2025年版有職者10,000人の「睡眠偏差値®」調査結果報告

平均睡眠時間は頭打ちか、体感睡眠時間は実睡眠時間より23分短い

株式会社ブレインスリープのプレスリリース

株式会社ブレインスリープ(本社:東京都千代田区、代表取締役:廣田 敦、以下「ブレインスリープ」)は、全国47都道府県の1万人(性別・年齢・都道府県で割付)を対象として、「睡眠偏差値®」調査を2020年から実施しており、2025年で6年目を迎えました。睡眠偏差値は、睡眠習慣や睡眠負債など睡眠状態を直接判定する項目に加えて生産性やストレスの程度、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクなどを総合的にスコアリングする手法です。今後この調査結果を活用し、日本の睡眠のさらなる改善を目指すべく、様々な活動をおこなっていきます。

睡眠偏差値® 調査結果ページ https://brain-sleep.com/pages/research2025

■調査結果サマリー

ブレインスリープ社は、睡眠に関する様々な尺度から「睡眠偏差値®」を構成し、日本人の睡眠実態を把握する試みや企業の従業員様向けの健康経営サービスなどへの展開を進めてきました。今回、2025年版の睡眠偏差値の測定を実施し、新たに下記5つの項目について、日本人の睡眠における特徴を明らかにしました。

1.日本の睡眠時間の変化

2.睡眠状態誤認

3.定時後の優先行動の理想と現実のギャップ

4.通勤時間と睡眠の関係性

5.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の認知度

1.日本の睡眠時間の変化:2024年と比較して変化なし。20~30代は平均睡眠時間7時間を超える。

コロナ禍以降睡眠時間は増加傾向にありましたが、2025年の有職者1万人における平均睡眠時間は6時間50分と、過去5年の調査において最も長い時間となった2024年と同等の結果となりました。コロナ禍以降睡眠時間は増加傾向にありましたが、OECD加盟国の平均睡眠時間である8時間28分と比較すると引き続き圧倒的に短い睡眠時間です。日本の睡眠時間は世界でも最低レベルにあることに変わりありません。

また年代別にみたところ、20代・30代の平均睡眠時間は7時間を超えていることがわかりました。5年間で20・30代の若年層は増加傾向にあるのに対し、40・50代は微増に留まり、60代以上は減少していることがわかりました。

*全データにおいて一元配置分散分析を行い、有意差ありと確認(p<0.01)。また、前年との睡眠時間の比較についてはBonferroni補正したt検定を行い、2020~2024年において有意差ありと確認(いずれもp<0.01)

2.睡眠状態誤認:実睡眠時間より体感睡眠時間が23分短いと感じている方が多い

睡眠状態誤認とは「実睡眠時間」と「体感(本人が感じている)睡眠時間」に解離がある状態をいいます。

本調査では約52%の方が実睡眠時間より体感睡眠時間の方が短く感じており、実睡眠時間の平均は6時間50分、体感睡眠時間の平均は6時間27分と、23分短い結果となりました。

*実睡眠時間と体感睡眠時間の間でt検定を行い、有意差ありと確認(p<0.01)

3.定時後の優先行動の理想と現実のギャップ:「睡眠」を優先したいと思っているが、実際は「仕事(残業や通勤時間を含む)」が優先されている

定時後に最も優先したい行動の「理想」として最も多かったのは「睡眠」の36.4%であり、「実際に」優先されているのは「仕事(飲み会を含む)」の25.2%という結果となり、「定時後」ではあるものの、仕事を選択している方が最多の回答でした。また理想と比較して現実に優先している行動で減少しているのは「睡眠」と「趣味」であり、「睡眠」は最も差が大きいことがわかりました。

*最も優先したいと回答した方の割合について理想と現実の間でカイ二乗検定を行い、すべての行動において有意差ありと確認(p<0.01)

