光を光源方向へ反射するユニークな球状粒子を開発!~化粧品原料として新たなメイクアップ効果に期待~

日本メナード化粧品株式会社のプレスリリース

 日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、株式会社トウチュウ(愛知県知多郡美浜町大字野間字中新田5)との共同研究により、光を光源方向へ反射することで対象物を明るく輝いて見せる、「再帰性反射」という光学特性を備えた新規の球状粒子を開発しました。既存の化粧品原料とは異なる光のコントロールによって、メイクアップ効果の幅を広げ、新しい美の価値を提案できるものと期待されます。

 従来のメイクアップ化粧品では、主に「鏡面反射」と「拡散反射」を利用して光をコントロールし、メイクアップ効果を実現しています。鏡面反射は光を一定方向に反射しツヤや立体感を出します。拡散反射は光を様々な方向に散乱し毛穴や小ジワをぼかして、ソフトフォーカス効果をもたらします。

 これに対してメナードでは、新たな光コントロール技術として、これまで化粧品分野ではあまり活用されてこなかった「再帰性反射」に着目しました。再帰性反射とは光が入る光源の方向へ反射する現象で、光源側から見た場合、対象物が非常に明るく輝いて見えるため、道路標識や安全ベストの反射帯などに応用されています。このユニークな特性を化粧品に応用できれば、今までにないメイクアップ効果を生み出せるのではないかと考え研究を進めてきました。

 今回開発した再帰性反射特性を持つ新規な球状粒子を用いて、光の反射特性を確認したところ、既存品と同等の鏡面反射特性を備えつつ、既存品にはない再帰性反射特性をもつことが確認されました。

 今後、本球状粒子を応用することで、メイクアップの表現の幅を広げ、新しい美の価値を提案していきます。

 なお、本研究の成果は2025年5月21日から22日にかけて宮城県仙台市で開催された粉体工学会 2025年度春期研究発表会にて発表しました。

< 参考資料 >

1.従来の光のコントロールによる、メイクアップ効果とは

 メイクアップ化粧品は、配合される粉体の光学特性を巧みに利用し、肌表面での光の反射をコントロールすることでメイクアップ効果を実現しています。その基本は「鏡面反射」と「拡散反射」という2つの光学現象です(図1)。鏡面反射は、光を物体の平滑な表面で一方向へ強く反射する現象で、マイカやパール顔料などの板状粉体により、肌にツヤや光沢、そして立体感を生み出します。拡散反射は、光を物体の表面や内部で様々な方向に散乱・反射する現象で、多孔質性シリカのような球状粒子により、テカリを抑えたマットな仕上がりや、毛穴や小ジワなどをぼかして見せるソフトフォーカス効果を生み出します。 

図1 鏡面反射と拡散反射

2.再帰性反射とは

 再帰性反射とは、光がどの方向から入射しても、光源の方向へ反射するという、特殊な光の反射現象で(図2)、光源側から対象物を見た際に、対象物が非常に明るく輝いて見えるという特徴があります。視認性が向上するため、特に夜間や暗い場所での安全確保に適しており、道路標識や安全ベストの反射帯などに応用されています。

図2 再帰性反射

3.既存の化粧品原料の2.6倍の再帰性反射特性を確認

 今回開発した球状粒子(以下、開発品と表記)の再帰性反射特性を、化粧品原料として一般的に用いられるホウケイ酸ガラスの球状粒子(以下、既存品と表記)と比較しました。

■実験方法

 再帰性反射特性の評価は、国際照明委員会の定める方法(CIE 54.2 : 2001)に準拠して行い、再帰性反射係数R’(※)を算出しました(図3)。

※物体に光が当たった時、その光が光源に向かって再び反射される性質を示す数値

■結果

 開発品と既存品のR’値を比較したとき、開発品は既存品の2.6倍の再帰性反射特性を有することを確認しました(図4)。

図3 実験方法
図4 再帰性反射特性

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