「ブレインスリープ コイン」活用により夏の睡眠課題を可視化
株式会社ブレインスリープのプレスリリース
株式会社ブレインスリープ(本社:東京都千代田区、代表取締役:廣田 敦、以下「ブレインスリープ」)は、睡眠と季節の関係性を明らかにすることを目的に、スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)と共同で1年間の睡眠データの解析(以下「本解析」)を行いました。
本解析では、ブレインスリープが提供している睡眠計測ツール「ブレインスリープ コイン」のユーザーの計測データから1年間の睡眠データを活用し、睡眠が月ごとにどのように変化していくのかを分析しました。その結果、睡眠時間や、睡眠時間の中で最重要とされる深い睡眠の時間の短縮など、7月は1年で最も睡眠の質が悪化していたことが明らかになりました。
■背景
2021年の経済開発協力機構(OECD)の調査において、日本人の睡眠時間は7時間22分と世界で最も短く、睡眠時間が慢性的に不足している状況が明らかになっています。その中でも特に夏季は日の出の前倒しに伴い起床時間が早くなったり、日照時間の延長により睡眠時間自体がより短くなる傾向があります※1。また、年々増す暑さは身体の疲労度を増幅させるとともに、就寝時の寝苦しさにも繋がり寝つきの悪化や、中途覚醒の増加など睡眠の質に深刻な影響をもたらします。睡眠には個々の課題もありますが、総体的に日照時間や外気温、室内の室温・湿度、寝具などの環境要因によって引き起こるものもあります。本解析の前に実施された先行研究では夏季は冬季と比較して睡眠時間の減少が見られ、睡眠効率も低下することが報告されており、季節変動は睡眠へ影響を与えることが明らかになったことから解決の糸口を探る第一歩として睡眠と季節変動の関係性について共同で解析しました。
本解析では、ブレインスリープが睡眠の質の向上を目的に、自身の睡眠を可視化するプロダクト・サービスとして、2022年10月に開発・発売した睡眠計測ツール「ブレインスリープ コイン」のユーザーデータを活用しています。自身の睡眠を知ることは、睡眠の最適化やより課題を効率的に解決することにつながるとともに、蓄積された睡眠データから、多岐にわたる睡眠課題を可視化することは、日本の睡眠課題の解決に繋がります。
※1 https://doi.org/10.11239/jsmbe.Annual60.122_1
■概要
データ:2024年1月1日~12月31日にデータを取得した365,722夜分データ(7,350名)
解析方法:「ブレインスリープ コイン」で計測される睡眠スコア、睡眠時間、深い睡眠時間を解析対象としました。睡眠スコアは各ユーザーの年間平均値から各月平均値との差分を算出しました。睡眠時間、深い睡眠時間は睡眠スコアにおいて年間12点以上(上位約20%)の差があるユーザーに絞って年間平均値から各月平均値との差分を算出しました。それぞれの指標で月毎に比較する統計検定を行い、7月と比較して有意な差がみられた月を抜粋して報告しています。
■結果
本解析では、7月の睡眠スコアが最低という結果となり、「睡眠時間の短縮」と「睡眠の質低下」が睡眠スコア低下の要因であることが明らかになりました。
睡眠時間が短縮した原因は日照時間の延長の影響が強く、日の出時間が早まることにより、明るさにつられて起床時間が早まったり、夜間に分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌も早まってしまうことで、就寝しようとした際のスムーズな入眠が困難になると考えられます。また、「深い睡眠時間の短縮」や「深い睡眠に入るまでの時間の遅延」といった睡眠の質低下の指標には、外気温から影響された室内の温度や湿度などの環境要因が関与して深部体温がスムーズに下がらないことが主な要因と推測できます。
夏季は日照時間に影響を受けないよう睡眠時間を確保することや深部体温が下がりやすいよう適切な入浴方法(入眠90分前に入浴する)などの対策、また寝床内温度・湿度を適切に保つために寝具を活用することも有効的です。
