「新アミノ酸コンプレックス」が角層中の結合水量を増加させることを確認
第一三共ヘルスケア株式会社のプレスリリース
第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区、社長:内田高広、以下「当社」)は、独自のアミノ酸組成の混合原料(以下「新アミノ酸コンプレックス」)を配合した製剤を用いた試験を実施し、その結果、「新アミノ酸コンプレックス」が肌の角層における結合水量を増加させることを確認しました。
このたびの「新アミノ酸コンプレックス」に関する研究によって、減少した角層中の結合水量を増加させ、肌の貯水力(*1)を高める製品の開発が期待できます。
1.研究の背景
当社では、敏感肌に関する研究を長年続けています。今回の研究では、バリア機能が低下した敏感肌は健常な肌に比べて乾燥しやすいことから、肌の貯水力(*1)を左右する角層中の結合水に着目しました。結合水は、角層中の天然保湿因子などと結びつくことで、乾燥した環境下でも肌から蒸発しにくい水分であり、肌がみずみずしくうるおいを保つために重要な役割を果たします。
アミノ酸は肌のバリア機能を正常に保ち、うるおいを与える効果があります。研究の結果、「新アミノ酸コンプレックス」が角層中の結合水量を増加させることを新たに見出し、その影響を評価しました。また、保湿剤として広く使用されているグリセリンと組み合わせた際の効果も検証しました。
2.試験方法と成果
角層シートを用いた「新アミノ酸コンプレックス」配合製剤塗布時の結合水量の測定
「新アミノ酸コンプレックス」が角層における結合水量へ与える影響を評価するため、ヒト皮膚由来の角層シートを用いて、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)処理することでバリア機能低下(敏感肌)モデルを作製し、以下の試験を実施しました。
<試験方法>
乾燥させた角層シートに各種製剤を塗布し、DSC(示差走査熱量計)による測定結果から、角層シート中の結合水量を算出しました。まず、健常な肌とバリア機能が低下した肌の状態を比較するため、精製水で処理した角層シート(健常肌モデル)と、SDSで処理した角層シート(バリア機能低下モデル)の測定を行いました。その後、SDS処理した角層シートに「新アミノ酸コンプレックス」配合製剤を塗布した場合の測定も行いました。
<試験結果 (1) >
SDS処理した角層シート(バリア機能低下モデル)では、精製水で処理した角層シート(健常肌モデル)と比較して、角層中の結合水量が有意に減少することが分かりました。さらに、バリア機能低下モデルの角層シートに「新アミノ酸コンプレックス」配合製剤を塗布すると、減少した結合水量が有意に増加しました【図1】。
<試験結果 (2) >
GL(グリセリン)を添加した「新アミノ酸コンプレックス」製剤を塗布すると、「新アミノ酸コンプレックス」配合製剤単体と比較して結合水量が有意に増加しました【図2】。
このことから、「新アミノ酸コンプレックス」とGL(グリセリン)の組み合わせを製剤に同時配合することによって、より高い保湿効果を得られる可能性が示唆されました。
3.今後の展望
本研究によって、「新アミノ酸コンプレックス」が角層中の結合水量を増加させること、また、GL(グリセリン)と組み合わせることにより、「新アミノ酸コンプレックス」単体よりもさらに角層の結合水量を有意に増加させることを確認しました。これらの知見を製剤に応用することで、減少した角層中の結合水量を増加させ、肌の貯水力(*1)を高めることが期待できます。
当社は今後、本研究を製品開発に応用することで、敏感肌の方の悩みにより深くアプローチし、QOL(生活の質)向上につながる付加価値の高い製品を提供してまいります。
<ご参考>
第一三共ヘルスケアについて
第一三共ヘルスケアは、第一三共グループ(*2)の企業理念にある「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という考えのもと、生活者自ら選択し、購入できるOTC医薬品の事業を展開しています。
現在、OTC医薬品にとどまらず、機能性スキンケア・オーラルケア・食品へと事業領域を拡張し、コーポレートスローガン「Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。
こうした事業を通じて、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」を推進し、誰もがより健康で美しくあり続けることのできる社会の実現に貢献します。
*1 みずみずしく角層に水分を保つという、すこやかな肌にそなわる力のこと
*2 第一三共グループは、イノベーティブ医薬品(新薬)・ワクチン・OTC医薬品の事業を展開しています。