~日本薬学会 第145年会にて発表。LINKが製品開発へ応用~
株式会社LINKのプレスリリース
株式会社LINK(本社:三重県伊勢市、代表取締役社長 松田 和志)のグループ会社である御木本製薬株式会社は、海藻スサビノリ由来の糖脂質ガラクトシルグリセロール(GG)を化粧品原料化した「スサビノリGG」の皮膚への有用性に関する研究を行ってきました。本研究においては、皮膚の健康維持に重要な皮膚常在菌のバランスに着目し、スサビノリGGが皮膚常在菌のバランスを整えるとともに、皮膚バリア機能の強化や炎症抑制に寄与する可能性が明らかになりました。また、皮膚常在菌のバランスや皮膚環境の変化には皮膚常在菌が分泌する細胞外小胞(EVs)が大きく関わることが明らかになり、スサビノリGGの作用とEVsの関連性が示唆され、2025年3月の日本薬学会第145年会にて御木本製薬株式会社より発表されました。株式会社LINKでは、これらの研究成果をもとに、すでに発売中のスサビノリGG配合製品の訴求強化とともに、今後の製品開発にも積極的に応用してまいります。
■スサビノリ由来GGの新たな有効性を発見
代表的な養殖ノリであるスサビノリ(Neopyropia yezoensis)には、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など多くの栄養成分が含まれています。これら栄養成分のうち糖脂質の1種であるガラクトシルグリセロール(GG)を化粧品原料化したスサビノリGGには、フィラグリンの活性を高め、皮膚の保湿力の向上が期待されるとして、既にLINK+U(リンク)の各種製品に配合されています。
今回、私たちはスサビノリGGの新たな有効性として、皮膚常在菌のバランス改善作用と、それを通してヒト皮膚のバリア機能を強化する作用があることを発見いたしました(図1)。
スサビノリGGは、善玉菌である表皮ブドウ球菌の増殖を促進し、悪玉菌である黄色ブドウ球菌の増殖を抑制することがわかりました。これらの細菌を同時に培養した結果、表皮ブドウ球菌が優勢になることが確認されました。また、このバランス改善により、皮膚のバリア機能に関連する各種遺伝子の発現が亢進し、皮膚のバリア機能が強化されることも明らかになりました。これらの結果から、スサビノリGGは皮膚常在菌のバランスを改善し、皮膚の環境を良好にする効果が期待され、皮膚への有効性も確認されました。
■表皮ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌が分泌する細胞外小胞(EVs)に着目
細胞外小胞(Extracellular vesicles; EVs)は、ほぼ全ての生細胞から分泌される小胞の総称です。細胞から高等生物までほとんど全ての生物に存在しており、生物が細胞外に分泌することで細胞間のコミュニケーションを介して、様々な生体調節に関与することが知られています。ヒトの皮膚は、その人なりの独自の皮膚常在菌のバランスを保ちながら、皮膚の健康を維持しています。このバランスや皮膚の健康は、様々な皮膚常在菌が分泌するEVsによって調節されていると考えられています。
本研究では、代表的な皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌を用いて、これらの皮膚常在菌からEVsを取り出し、皮膚常在菌のバランスやヒト皮膚に対する影響について検討しました(図2)。
これらの皮膚常在菌由来のEVsによる影響を調べたところ、表皮ブドウ球菌のEVsは表皮ブドウ球菌の増殖を促進させる一方、黄色ブドウ球菌の増殖を抑制し、皮膚常在菌のバランスを表皮ブドウ球菌優勢へと改善しました。この皮膚常在菌のバランス改善を通して、ヒト皮膚(3次元培養皮膚モデル)では炎症物質量を減少させ、皮膚バリア機能に関連する遺伝子の発現を亢進させました。
一方、黄色ブドウ球菌のEVsは表皮ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌の増殖を促進させました。皮膚常在菌のバランスは表皮ブドウ球菌優勢でしたが、表皮ブドウ球菌のEVsを加えた時と比較して黄色ブドウ球菌が多くなり、皮膚常在菌のバランスを変化させました。このバランスの変化は、ヒト皮膚に対して大きな影響を及ぼし、炎症物質量を増加させ、皮膚バリア機能に関連する遺伝子の発現を低下させました(図3)。
このように、異なる皮膚常在菌のEVsは皮膚常在菌のバランスと、皮膚環境に対して大きな影響を及ぼし、異なる作用を示すことが分かりました。これら皮膚常在菌のうち、表皮ブドウ球菌のEVsを調節することができれば、皮膚常在菌のバランス改善と、ヒト皮膚環境を整えることができると考えられます。本研究の成果において、スサビノリGGは表皮ブドウ球菌に対する増殖促進作用を介して、表皮ブドウ球菌のEVsを調節する作用がある可能性が示唆されました。
【補足資料1】スサビノリGGとは
地球温暖化などの影響により「色落ちノリ」が増加し、品質の低下や価格がつかないといった課題が発生しています。こうした未利用資源に着目し、アマノリ属の1種であるスサビノリから糖脂質の1種ガラクトシルグリセロール(GG)を抽出し、当社では独自の化粧品原料「スサビノリGG」として開発しました。このスサビノリGGは、これまでの研究により、ヒトの表皮角化細胞に対してフィラグリンの産生を促進し、保湿機能の向上に寄与する可能性が示されています。
【補足資料2】スサビノリGGの皮膚常在菌バランス改善作用と皮膚バリア機能強化
スサビノリGGは、代表的な皮膚常在菌のうち善玉菌である表皮ブドウ球菌の増殖を促進し、悪玉菌である黄色ブドウ球菌の増殖を抑制しました。これらの細菌を同時に3次元培養皮膚モデル上で培養した結果、表皮ブドウ球菌が優勢になり、表皮ブドウ球菌と黄色ブドウ球菌間の相互作用を通じて皮膚常在菌のバランスを改善しました。
また、このバランス改善により、皮膚のバリア機能に関連する各種遺伝子の発現が亢進し、皮膚のバリア機能が強化されることも明らかになりました。これらの結果から、スサビノリGGは皮膚常在菌のバランスを改善し、皮膚の環境を良好にする効果が期待され、皮膚への有効性も確認されました(図4)。
【本研究の学会発表タイトル】
皮膚常在菌のバランスに影響する細胞外小胞と有効成分
【研究発表者】
御木本製薬株式会社
大森 文人、百合 真紀子、荒巻 要、阪井田 和則、服部 文弘、前山 薫
■会社概要
社名:株式会社LINK
本社所在地:三重県伊勢市
代表者:代表取締役社長 松田 和志
設立:2024年10月
資本金:2,000万円
事業内容:化粧品の企画、販売
お問い合わせ先:pr@link-u-cosme.com
※株式会社LINKは御木本製薬株式会社のグループ会社です。