結果① 夏季は睡眠スコアが低下する傾向
夏季の中でも7月が最も睡眠スコアが低下し、最も睡眠スコアが高い12月と比較すると約1.7点の差があり、夏季は睡眠スコアが有意に低下していました。
結果② 夏季は睡眠時間が短縮する傾向
夏季は睡眠時間が短く、最も短い7月は最長の12月と比較して約12分も有意に短いという結果でした。
結果③ 夏季は深い睡眠の時間が減少し、深い睡眠に到達する時間が遅延する傾向
夏季は睡眠時間内の深い睡眠の時間が短く、最も短い7月は最長の12月と比較して約7.5分も有意に短く、さらに寝始めてから深い睡眠に到達するまでの時間の遅延も見られました。
■ブレインスリープ最高研究顧問 西野精治コメント
季節の移ろいに伴い、私たちの生活や睡眠が変化することはよく知られています。 「春眠暁を覚えず」や「秋の夜長」といった中国や日本の格言は、その典型例です。しかし、こうした変化が現代の日本でどの程度顕著であるかについては、客観的なデータは限られていました。
そこで、ブレインスリープが提供する睡眠計測ツール「ブレインスリープ コイン」の7,000人以上のユーザーデータを活用し、1年間にわたる季節ごとの睡眠の変動を分析しました。その結果、蒸し暑い日本の夏では、睡眠時間が短くなるだけでなく、睡眠の質も低下する傾向が顕著であることが判明しました。一方、秋は日本の諺通り日照時間の減少とともに睡眠が回復する傾向が見られました。
春については、深い睡眠が増える傾向はあるものの、夏の睡眠悪化の兆しも既に見受けられました。中国の唐代と比較すると、現在の日本は気温の上昇に伴い、冬よりも夏の睡眠悪化がより顕著になっているとおもわれました。
これらの結果から、高温多湿の夏季において、いかに快適な睡眠を確保することが重要であり、そのためには熱や湿気がこもらない素材の寝具や枕の使用が効果的であると考えられます。
西野 精治(にしの せいじ)
スタンフォード大学医学部精神科教授
同大学睡眠生体リズム研究所所長
株式会社ブレインスリープ 創業者 兼 最高研究顧問
医師、医学博士
認定資格 精神保健指定医、日本睡眠学会専門医、産業医
■睡眠計測ツール「ブレインスリープ コイン」とは
睡眠研究により蓄積されたデータを元に開発した独自の計測アルゴリズムを搭載した、睡眠を価値にする睡眠計測ツール。人の動きに合わせたよりパーソナルな分析が可能で、睡眠習慣の改善から、眠りのスコアがコインに変わる好循環サイクルを提案することで睡眠の質向上をサポートします。
1.測る:かつてないほど高精度な睡眠状態を分析
睡眠研究を基に独自開発したアルゴリズムを取り入れ、睡眠研究で使用されている技術を応用。今までの睡眠計測アプリケーションでは見る事が出来なかったあなたの睡眠ステージ(睡眠の深さ)、寝姿勢、いびき/環境音、寝床内温度(布団の中の温度)を明らかにします。
2.改善する:あなたに合わせたアドバイス
あなたの睡眠状態に合わせて問題点を判定し、睡眠改善に繋がるアドバイスを表示。
日々の睡眠状態に合わせて改善提案を行い、より良い睡眠のサポートをします。
3.貯まる:眠るたびにコインが貯まる
あなたの睡眠状態やより良い睡眠習慣がスリープコインに変わります。貯まったスリープコインはブレインスリープの商品の割引クーポンやアプリ内の音楽購入などに交換できます。
株式会社ブレインスリープ
【会社概要】
設立 : 2019年5月
所在地 :東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー26F
代表取締役 :廣田 敦
ブランドサイト:https://brain-sleep.com/
事業内容 :ブレインスリープは、睡眠医学に基づいた確かな知見と先進のテクノロジーを掛け合わせ、脳と睡眠を科学するソリューションカンパニーです。専門家と連携した睡眠研究、オリジナルプロダクト開発、企業やクリニックへのコンサルティングなど、睡眠に特化したあらゆるソリューションで人や社会の可能性を目覚めさせることを目指します。