「2024年問題」に挑む、持続可能な物流モデルの確立と、CO₂排出量78%削減を実現
株式会社再春館製薬所のプレスリリース
株式会社再春館製薬所(本社:熊本県上益城郡益城町、代表取締役社長:西川正明、以下 再春館製薬所)は、この度、長年にわたる物流改革への取り組みが評価され、第26回「物流環境大賞」*1(主催:一般社団法人日本物流団体連合会)において「奨励賞」を受賞し、6月30日の授賞式にて表彰されたことをご報告いたします。受賞に大きく貢献したのは、佐川急便株式会社・西久大運輸倉庫株式会社・日本貨物鉄道株式会社との4社協業で実現したモーダルシフトの推進です。
*1 近年物流分野においても環境との調和がますます重要となっている現状から、物流部門において優れた環境保全活動や環境啓発活動、あるいは先進的な技術開発・活用などを行うことにより、環境負荷低減の面から物流業の発展に貢献された事業者等を表彰するもの。
■本取り組みの概要
荷主の環境に配慮した経営への取り組みに加え、物流2024年問題への対応として、熊本工場から横浜地区へのモーダルシフト*2を実施した取り組みです。10トントラックの貨物を12フィート鉄道コンテナへモーダルシフトする場合、3個以上のコンテナが必要となるケースもありますが、本取り組みでは、試験輸送を繰り返して積載方法を工夫し、コンテナ2個での輸送を可能としました。
*2トラックによる幹線輸送を鉄道や船舶などの大量輸送機関への転換を指します。これにより、一度に大量の貨物を運ぶことが可能となり、長距離輸送の効率化や環境負荷の低減、そして災害時の代替ルート確保といった多岐にわたるメリットが期待されます。
■本取り組みの背景
近年、物流業界では「2024年問題」に代表されるトラックドライバー不足、労働時間規制の強化、そして環境負荷の増大といった喫緊の課題に直面しています。また、再春館製薬所は、主力製品「ドモホルンリンクル」をはじめとした製品の開発・製造から販売までを自社で対応する製販一体の通販会社として、この社会的課題解決と高品質な製品の継続的配送を両立する、持続可能な物流への転換が急務であると考えました。その方法として選択したのが、今回取り組んだ「モーダルシフト貨物輸送」です。
一方、物流に特化した知識や経験が乏しい再春館製薬所にとって、「モーダルシフト」は未知の取り組みであり、実施にあたる定義やルール、具体的なトラック輸送から鉄道への切り替え方法等、実際の運用については不明な点が多かったため、他3社との協業を行いました。
【4社協業によるモーダルシフトの協業】
本プロジェクトでは、それぞれの分野におけるプロフェッショナルである全4社が、それぞれの強みを活かし、密接に連携することで、これまでにはない新たな物流モデルを構築しています。
・再春館製薬所: 品質管理と物流戦略の立案、全体統括
・佐川急便株式会社: 全国に広がる輸送ネットワークの活用と、4社間のコーディネート
・日本貨物鉄道株式会社 (JR貨物) : 鉄道輸送インフラの提供と、大量輸送技術
・西久大運輸倉庫株式会社: 鉄道輸送と陸上輸送の橋渡し、柔軟な配送調整
■成果および今後の方針
各社が持つ知見と経験を結集し、月に一度の推進協議会で実績と課題を共有しながら改善を重ねてきた結果、CO₂排出量削減等の成果を上げることができました。
・CO₂排出量削減: 従来のトラック輸送と比較し、 CO₂排出量を年間78%削減を実現。
これは、環境負荷低減に大きく貢献し、SDGsへの取り組みを推進するものです。
・輸送品質の向上: 温度管理の精度向上や破損リスクの低減など、品質の安定化を実現し、
お客様へのより安心・安全な製品のお届けにつながっています。
・物流コストの削減: 年間数百万円規模のコスト削減効果を見込んでおり、長期的な収益性
向上にも寄与します。
今後は、本取組みを継続することはもちろん、さらなる改善活動を通じて、持続可能な物流モデルを全国へ展開していく所存です。
再春館製薬所は、来たる2032年の創業100周年に向け「ポジティブエイジカンパニー宣言」を新たな指針とし、「明日が楽しみと思える毎日をつくりたい」という企業としての意志のもと、今回の受賞を励みに、これからも社会から必要とされ続ける企業を目指してまいります。
■受賞者(薬彩工園 物流管理部門長 福永 幸太郎)のコメント
このたびの「物流環境大賞」における「奨励賞」という栄えある受賞を社員一同、大変光栄に思っております。今回の取り組みは、私たち再春館製薬所単独では成し得なかったものであり、ご協力いただいた各社の皆さまと共に受賞できたことを心から嬉しく思います。
物流業界では環境負荷の低減と持続可能な輸送体制の構築が重要な課題となっています。そうした中で、鉄道輸送へのモーダルシフトを実現することは、CO₂排出量削減やドライバー不足への対応といった社会的要請に応える手段のひとつです。
今後もパートナー企業の皆さまと連携しながら環境に配慮した持続可能な物流の実現に向けて取り組みを進化させてまいります。
【再春館製薬所について】
再春館製薬所は 1932 年に熊本で創業。「痛散湯」や「ドモホルンリンクル」を主とした、漢方理念に基づく医薬品・医薬部外品・化粧品の製造・販売を行う漢方の製薬会社です。「自然とつながり、人とつながる明日を」という理念を掲げ、「人間も自然の一部」という発想で選び抜いた植物の力を、製薬会社の技術で最大限に引き出して人の力に活かすものづくりを通し、「自然・人・社会の循環」を目指します。2016年の「平成28年熊本地震」でその名が全国に知られることになった熊本県益城町に本社を構える企業として取り組む復興支援の側面も持つ、全国初の「価値観」をもとに事業者・返礼品をセレクトした自社運営ポータルサイト「再春館製薬所 ふるさと納税サイト」の展開や「自然からの恵み」への”恩返し”につながる、自然との共生・サステナビリティ活動など、さまざまな形で理念の実践を追求します。(https://www.saishunkan.co.jp/)
【ポジティブエイジカンパニー宣言について】
創業100周年を迎える2032年に向け、改めて目指す指針となるメッセージ「ポジティブエイジカンパニー宣言」を発表しました。同宣言は、「明日が楽しみと思える毎日をつくりたい」という企業としての意志表明にとどまらず、「お客様/社員とその家族/協力者/地域/地球(自然)」に対する、独自性の高い「漢方の製薬会社としてのソリューション」提案という中長期的な事業計画としての側面も持ち合わせているものです。▶詳細はこちら
※参考※