アウェアファイ、スタートアップ経営者とメンタルヘルスに関するレポートの第二弾を発表。

30代以下の経営者が多いスタートアップならではの悩みが浮き彫りに

株式会社Awarefyのプレスリリース

株式会社Awarefy(本社:東京都新宿区、代表取締役 CEO 小川 晋一郎、以下「アウェアファイ」)は、2025年2月に実施した「スタートアップ経営者のメンタルヘルス環境」に関するアンケート結果について、完全版となる続報をお知らせいたします。

本アンケートは、2025年2月19日から27日にかけてオンライン上で匿名で実施いたしました。回収にあたっては、ANRI株式会社を中心とした6社のベンチャーキャピタルに協力をいただいています。

本リリースに先がけて3月8日(土)の国際女性デーにあわせて配信した、女性のスタートアップ経営者が直面している現状をお伝えした前編はこちらからご覧いただけます。

アンケート調査実施の目的(再掲)

経済産業省が主導してスタートアップ企業の創出・育成が急速に推進される今、その当事者であるスタートアップ経営者のメンタルヘルスに関する問題は見落とされがちです。過酷な環境に直面しやすいスタートアップ業界において、その中核を担う経営層の負担はことさら大きく、私たちアウェアファイもメンタルヘルスに課題を抱える経営者の声を多く耳にしてきました。スタートアップ経営者の自死やハラスメント被害など、悲しい報道も続いています。

スタートアップ業界の当事者でありメンタルヘルス市場にも挑戦する私たちアウェアファイが、本アンケートを行い「スタートアップ経営者とメンタルヘルス」の実態を明らかにすることで、業界環境を名実ともに改善し、よい人材が流入し続ける、そしてよい事業がヘルシーに生み出され続ける場所となることを求めていきたいと考えています。

回答者の属性(再掲)

本アンケートは、20代から50代のスタートアップ経営に関わる81名の方にご回答いただきました。

各経営者が所属する企業のフェーズは、シードステージとアーリーステージが約30%ずつを占め、続いてミドルステージが20%、それ以外がレイターステージ以降でした。

スタートアップ経営者の属性によって、「メンタルヘルスの問題」を感じる傾向は異なるのか?

「直近1年以内に『メンタルヘルスの問題』を感じたことがありますか?」という質問は、全体の67.9%もの方が「はい」と回答しました。さらにその結果を回答者の性別で再集計したところ、女性経営者の80%以上が1年以内にメンタルヘルスの問題を感じていました。(再掲)

年代別に見ると、年齢が上がるにつれて「問題を感じた」割合が下がっており、20代と50代では50ポイント以上の差が見られました。このことは、特に若年層の女性経営者はメンタルヘルスの深刻な課題を抱えるリスクが高いということを示唆しています。

帝国データバンクが2024年に行った調査によると、スタートアップにかぎらない日本における社長の平均年齢は60.7歳となり、過去最高を更新しています。*1 また、「30歳未満」は0.2%、「30代」は2.9%にとどまり、30代以下の社長は全社長の約3%に過ぎないことも報告されています。*1 一方、今回のスタートアップ経営者向けの調査では、回答者81名のなかに60代はおらず、30代以下の経営者は全体の50%以上におよびます。社会人としての経験が比較的浅い状態で、経営という重責を負うケースが多いスタートアップにおいて、メンタルヘルスケアの重要性がその他の企業と比べても高いと考えられます。

*1 帝国データバンク, 全国「社長年齢」分析調査(2024年)

スタートアップ経営者は、何に、どのように悩んでいるのか?

「『メンタルヘルスの問題』に影響を与えている可能性があるものをすべて教えてください」という質問では、資金繰りや業績、将来の見通しといった財務的な課題に次いで、「社内の人間関係・メンバーの育成」についても多くの経営者から課題として挙げられました。この結果は、スタートアップ経営者が財務的な不安と同時に、チームマネジメントにも大きなストレスを感じていることを示唆しています。

アウェアファイが2023年に全国の企業経営者(スタートアップに限らない)に対して実施した同様のアンケートでは、資金繰り、将来の見通し、業績に次いで「激務、休めない」が上位要因となっていました。このことから、若手の多いスタートアップ経営者は、体力があり激務へのストレスが比較的低い一方で、構造上発生しやすい「年上の部下」の存在や、自身のマネジメント・育成経験の不足から、人間関係に対するストレスが比較的高いことが分かりました。

また具体的にどのような問題が起きているのか?という問いについては、不安や焦りといった心の症状だけでなく、痛みや不眠などの身体的症状や、「短期間でも仕事を休みたい、やめたい」と回答した人も多く、実数としては81名中43名にも及びました。

しかし一般的な労働者と異なり、経営者には法的な休職制度はありません。また、取締役が複数名いる企業とも異なり、経営メンバーが1-2名という体制で運営されていることが多いスタートアップにとって、一時的な職務停止も困難な状況です。

スタートアップ経営者は誰に悩みを相談しているのか?

