日本メナード化粧品株式会社のプレスリリース
日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、メラニンやコラーゲンの量、肌の明るさやシワの深さに「NEIL1」と呼ばれるDNA修復酵素の発現量が関係していることを発見しました。NEIL1の発現が低い肌では、紫外線などで損傷を受けたDNAの修復が滞り、シミやシワなど複合的な肌悩みが生じやすくなると示唆されました。本研究から、美しい肌を維持するためには、NEIL1をはじめとするDNA修復酵素の発現を高めることが重要であることがわかりました。今後、この研究成果を新しい老化予防・改善のための化粧品開発に応用していきます。
一般的に、肌は加齢に伴って衰えていきます。しかし、同年代でもシワが多い人や少ない人がいるように、肌性状は個々で異なります。メナードは、この個人差を生み出す要因として、DNAの修復能力に着目しました。私たちのDNAは、紫外線や活性酸素などにより日々損傷を受けています。しかし通常は、DNA修復酵素により損傷箇所は速やかに修復されます。今回、このDNA修復酵素と肌性状との関連について調査しました。
その結果、DNA修復酵素の一種であるNEIL1の遺伝子発現量が低下した肌では、肌のメラニンの量が増加し明るさが低下すること、コラーゲンの量が減少しシワが深くなることが明らかになりました。このことから、美しい肌を維持するためにはDNA修復酵素の発現が重要であることがわかり、DNA修復酵素を増やしてDNA修復能力を高めることで様々な肌悩みの改善につながると考えられました。今後、この研究成果を、肌の老化を総合的に予防・改善する化粧品開発に活かしていきます。
なお、本研究の成果は2025年7月4日から5日にかけて東京で開催された第50回日本香粧品学会学術大会にて発表しました。
<参考資料>
1.肌性状の個人差を生み出す要因としてDNA修復酵素に着目
年齢を重ねるにつれて、シミやシワといった肌悩みが現れやすくなります。しかし、同年代でも、シミやくすみ、シワの程度などの肌性状は個人によって大きな違いが見られます(図1)。
メナードは、個人差を生み出す要因を探るため、DNA修復酵素に着目しました。DNAは私たちの身体を構成するタンパク質を作り出すための設計図です。肌においても、コラーゲンなど美肌に欠かせないタンパク質の産生に重要な役割を果たしています。しかし、DNAは紫外線や活性酸素などによって絶えず損傷を受けています。この損傷を修復するために、私たちの身体の細胞にはDNAの損傷を修復する酵素が存在しています。メナードでは、これまでの研究から、加齢によってDNA修復酵素が減少することを見出してきました※。今回は、DNA修復酵素が肌性状とどのように関係しているかを詳細に調べました。
※ 関連ニュースリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000048666.html
2.DNA修復酵素と肌性状との関連
女性被験者14名(37~52歳)の顔面部を対象とし、テープストリップにて採取した角質細胞をもとにDNA修復酵素の一種であるNEIL1の遺伝子発現量を測定しました(図2)。
また、同被験者の顔面部における肌性状の測定を行い、NEIL1との関連を解析しました。その結果、NEIL1 の遺伝子発現量が多いほど、メラニン量が少なく、肌の明度(L*値)が高くなっていました(図3)。さらに、肌内部のコラーゲン量が多く、シワの深さが浅くなっていることも確認できました(図4)。ほかにも、血色の良さや肌表面のなめらかさなど、様々な項目においてNEIL1の遺伝子発現量との関連がみられ、NEIL1の遺伝子発現量が多いほど美しい肌状態であることがわかりました。
この結果から、DNA修復酵素が多いと、損傷を受けたDNAが速やかに修復されるため、メラニンの過剰生成やコラーゲンの産生低下などが抑制されて美しい肌状態が維持できると推察されました。