Fasciculation解析AIを搭載したウェアラブル超音波パッチ(SONoALS株式会社)がMedtech Angels Season4 最優秀賞を受賞
プレモパートナー株式会社のプレスリリース
医療機器開発に特化したインキュベーター、プレモパートナー株式会社(以下、プレモパートナー)は、2025年5月28日、「MedTech Angels Season4(2024)DemoDay」を東京・日本橋にて開催した。会場には多くの投資家、事業会社、医療関係者が来場し、オンライン視聴も含め約200名が参加。未来の医療を担う6チームによる熱意あふれるピッチが披露された。
4期目を迎えた今回は、SONoALS株式会社(以下、SONoALS)が最優秀賞を受賞した。
あわせて、昨年度の受賞者である株式会社テクリコの杉山氏による「MedTech Angels終了後の挑戦」と題した講演や、「米国市場に挑戦するMedTech Angelsメンターのリアル」をテーマとした、本プログラムのコアメンターらによるパネルディスカッションも実施され、参加者にとって実践的かつ刺激的な学びの場となった。
【MedTech Angelsとは】
MedTech Angelsは、プレモパートナーが主催する、医療テクノロジー(MedTech)領域に特化した国内初のアクセラレーションプログラムである。診断や治療のためのハードウェアとしての医療機器やAIを活用したプログラム医療機器、健康維持や疾病予防を目的とするデジタルヘルスなど、医療分野におけるイノベーションを目指す起業家やアーリーステージのスタートアップを対象にしている。
本プログラムは、世界的な医療機器起業家育成手法である「バイオデザインメソッド」に基づき、市場分析、薬事承認、資金調達、ピッチに関するノウハウを提供する。加えて、薬事・マーケティング・保険償還・品質マネジメントなどの医療機器開発特有の複雑な規制や市場環境に関する基礎講義に加え、医療機器の専門家による個別メンタリングを通じて、事業化を強く意識した構成となっている。
これにより、採択者は医療分野における革新的なアイデアを効率的に事業化へとつなげるための知識と視点を習得することができる、極めて有益な機会となっている。
【最優秀賞受賞:ALS診断に革新をもたらすSONoALSの挑戦】
今年のDemoDayでは6チームが登壇し、それぞれが高い評価を得る中で、特に注目を集めたのがSONoALSによる「Fasciculation解析AIを搭載したウェアラブル超音波パッチ」である。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、世界で約40万人が罹患する進行性の神経難病であり、確定診断までに平均13カ月を要するとされている。SONoALSが開発する技術は、ALSの早期バイオマーカーとして注目される「Fasciculation(線維束性収縮)」を非侵襲的に検出し、AIによる解析を通じて迅速かつ高精度な診断支援を実現するものである。
SONoALS CEOの佐伯氏は、神経内科医としてALS患者と向き合ってきただけでなく、自身もALS疑いと診断された経験を持つ。発症後、ある治療薬との出会いによってFasciculationが3日で著しく減少し、筋力低下の改善を実感したという実体験に基づき、この技術の社会実装を目指している。
なお、2024年に承認されたALS進行を30%抑制する治療薬は、発症1年以内に投与を開始しなければ効果が得られないとされており、早期診断の重要性はますます高まっている。従来の検査方法は侵襲的で患者負担も大きいが、SONoALSが開発中のパッチは、患者が装着して横になるだけで痛みなくデータを取得でき、確定診断までの大幅な時間短縮が期待されている。
審査員からは「診断だけでなく治療までつなげられる点」が高く評価されたほか、いち早い社会実装に向けた応援の声も多数寄せられた。「世界中のALS研究者と一丸になって闘う覚悟を決めた」と語る佐伯氏の今後の取り組みに注目が集まっている。
【イノベーションを促進する二つの視点】
医療機器分野におけるイノベーションの推進には、二つの重要な視点がある。一つは「誰のための課題を、どう解決するか」という課題解決の視点である。多くの場合、患者や医療現場の困難を取り除くことに重点が置かれるが、それに加えて重要なのが「どのような新たな価値を人々に届けるのか」という創造的な視点である。単なる問題解決にとどまらず、未来の医療を切り拓くための“発想“が求められている。
MedTech Angelsは、多くの協賛企業による支援のもと、スタートアップ企業の事業精度を高める場として機能している。この取り組みは、スタートアップと支援者の双方が、「より多くの患者に、新しい医療を届けたい」という共通の思いを持ち、医療テクノロジーの発展に貢献しようとする意志の結晶である。
プレモパートナーは、日本国内における医療ベンチャーの育成と、“日本発”の革新的な医療機器の創出を通じて、医療分野におけるイノベーションの加速に寄与することを、自らの使命と位置づけている。
DemoDayの締めくくりとして、プレモパートナーCEO 桜井公美氏は「ひとりで頑張ろうとせず、専門家や多様なコミュニティの力を借りながら、前に進んでほしい」と、起業家たちに向けた力強いエールを送った。
なお、「MedTech Angels Season5」の開催については、詳細が決まり次第、改めて案内を行う予定である。
【お問い合わせ先】
MedTech Angels事務局:secretariat.medtechangels@premopartners.com
責任者:アクセラレーションディレクター 前田 祐二郎(info@premopartners.com)
【プレモパートナー株式会社について】
2019年設立。医療機器開発に特化したインキュベーターとして、社名の由来であるラテン語の「寄り添う(Premo)」を理念に掲げ、医療現場やスタートアップに伴走。2021年よりMedTech Angelsを主催し、数多くの起業家支援に取り組んでいる。