藤田医科大学と日本メナード化粧品、再生医療の進展のために皮膚の幹細胞モデルを公的な細胞バンクに寄託

日本メナード化粧品株式会社のプレスリリース

 日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)と藤田医科大学医学部(愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪 1番地 98)応用細胞再生医学講座(教授:赤松 浩彦)及び皮膚科学講座(教授:杉浦 一充)の研究グループは、これまでの共同研究から独自に樹立した3種類の皮膚幹細胞モデルを公的な細胞バンクであるJCRB細胞バンク(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)に寄託しました。今後、多くの研究者がこの幹細胞モデルを活用できるようになり、皮膚の再生医療の研究や基礎研究への応用が期待されます。

 幹細胞は様々な組織に存在し、その組織を再生する能力を持っており、再生医療の分野で盛んに研究されています。しかし身体から取り出された幹細胞は、培養を繰り返すと機能が低下し、また細胞の提供者(ドナー)ごとに細胞の状態が異なるなど、その扱いや細胞の維持には高い技術が必要です。我々はこれまで、このような課題を克服するために、安定的に長期培養が可能な同一ドナー由来の幹細胞モデルの樹立を進めてきました(関連リリースhttps://corp.menard.co.jp/research/news/No6_20211004.pdf)。

 今回、これまでに樹立した3種類の幹細胞モデル(不死化表皮幹細胞モデル、不死化真皮幹細胞モデル、不死化脂肪幹細胞モデル)を、公的な細胞バンクであるJCRB細胞バンク(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)に寄託しました。これにより、世界の研究者が自由に3種類の幹細胞モデルを活用できるようになります(寄託した幹細胞モデルは、JCRB細胞バンクでの準備が整い次第、分譲が開始されます)。

 幹細胞モデルは、皮膚の再生メカニズムの解明や皮膚の再生を促す医薬品をはじめとした幅広い研究開発へ応用が期待されます。

<参考資料>            

 1.公的な細胞バンクへの細胞の寄託

 医療、創薬、老化のメカニズムなどの基礎研究においては、ヒト由来の細胞を用いた研究が不可欠です。一方で、ヒト由来の細胞は大変貴重であり、目的とする細胞の確保が困難なことも多く、そのために研究がなかなか進展しないこともあります。こうした課題を克服し、医療や科学の発展に寄与するためにも、細胞を収集し活用できる環境を整えることが重要です。

 その役割を担っているのが公的な細胞バンクです。今回、公的な細胞バンクの1つであるJCRB細胞バンクに、これまでの共同研究によって樹立した幹細胞モデルを寄託しました。この寄託により、世界の研究者がこれらの幹細胞モデルを使用できるようになり、様々な分野の研究に貢献できると考えています。

《JCRB細胞バンク》

 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が運営する国内最大規模の細胞バンク。様々な研究者が樹立した細胞が活用できるよう適切に管理されており、研究者のニーズに応じて保管されている細胞を分譲します。この研究所では、研究現場で必要とされる生物資源の開発や、様々な生物資源を収集・保全し、研究現場に安定的に供給するための研究が行われています。

2.今回寄託した幹細胞モデルについて

  今回寄託した細胞は、藤田医科大学医学研究倫理審査委員会にて承認後、研究協力の同意を得て、手術時に廃棄される皮膚(表皮、真皮、皮下脂肪組織)から分離し、不死化※することで安定的に長期培養を可能にした3種類の幹細胞モデル「不死化表皮幹細胞モデル(細胞株名:AIK1)」、「不死化真皮幹細胞モデル(細胞株名:AIF1)」、「不死化脂肪幹細胞モデル(細胞株名:AIA3)」です(関連リリースhttps://corp.menard.co.jp/research/news/No6_20211004.pdf)。これらの幹細胞モデルは、皮膚科学や再生医療分野の研究、創薬研究などへ活用できます。さらに、これらの細胞を組み合わせて3次元培養皮膚モデルと呼ばれる人工皮膚を作製して研究に用いることもでき、経皮製剤の吸収性の評価やDDS(ドラッグデリバリーシステム)の開発にも応用が期待されます。

図1 寄託した不死化幹細胞モデル

※不死化

目的の細胞に細胞増殖を促進する遺伝子や細胞老化を抑制する遺伝子を導入することで、細胞老化を引き起こさずに長期間増殖可能な細胞を作製する技術。

 

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