美容師の資格を取っても「美容師にならない」割合が増加 美容サロンで新人のうちに学んでおきたかったスキルの1位は「技術」「経営知識」や「売上・数字への意識」も上位に

美容サロン就業実態調査(2025年)

株式会社リクルートのプレスリリース

株式会社リクルート(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:牛田 圭一)の美容に関する調査研究機関『ホットペッパービューティーアカデミー』(https://hba.beauty.hotpepper.jp/)は、全国の15歳以上(スクリーニング調査:2万295人、本調査:美容サロン従事者※3,243人)を対象に「美容サロン就業実態調査」を実施いたしました。その結果、美容師の資格を取っても「美容師にならない」割合が増加していることが分かりました。また美容サロンで新人のうちに学んでおきたかったスキルは「技術」が1位で、「経営知識」や「売上・数字への意識」も上位となりました。就業の“入り口”と“定着”に課題を抱える美容業界。『ホットペッパービューティーアカデミー』では、独自調査を通じてその実態を明らかにし、キャリア支援や採用活動のヒントを発信しています。

※ 美容師、理容師、ネイリスト、エステティシャン、リラクゼーションセラピスト、まつげエクステスタッフ

トピック①:美容師にならない有資格者が2021年の18.7%から25年には21.4%に増加

国家資格の美容師免許を持ちながらも、美容師として働いた経験がない人(勤務未経験者)の割合は、2021年の18.7%から、2025年には21.4%へ。美容専門学校の入学者数が近年増加傾向(文部科学省「学校基本調査」(2024年12月))にある一方で、「資格は取得するが、美容師にはならない」という選択をする人がじわじわと増えています。

トピック②:美容サロンでは入社後3年目までに、経営視点を学びたかったニーズも

美容サロン従事者に、学校を卒業して働き始めた初期(入社後3年目まで)に「学んでおきたかったこと」を聞くと、1位「技術」(49.3%)、2位「接客スキル」(36.2%)に続き、3位「経営に関する知識」(27.8%)や6位「売上や数字に対する意識」(25.4%)が上位にランクインする結果に。「現場ですぐに使えるスキル」だけでなく、“経営視点”や“数字感覚”も、早い段階で学びたかったというニーズがうかがえます。

<研究員からのコメント>

今回の調査では、「美容師免許は持っているけれど、美容師にならない」割合が増えていることが明らかになりました。その背景には、キャリアの多様化だけではなく、美容サロンでの入社後の働き方・待遇への不安もあると考えられます。

また、美容サロン従事者が新人のうちに学んでおきたかったこととしては、「技術」だけでなく、「経営知識」や「売上・数字への意識」なども上位に挙がりました。美容業界では、人材マネジメントやマーケティング、財務管理などの“経営スキル”が求められる場面が多い一方で、それらを体系的に学ぶ機会が少ないのが実情です。そのため、「新人のうちから経営に関する知識を身につけておきたかった」と感じている人が多いと考えられます。こうした背景から、美容サロン従事者として働き始める“入り口”のサポートに加え、キャリアを継続・発展させるための支援、すなわち“定着や成長” 支援の重要性が、いっそう高まっていると感じます。

『ホットペッパービューティーアカデミー』研究員 田中 公子

【美容師】その他のトピック

■美容師離職率がここ5年で最も低い45.7%に

これまで48%前後で推移していた美容師離職率に変化が見られ、2025年は45.7%と、ここ5年で最も低い水準となりました。

<美容師離職率>(美容師として一度就職したが離職した人の割合)

(美容師免許保有者かつ美容師経験者のうち、現在美容師ではない人)

<研究員からのコメント>

離職率の低下には、福利厚生の充実や早期スタイリストデビュー制度の普及、若手でも“稼げる”キャリア設計など、サロン側の働き方改革が影響している可能性があります。

若手が「美容師を続けられる」と思える環境づくりの成果が、数字に表れ始めているのかもしれません。

(『ホットペッパービューティーアカデミー』研究員 田中 公子)

■一度は離職したものの「戻ってきた」美容師が増加

2025年調査時点で、現役美容師のうち44.3%が離職経験ありと回答。この割合は年々増加しており、再び美容師として働く人が少なくないという実態が読み取れます。

<離職経験の有無>

Q.「美容師」になってから現在までに、「美容師」を辞めた/離れたことはありますか。

(現役の美容師、単一回答)

