動に貢献していきます。これらの取り組みを通じて、AICOGを軸とした新たなビジネスモデルを構築し、社会全体の健康寿命延伸に寄与していきます。

  • AI予防医学研究所と外部組織の提携実績

・2024年9月 東京大学:AICOGの基本特許の利用権を付与、AILEXに関して共同研究を行うことが決定

・2024年10月20日 AI予防医学研究会:AI予防医学研究所と全国のクリニックとのネットワークを持つ医療機関専門サプリメントメーカー株式会社ヘルシーパスの協力の元、「AI予防医学研究会」を発足、全国50件のクリニックにおいて、AIを活用した予防医学に関する研究と、AICOGの深層学習の進化を目的としたテスト運用を開始。

  • AI予防医学研究所発足にあたり、株式会社ヘルシーパス 代表取締役社長 田村 忠司様コメント

「認知症は現時点では、発症後に根治が期待できる治療法が見つかっておらず、誰にとっても罹りたくない病気です。一方でこの病気は栄養状態や運動習慣、コミュニケーションの改善によって、かなりの程度まで予防可能なことが分かってきています。AIを活用して健診のデータから認知症リスクを判断するAICOGは、私たち一人一人が自身の生活習慣の弱点に気づき、認知症をはじめとする生活習慣病のリスクを低下するために行動変容するきっかけになり得ます。多くのドクターがAICOGを活用してくださり、私たちが認知症を回避できる未来が来るように、サポートさせて頂きます。」

  • AICOGの過去実績

・2020年~ 明治安田生命 認知症保険 明治安田生命の認知症保険に採用。以来、累計13,835例に対して活用(2023年8月時点の実績)

・2023年8月~ 羽曳野市との連携事業。曳野市の過去11年分の特定健診・市民健診データを解析して、認知症の予防に関する取り組みを行う。

・2024年10月 山梨県においてAICOGの実証事業を開始。

  • 東大の認知症予防研究と「AICOG」について

超高齢社会において健康寿命の延伸は、医療費の抑制、社会・地域の活性化につながる取り組むべき重要な課題です。厚生労働省がまとめた推計によると、認知症の高齢者は2025年には471万6000人、2040年には584万2000人にのぼると推計されています(※2)

アルツハイマー型認知症などの変性性認知症を完全に治す治療法はまだありません。そこで、予防・早期発見が重要となります。東京大学高齢社会総合研究機構及び大学院新領域創成科学研究科では、AIを用いて一般の健診データよりフレイル・認知症の早期発見と予防法の研究開発を行ってきました。

AICOGは、酒谷薫により開発された、生活習慣病やフレイルなどの全身性代謝障害より認知障害リスクを推定するアルゴリズムです。人工知能(AI)の深層学習を応用して、健診データを解析、認知機能リスクを推定します。AICOGはアミロイドβなどアルツハイマー型認知症に特徴的なバイオマーカー測定を必要とせず、一般の健康診断のデータのみでリスク推定が可能、定期健診以外の特別な検査は必要ありません。そのため、過去の健診データの解析や大規模スクリーニング検査を実施することが可能です。さらに、健診の血液データなどから認知症のリスクとなっている病態を個人ごとに推定し、パーソナライズされた食事療法や運動療法を指導できるメリットもあります。(Front Neurol 2020, 2022;特許第6702836号,特許第6845716号)。

※2 厚生労働省発表 「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」

(認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」令和5年度老人保健事業推進費等補助金九州大学二宮利治教授) 

https://www.mhlw.go.jp/content/001279920.pdf

  • AI予防医学研究所 構成メンバー

・代表取締役CEO 酒谷薫 (さかたに・かおる)

医学博士、工学博士。東京大学高齢社会総合研究機構特任研究員(東京大学大学院新領域創成科学研究科前特任教授)、医療法人社団醫光会理事長。(一社)脳とこころの健康科学研究所理事長。

米ニューヨーク大学医学部脳神経外科研究所(助教授)、米イェール大学医学部神経内科(客員助教授)にて神経外傷の生理学的研究に従事。2003年、日本大学医学部脳神経外科教授、12年、同大学工学部教授、19年、東京大学大学院新領域創成科学研究科特任教授を経て現職。ストレス性脳障害を対象とした「脳の健康外来」(日大板橋病院)を立ち上げるなど脳神経医学の第一人者。『臨床が変わる! 医療AIシンプル・レクチャー・ブック』(新興医学出版社)など著書多数。

  • 会社概要

会社名: 株式会社AI予防医学研究所

設立日: 2024年6月

所在地: 東京都新宿区新宿5-11-25 アソルティ新宿5丁目302

代表取締役: 酒谷 薫

事業内容: AI技術を活用した予防医学システムの開発・運営、健康管理アプリケーションの提供

プレスリリースに関するお問い合わせ:ap-kanri@aipremed.ai

今、あなたにオススメ