世界的に共通する美容・化粧品の2025年トレンドとインド市場に参入する際に注意すべきポイント
株式会社ミンテルジャパンのプレスリリース
ロンドン本社を含め13か国にオフィスを構える市場調査会社「Mintel Group」の日本法人であり、美容やライフスタイル分野、食品・飲料におけるグローバル調査に強みを持つ、株式会社ミンテルジャパン(東京都千代田区)は、2025年1月15日から3日間に渡り開催された、COSME Week 東京 2025に出展し、会期2日目にビューティー&パーソナルケア部門 アソシエイトディレクター(インド)、ターニャ・ラジャニが「2025年 美容・パーソナルケアのグローバルトレンドとインドの美容市場の可能性を解き明かす」と題した講演を行いました。
本プレゼンテーションでは、世界とインド市場のトレンドという2つのパートに分けて講演を行いました。前半では、世界各国の美容・化粧品のトレンドと消費者動向を観測するミンテルが、2025年とそれ以降に消費者が求めるものを予測し発表した3つのトレンド「(私の)知は力なり」、「潮流を変える」、「じっくり考え、素早く動く」について解説。後半では、日本企業が人口世界一位の国となったインド市場に参入する際に押さえておくべきインドの現状や注意すべき文化の違いなどをご紹介しました。さらに、ミンテル独自の消費者データなどを基に、インドの消費者が求める美容成分、美容品の特徴についても、ブースでの展示品などを例にとり、詳しくご紹介しました。
本講演資料のダウンロードはこちら: https://www.mintel.com/jp/cosme-jan-2025/
取り上げたトピック
1.2025年:世界の美容・化粧品トレンド「手軽に美しさを維持」
「環境への配慮は基本要件」「感情的なつながりが生み出す心地よさ」
2.インドの消費者とは:人口動態や消費者が今、求める価値
3.Mintel Sparkを活用した新商品開発の例
1.2025年:世界の美容・化粧品トレンド「手軽に美しさを維持」
「環境への配慮は基本要件」「感情的なつながりが生み出す心地よさ」
ターニャはまず、ミンテルが発表した2025年のトレンド「(私の)知は力なり」、「潮流を変える」、「じっくり考え、素早く動く」について解説しました。
1つ目のトレンド「(私の)知は力なり」では、消費者が日々SNSやインターネットなどで情報収集し、美容・化粧品の使い方や成分などについて以前よりも多くのことを、インフルエンサーなどから知識を得て知っていることに触れました。
ターニャは、「消費者は闇雲に様々な商品を試してみるのではなく、自分が求める効果を発揮するものを知り、手軽に美しさを維持したいと思っています。例えば、今回ミンテルのブースでも展示している、JAWLINERのフィットネスガムが良い例です。こちらの商品は非常に硬くつくられたガムです。噛むことで、顔や首の筋肉を鍛えることができ、フェイスラインを整えることができます。昨今のSNSで顕著な、ルックスマキシング・トレンド(自分の外見を最大限に良く見せようとするライフスタイル)を象徴しています。」とし、ブラジル、インド、日本でミンテルが行った消費者調査のデータも交えながら説明しました。
さらにターニャはサラという架空の人物を例に挙げ、このトレンドがさらに進んだ際に予想される未来の消費者の一日を解説しました。
「サラは朝起きると、ARメガネを身に付けます。すると、天気や彼女の肌の状態に合わせて最適なスキンケアやUVカットの商品が提示されます。彼女が着る服に合うメイクアップも提示してくれます。一日を通してARメガネだけでなく、彼女のスマートウォッチもメイクのお直しのポイントなどを提案してくれます。サラは帰宅するとオンラインコミュニティに参加し、そこでメイクのコツやトレンドなどの情報交換をします。このように、未来の美容・化粧品の消費者はテクノロジーやSNSなどに大きく影響を受けつつも自分ですべてをコントロールできるようになることが予想されます。」
2つ目の「潮流を変える」トレンドでは、消費者が美容・化粧品に求めるサステナビリティについて解説しました。
ターニャは、「このトレンドでは、美容・化粧品の基本要件となっている『サステナビリティ』をどのように機能性や美容効果と両立させるかに焦点を当てています。『サステナビリティ』は人々が商品を購入する動機にはなりません。一番に消費者の頭にあるのは、必ず機能性や美容効果です。しかし、『サステナビリティ』は各企業やブランドを差別化する要素になります。また、『サステナビリティ』に配慮していないということは、購入しない理由となりえます。」とし、すでに世界各国の企業が取り組んでいる環境に配慮した製品開発について例を挙げながら解説しました。
3つ目の「じっくり考え、素早く動く」トレンドでは、美容・化粧品が持つ、感情にうったえかける、ノスタルジックなつながりとそこから生まれる心地よさについて紹介しました。
ターニャ:「美容・化粧品は消費者の気分を向上させるものです。自分の外見に自信をつけるためのものでもあります。つまり、人々のウェルビーイングにも強く結びついています。消費者は『自分の肌がどのように見えるか』を気にしているのではなく、『自分の肌がどのような状態であるか』をもっと気にしています。ミンテルの行った調査によると、『65%のインドの消費者が歯磨き粉に含まれるハーブの香りが子供の頃を思い出させる』と回答しており、消費者が商品を選択する際に感情的なノスタルジックな要素も重要であることを示しています。」
2.インドの消費者とは:人口動態や消費者が今、求める価値
講演の後半では、今後、美容・化粧品のカテゴリにおいて成長の可能性を秘めているインド市場について現地アナリストとして解説しました。
ターニャはまず、インドの平均年齢が29歳で、世界でも最も若い人口を有する国であり、前半部分で触れた世界の美容トレンドに非常に興味を持って情報収集をしていると説明しました。また、インドの平均所得は10年前と比較して2倍以上に増加し、購買力のある中間層も成長しています。2024年9月にミンテルが行った調査によるとインド人の33%が1年前と比較して自分たちの経済状況が大幅に良くなったと回答しています。