そんな過酷な環境において、スタートアップ経営者は一体誰に悩みを相談しているのでしょうか。「いつでも悩みを相談できる相手や場所がありますか?」という質問には、過半数を超える人が「ある」と回答しました。具体的な相手としては、家族や友人、経営者コミュニティ等の知人が大半を占めていました。しかしながら同時に、「直近1年以内に経営者として孤独を感じたことはありますか?」という質問に対しても、過半数を超える人が「ある」と回答しています。

「相談ができる相手がいる」ということだけでは不十分な可能性がある、ということは、自由回答からも見えてきました。経営者の悩みはコンプライアンスや機密に関わる情報が多く、たとえ気のおけない家族や友人であっても重要な部分は開示することが難しいためです。

経営者として孤独を感じた理由 (自由回答から一部抜粋)

・ステイクホルダー全員が利害関係者になるため

・相談内容のコンプライアンス的に相談相手が限られる

・誰にも相談できない社内外の話を知ってしまったため

・最終的な責任を取る代表とそれ以外の人は、役員であっても違うと感じるから

・頑張っていた創業メンバーの首を切らないといけなかった

一方、孤独を感じなかった理由としては、「創業メンバーで励ましあえている」「経営者コミュニティの仲間がいるから」「良いメンターに恵まれているから」といったコメントがありました。信頼できる人脈や悩みを共有できる関係性は、経営者のメンタルヘルスにとって不可欠です。経験の浅い若年経営者は、人生経験や社会的つながりが限られているため、適切な支援ネットワークを構築することが特に困難であり、これが経営上の大きな障壁となっていることが予想されます。

なお、悩みの相談相手に心の専門家やメンタルヘルスケアサービスをあげた人の割合は、5%にも満たない結果となりました。

スタートアップ経営者とハラスメント被害の実情

最後に、スタートアップ経営者のメンタルヘルスに悪影響をおよぼす一つの要因であるハラスメントについての結果をご紹介します。

「ビジネスの場においてハラスメント(パワハラ・セクハラなど)を受けた経験がありますか?」という質問に「はい」と答えた方は全体の約30%でした。しかし、回答者の性別ごとに再集計したところ、男性の被害経験が19%にとどまるのに対し、女性の被害経験は約60%にもおよぶことが分かりました。(再掲)

経営者における女性の比率は依然として低く、日本政策金融公庫 総合研究所の調査によると、過去最多となった2023年度の数値であっても、開業者に占める女性の割合は24.8%にとどまっています。*2 このことをふまえて、本回答を比率ではなく実数で再集計したところ、ハラスメントの被害を受けたことのある男性経営者も少なくないことが分かりました。 このことは、性別を問わないハラスメント対策の重要性を浮き彫りにしています。

*2 日本政策金融公庫 総合研究所, 「2023年度新規開業実態調査」(2023年)

今後に向けて

今回の調査から、スタートアップ経営者は相談相手の少なさや構造的な孤独感の中でメンタルヘルス不調を抱えやすいことが分かりました。特に経営に関する悩みはセンシティブな内容が多く、家族や友人にも話しづらいケースが目立ちます。

そのなかで、投資家は、社内事情や経営判断に深く関わる数少ない外部パートナーとして、経営者が本音を話せる貴重な存在です。厚生労働省の調査*3 でも、メンタル不調の早期発見には「周囲の気づき」が有効とされており、スタートアップでは投資家がその“周囲”にあたるケースも多く見られます。

だからこそ、投資家自身がメンタルヘルスへの理解を深め、スタートアップ経営者の小さな変化に気づける視点を持つことが、日本のスタートアップ業界全体の持続的な成長にもつながるのではないでしょうか。アウェアファイでは、今後もベンチャーキャピタルの皆さまとの連携を深め、スタートアップ業界のメンタルヘルス環境の改善に貢献してまいります。

*3 厚生労働省, 「事業場におけるメンタルヘルス対策のためのマニュアル」(2010年)

アンケートの回収にご協力いただいたベンチャーキャピタルのご紹介

本アンケートの回収にあたっては、スタートアップ経営者への個別アプローチのほかに、業界の当事者として経営者のメンタルヘルス環境に大きな課題感を持つベンチャーキャピタル各社さまにもご協力をいただきました。具体的には、各社が接点をもつスタートアップ経営者へのアンケートのご紹介という形でご協力いただいています。

株式会社オールアバウト、ANRI株式会社、株式会社Dual Bridge Capital、epiST Ventures株式会社、株式会社GENDA Capital、モバイル・インターネットキャピタル株式会社(アルファベット順、敬称略)

アウェアファイは、すべての方のよりよいメンタルヘルス環境に貢献できるよう、今後もさまざまな角度、さまざまなソリューションで社会に貢献してまいります。

AIメンタルパートナー「アウェアファイ」概要

AIメンタルパートナーアプリ「アウェアファイ」
公式キャラクター「ファイさん」

AIなどのテクノロジーに、科学的なエビデンスのある「認知行動療法」等に基づくアプローチをかけあわせたスマートフォンアプリです。これまで80万人以上の方をサポートしてきました。AIキャラクター「ファイさん」との対話機能や、自分の心のコンディションをふりかえる機能、マインドフルネス瞑想に取り組める音声ガイドや課題別の学習コースなど、メンタルヘルスケアに役立つコンテンツが300種以上揃っています。

アプリのダウンロードはこちらから。

株式会社Awarefy(アウェアファイ)

私たちは、最先端AIテクノロジーに、科学的なエビデンスのある「認知行動療法」等に基づくアプローチをかけあわせたAIメンタルパートナー「アウェアファイ」アプリの開発・運営を中心とした事業を展開しています。人々が自分の“大切にしたいこと“と向き合える社会を実現すべく、アプリの機能拡充にとどまらず、復職・職場復帰を目指す方をサポートする施設「アウェアファイ リワーク」の運営など、メンタルヘルスケアの領域での貢献を目指します。

所在地:東京都新宿区西新宿2丁目6-1 新宿住友ビル24階 GROWTH新宿 ROOM-4

代表取締役CEO:小川 晋一郎

事業内容:アプリ「アウェアファイ」の企画・開発・運営、 福祉リワーク施設「アウェアファイ リワーク」の運営等

企業HP:https://www.awarefy.com/

【本件に対するお問い合わせ先】

アウェアファイ広報担当:関口

メール:press@awarefy.com

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