4.通勤時間と睡眠の関係性: 通勤時間が長いと、睡眠時間だけでなく睡眠の質にも影響がある

「睡眠時間」が最も長いのは通勤時間が「30分未満」の群で6時間58分、最も短いのは「3時間以上」の群で6時間24分で34分の差がありました。

「睡眠の質」が最も高いのは通勤時間が「0分(全く出勤しない)」方で57.3ポイント、「3時間以上」の方は51.4ポイントであり、約6ポイントの差が見られました。

睡眠時間が短縮するということは容易に想像ができると思いますが、本調査においては睡眠時間が短縮するだけでなく睡眠の質にも影響があることがわかりました。

*通勤時間:1日に通勤に費やしている時間

*睡眠の質スコア:オリジナルの質問の回答結果をスコアリング

*通勤時間と睡眠時間の間、通勤時間と睡眠の質スコアの間で回帰分析を行い、それぞれ有意であることを確認(p<0.01)

5.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の認知度: 認知度は約77%

SASという病気を聞いたことがある方は約77%という結果となり、多くの方が耳にしたことがあることがわかりました。

またSASという病気を聞いたことがあると回答した人にどの程度SASを理解しているか聞いたところ、「いびき」や「太っている」こととの関連性はよく知られているが、「女性」や「子供」のSASに関する情報や検査・治療が保険適応となるケースがある事実はあまり知られていないことが明らかになりました。

■西野 精治コメント

/ブレインスリープ最高研究顧問『スタンフォード式 最高の睡眠』著者

本年の睡眠偏差値の調査でも、いくつかの注目すべき結果が得られました。睡眠時間に関しては明らかな増減は見られなかったものの、約半数の人々が実際の睡眠時間よりも眠れていないと感じており、いわゆる「睡眠状態誤認」の傾向が明らかとなりました。

さらに睡眠時無呼吸症候群については、約80%もの人が病気を認識しており、理解していると回答していたことは非常に興味深い結果でした。これは睡眠時無呼吸症候群という身近で非常に危険な病気の認識が高まっていることを示しており、睡眠の重要性の理解だけでなく睡眠に関連する病気についても関心が高まっていると言えます。

また以前より謳われていた通勤時間と睡眠時間の関係についても、時間の短縮だけでなく、睡眠の質の悪化に繋がっていることも明らかとなりました。睡眠課題は、個人だけで解決することは困難なことも多く、企業や政府が行っている睡眠課題解決に向けた社会的な取り組みがより一層推進されることを期待しています。

■睡眠偏差値® 調査結果ページ

https://brain-sleep.com/pages/research2025

ブレインスリープでは本調査に関する様々な情報提供が可能です。

※本調査内容をご利用の際、出典元として『睡眠偏差値®2025 ブレインスリープ調べ』と必ず記載いただくようお願いいたします。

■睡眠偏差値®とは

睡眠を評価する際、しばしば睡眠時間などの単純な定量データだけに注目が集まりますが、ブレインスリープは、もっと多角的で総合的な観点から睡眠を評価することが重要だと考えました。そこで、睡眠に関する自覚症状や睡眠習慣を含む幅広い視点で睡眠の主観的評価を定量化する質問群を作成し、さらに日本人に馴染みのある「偏差値」として数値化することで、日本人全体の中での相対的な睡眠状態を把握することを可能にするシステムを構築しました。それが「睡眠偏差値®」です。

現在は、NTT東日本をイノベーションパートナーとして、企業向け健康経営サービス「睡眠偏差値for Biz」を展開しております。従業員の「睡眠」から企業との「エンゲージメント」を可視化し、さらに、全国の睡眠偏差値と比較することで、自社だけでは表面化されていない課題に新たに気づくことができ、プレゼンティズムを改善することができるサービスです。

【調査概要】調査手法:web 調査象地域:全国 対象者条件:男女 サンプル数:n=10,000ss 調査実施期間:2025年1月 ※集団間の睡眠偏差値、スコアの比較においては、一元分散分析、あるいはt-検定を行い、有意水準5%以下を統計的に有意な差と判定し記載しました。

株式会社ブレインスリープ

【会社概要】
設立     : 2019年5月
所在地    :東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー26F
代表取締役  :廣田 敦
ブランドサイト:https://brain-sleep.com/
事業内容   :ブレインスリープは、睡眠医学に基づいた確かな知見と先進のテクノロジーを
        掛け合わせ、脳と睡眠を科学するソリューションカンパニーです。
        専門家と連携した睡眠研究、オリジナルプロダクト開発、企業やクリニックへの
        コンサルティングなど、睡眠に特化したあらゆるソリューションで人や社会の
        可能性を目覚めさせることを目指します。

今、あなたにオススメ