Craif株式会社のプレスリリース
Craif株式会社(所在地:東京都文京区、CEO:小野瀨 隆一、以下Craif)は、第47回サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS 2024)にて、公益財団法人がん研究会 有明病院 乳腺センター 井上 有香医師らとの乳がんに関する研究成果「尿中マイクロRNAによる乳がんの早期発見の可能性」を共同で発表したことをお知らせいたします。Craifは今後も、がんの予防・早期発見に向けた新しい取り組みを広く届けることで、当社のミッションである“人々が天寿を全うする社会の実現”に挑戦してまいります。
■研究成果のポイント
・尿中マイクロRNAを用いた乳がん検出
尿中のマイクロRNAを次世代シーケンサーにより網羅的に解析し、乳がんの検出に特化した28種類のマイクロRNAを同定しました。これらのマイクロRNAは、乳がん患者群(ステージⅠまでを半数以上、ステージⅡまでを90%以上含む)と健康な対照群で発現量が異なることが確認されました。
・治療効果モニタリングへの応用可能性
乳がん群の手術や化学療法後によるマイクロRNA発現の経時的変化を分析し、上昇していた15種のうち6種のマイクロRNAが治療後に有意に減少することを発見しました。これは、尿中マイクロRNAが治療効果のモニタリングに使用できる可能性を示唆しています。
・非侵襲的バイオマーカーとしての有用性
尿サンプルを使用することで、患者への負担が少ない非侵襲的な方法で乳がんの診断や治療効果のモニタリングが可能となる可能性が示されました。これは、頻繁な検査が必要な場合や、大規模スクリーニングにおいて特に有用です。
・分子メカニズムの解明への貢献
上方制御されたマイクロRNAのパスウェイ解析により、PI3K-AktシグナリングやMAPKシグナリング経路との関連が示されました。これは、乳がんの分子メカニズムの理解を深め、新たな治療標的の同定につながる可能性があります。
・将来的な臨床応用への期待
本研究の結果は、尿中マイクロRNAを用いた乳がんの早期診断や治療効果のモニタリング、さらには再発リスクの評価など、幅広い臨床応用の可能性を示唆しています。今後、さらなる機能解析や大規模な検証研究を通じて、臨床実装に向けた開発が期待されます。
■共同研究概要
本研究では、乳がんの診断と治療モニタリングを目的に、尿中マイクロRNAを用いた新しいバイオマーカーの同定と検証を行いました。原発性乳がん患者200例と対照群105例を対象に、次世代シーケンサーにより尿中miRNAの解析を実施しました。その結果、発現量が有意に異なる28種類のマイクロRNAが同定され、そのうち15種が対照群と比較して乳がん群で上昇し、13種が減少していました。さらに、乳がん群の手術や化学療法後のマイクロRNA発現の経時的変化を分析したところ、上昇していた15種のDEMのうち6種が治療後に対照群と同じレベルまで戻ることがわかりました。これらの結果は、尿中マイクロRNAが乳がんの非侵襲的診断や治療効果のモニタリングに有用なバイオマーカーとなる可能性を示唆しています。
■ 第47回サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS 2024)について
・開催期間:2024年12月10日(火)~2024年12月14日(土)
・開催地:米国 テキサス州サンアントニオ
・公式ホームページ:https://www.sabcs.org
■ Craifについて
Craifは、2018年創業の名古屋大学発ベンチャー企業です。尿などの簡単に採取できる体液中から、マイクロRNAをはじめとする病気に関連した生体物質を高い精度で検出する基盤技術「NANO IP®︎(NANO Intelligence Platform)」を有しています。CraifはNANO IP®︎を用いてがんの早期発見や一人ひとりに合わせた医療を実現するための検査の開発に取り組んでいます。
【会社概要】
社名:Craif株式会社(読み:クライフ、英語表記:Craif Inc.)
代表者:代表取締役 小野瀨 隆一
設立:2018年5月
資本金:1億円(2024年3月1日現在)
事業:がん領域を中心とした疾患の早期発見や個別化医療の実現に向けた次世代検査の研究・開発、尿がん検査「マイシグナルシリーズ」の提供
本社:東京都文京区湯島2-25-7 ITP本郷オフィス5F
マイシグナルシリーズは医療機器ではありません。解析した情報を統計的に計算することによりリスクを判定するものであり、医療行為としてがんに罹患しているかどうかの「診断」に変わるものではなく、リスクが低いと判定された場合でもがんが無いまたは将来がんにかからないとは限りません。