ミンテルグローバル消費者調査より抜粋
調査対象:18歳以上のインターネットユーザー1,000人
出典:国際労働機関;Kantar Profiles/Mintel、2024年9月
こういった状況を受けて、インドの消費者は低価格よりも「価値」を求めていることが分かっています。インドの消費者は伝統的に価格に対して非常にシビアですが、品質や利便性の高い商品にはお金を払うことをいとわないことが、ミンテルの調査からも示されています。また、インドの消費者は新しい体験に対してオープンであり、新しい製品やサービスに対して支出を惜しまないことも調査から判明しています。
・80%のインドの消費者が、
高品質な製品にはより高い金額を支払う価値があると考えている
・80%のインドの消費者が、
生活を楽にする製品にはより高い金額を支払う意思があると回答
・66%のインドの消費者が、高価な製品ほど品質が高いと考えている
ミンテルグローバル消費者調査より
調査対象:18歳以上のインターネットユーザー1,000人
出典:Kantar Profiles/Mintel、2023年9月
では、インドの消費者が求める美容・化粧品とはどのようなものなのでしょうか。ターニャは次のように解説しました。
「インドの消費者を捉える鍵は『ナチュラル成分』と『科学的根拠に基づいた効果』です。インドでは、ナチュラル成分は安全であるという認識があり、同成分への根強い信頼感があります。また、世界の消費者と同様に、インドの消費者も美容・化粧品に効果・効能を求める傾向が強まっており、科学的裏付けが重要になってきています。インドでダーマコスメの発売が活発になってきているのは、こういった消費者ニーズに応えるためです。」
また、ターニャは、日本企業がインド市場に参入する際の障壁として、「1.複雑な規制やコンプライアンス対応」、「2.ブランドロイヤリティの高いインド現地の老舗ブランドとの競合」、「3.インド国内で地域ごとに異なる文化的な規範や消費者の嗜好への適応」の3つを挙げ、特に3点目に関しては、大きく分けて北と南、西と東の地域で好まれる成分やスタイルが違うことを説明しました。
SNSの会話を分析するソーシャルリスニングのデータを見ると、韓国の美容・化粧品はすでにインドで認知度を高めており、存在感を示しています。日本企業の進出は財務省の貿易統計からみてもまだ小規模ですが、メイドインジャパンを謳うインドのブランド「ILEM Japan」が登場するなど、インドの消費者の間で日本の美容・化粧品に対する関心が高まっているのが感じられます。
3.Mintel Sparkを活用した新商品開発の例
最後にターニャは、講演内で解説したインド市場における消費者の嗜好などを踏まえ、ミンテルが発表した新サービスMintel Sparkを使用して作成した商品コンセプトを紹介しました。
Mintel Sparkのお問い合わせはこちら:
https://www.mintel.com/jp/products/spark-concept-generator/
講演の詳細のお問合せや取材の申し込みについては、ミンテルジャパンまでお問い合わせください。
【ミンテルブースのご紹介】
ブースでは、講演者のターニャが本展示会のためにピックアップした「インドの美容・化粧品」およびミンテルの「2025:世界のビューティ&パーソナルケアトレンド」レポートに掲載している海外製品を展示しました。ご興味のある方は、ぜひミンテルジャパンまでお問い合わせください。
■ミンテル市場調査レポートについて
各国の市場を把握するための市場調査レポートシリーズ。インドや日本だけでなく、アメリカ、イギリス、中国、タイレポートなども発刊。
日本市場版であるミンテルジャパンレポートは、新製品開発のヒントになるグローバルトレンドと日本におけるその意味について理解を促し、日本市場における商機を探るレポートシリーズ。「美容・化粧品」、「ライフスタイル」、「食品・飲料」分野のレポートをサブスクリプション方式でご提供しています。グローバルと日本、双方の視点でトレンドを捉えることが可能です。
■ミンテル 世界新商品データベース(GNPD)について
世界86ヵ国の日用消費財の新商品を、原料や訴求内容から検索することができるデータベースです。世界各国に配置されたミンテルの調査員が、日々新商品の収集を行うことで、毎月約4万点の商品パッケージ情報をデータベース化し、GNPDを構築しています。商品のあらゆる情報を掲載しているため、様々な視点から世界の製品トレンド分析を行うことが可能です。
■市場調査会社ミンテルの強み
ミンテルに在籍する各分野の専門家であるアナリストは、GNPDに蓄積されたデータや独自の消費者調査、外部データなどを組み合わせて、消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測を行い、レポートを執筆しています。ミンテルは常に「消費者」に焦点を当て各サービスを展開しており、「消費者が何をなぜ求めているかを探るエキスパート(Experts in what consumers want and why.)」をコーポレートスローガンとしています。
■株式会社Mintel Japan(ミンテルジャパン)
ミンテルジャパンは、ロンドンに本社を置く大手市場調査会社「Mintel Group」の日本法人です。専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っております。
その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあります。日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開しています。