※「辞めた/離れた」とは、美容師を辞めて無職になった場合や、異なる職業に転職した場合を指します。

※美容師の職業を変えずに別の店(会社)に転職した場合は含みません。

※産前・産後休暇や育児休暇を取得して、一時的に仕事を休んでいた場合も含みません。

<研究員からのコメント>

「一度離れても、戻れる」。

今回の結果から、離職者の復職率の高まりがうかがえます。

働き方の多様化やライフイベントへの理解が広がる中で、「土曜または日曜が休み」「営業時間は18時まで」等、勤務体系を整えるサロンも増えてきており、復職を支えています。

人材不足が慢性的な課題である美容業界では「休眠美容師」(美容師免許を持っているが、現在は美容師として就業していない人)の活躍も大きな解決策として期待が寄せられています。「離職=業界を去る」というイメージを払拭し、復職しやすい業界文化の醸成や制度づくりが、今後さらに重要となっていくでしょう。

(『ホットペッパービューティーアカデミー』研究員 田中 公子)

■「休日日数」や「仕事とプライベートの両立」重視が2年連続で増加

美容師が「働くにあたり重要だと思うこと」は、「休日日数」(44.5%)、「仕事とプライベートの両立」(42.0%)が2年連続で増加。特に「休日日数」は、2023年から+3.2ポイントとなりました。

<働くにあたって重要なこと>

Q.あなたが美容師として働くにあたり重要だと思うこととして、あてはまるものをお答えください。

(現役の美容師、複数回答)

<研究員からのコメント>

美容師の職場選びの基準は、「立地」や「給与」だけではなく、“自分らしく働き続けられるかどうか”も加えられているのかもしれません。サロン側には、働く時間や休日の見直し、柔軟な働き方ができる制度の導入などが、今後ますます求められていくでしょう。

(『ホットペッパービューティーアカデミー』研究員 田中 公子)

■調査概要

調査名  :美容サロン就業実態調査(2025年)

調査手法:インターネットリサーチ

調査期間:<スクリーニング調査>2025年1月9日~2月14日

<本調査>2025年2月17日~2月25日

調査対象:<スクリーニング調査>15歳以上2万295人

<本調査>美容サロン従事者

3,243人(美容師:1,089人/理容師:536人/ネイリスト:211人/エステティシャン:500人/リラクゼーションセラピスト:786人/まつげエクステスタッフ:121人)

調査の詳細はこちら:https://hba.beauty.hotpepper.jp/search/career/65454/

美容業界の人材課題に対して

■美容専門学校プロジェクト

美容業界の課題の一つである「離職率の高さ」に対し、『ホットペッパービューティーアカデミー』では、美容系専門学校生に向けたキャリア支援プロジェクトを展開しています。

2022年より、全国の美容系専門学校にてキャリア講座を実施。2024年の受講者数は、6,140人に上り、累計で1万3,000人を超えました。

自己分析や理想の働き方の描き方、サロンの選び方・調べ方、応募・面接の注意点などに加え、『ホットペッパービューティーワーク』と連携した就職活動の進め方も紹介し、学生が“自分に合うサロン”と出会える力を育てています。

また、就活冊子『JOB GUIDE BOOK』も配布し、学生が自立的にキャリアを考えるきっかけづくりを後押ししています。

JOB GUIDE BOOK(デジタルブック):

https://hba.beauty.hotpepper.jp/pdf/JOBGUIDEBOOK_2025/#target/page_no=1

■『ホットペッパービューティーアカデミー』とは

美容に関する調査研究機関。「美容の未来のために、学びと調査・研究を」をビジョンに2014年に開校しました。美容サロンのマネジメントやマーケティングを学ぶ「経営セミナー」、美容センサスなどの「調査研究」、訪問美容・女性活躍・SOGIEなどの情報提供・イベント開催などをはじめとした「サステナビリティ活動」を柱に、全て無料で美容業界へ情報発信しています。これらの活動により、美容業界の成長に寄与する場の提供を目指しています。

▼リクルートについて

https://www.recruit.co.jp/

▼本件に関するお問い合わせ先

https://www.recruit.co.jp/support/form/

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