アプリが保有する医療情報 × ウェアラブルデバイスで実現する、睡眠関連疾患に対する新たな健康支援へ
Arteryex株式会社のプレスリリース
株式会社テックドクター(代表取締役:湊 和修、本社:東京都中央区、以下、テックドクター)は、Arteryex株式会社(代表取締役:李 東瀛、本社:東京都千代田区、以下、Arteryex)が提供する医療情報管理アプリ「パシャっとカルテ」を活用し、検査結果などの医療データと生体データを組み合わせたデータ分析プロジェクトにおいて、両社の連携を開始しました。
本連携では、「パシャっとカルテ」を通じて取得されるお薬手帳、健康診断、検査結果などの医療情報と、テックドクターが保有するウェアラブルデバイスで取得される心拍・睡眠・活動量などの生体データを組み合わせることで、個人の健康状態をより多面的かつ継続的に捉えることを目的としています。
両社はこの取り組みを通じて、医療情報と生体データの統合による新たなデジタルバイオマーカー*の開発を目指し、個別化医療や予防医療に貢献するヘルスケアソリューションの創出を推進します。
まずは2025年8月から2026年3月にかけて、不眠症などの睡眠関連疾患に特化したPoC(概念実証)を実施し、両社のデータを活用した連携の有用性について、将来的な研究活用や社会実装を見据えた検証を進めていきます。
◾️データ連携の背景と目的
テックドクターとArteryexは、それぞれの領域で個人の健康状態を可視化・分析する取り組みを進めてきました。
Arteryexが提供する「パシャっとカルテ」は、ユーザーが撮影したお薬手帳や健康診断、検査結果などの医療情報を自動でデータ化・蓄積できるアプリです。
一方、テックドクターは、ウェアラブルデバイスで取得した心拍・睡眠・活動量などの生体データをもとに、疾患の有無や病状の変化、治療効果を連続的かつ客観的に評価するデジタルバイオマーカーの開発に取り組み、臨床研究支援やソリューション開発を行っています。
今回の連携は、こうした両社のデータを統合し、個人の健康状態をより多面的に把握することで、新たな価値の創出を目指すものです。単独では捉えきれなかった兆候や変化を捉えることが可能となり、疾患の予兆把握や行動変容の促進につながる可能性があります。
まずは、不眠症などの睡眠関連疾患に特化したPoC(概念実証)を通じてこの連携の有用性を検証し、将来的には新たなデジタルバイオマーカーの開発や、医療情報と生体データを活用したヘルスケアソリューションの社会実装を目指していきます。
なお、本研究で得られた知見やデータは、将来的に計画されるウェアラブルデバイスを活用した新たな医学研究への二次利用も視野に入れたものです。適切な倫理的配慮と手続きを前提に、さらなる医療応用の可能性を探ってまいります。
◾️PoC(概念実証)の実施
今回の連携にあたり、まずはPoCを2025年8月より開始します。
このPoCでは、対象となる「パシャっとカルテ」ユーザーのうち、研究参加に同意いただいた方を対象に、健康情報とウェアラブルデバイスから得られる生体データを収集し、その関連性を解析します。
これにより、データ統合の有効性や活用可能性を検証し、今後の本格的な展開につなげていきます。
<PoCの概要>
・実施期間:2025年8月〜2026年3月
・対象人数:100名
・対象条件:「パシャっとカルテ」ユーザーのうち、研究参加に同意いただいた方
・目的:将来的なデータ連携・社会実装を視野に、医療情報と生体データの組み合わせによる傾向の把握と活用可能性の検証
◾️今後の展望
PoCで得られた知見をもとに、両社は以下の取り組みを進めていく予定です。
・新たな疾患予測の指標となるデジタルバイオマーカーの開発
・疾患の早期発見や生活習慣の改善につながるソリューションの創出
また、スマートフォン向けのアプリという生活者に身近なプラットフォームを通じて、ユーザーの継続的な医療データ(健診結果・服薬・検査情報など)と、ウェアラブルデバイスによる生体データ、アンケート回答といった多様なデータを収集し、統合的に解析することが可能です。
このような環境は、実臨床では取得が難しいリアルワールドデータ(RWD)**の収集基盤として活用でき、リアルワールドエビデンス(RWE)***の創出や、治療介入効果の検証にもつながります。製薬・食品・ヘルスケア分野における研究開発やサービス設計において、価値の高いインサイトを提供できると考えています。
将来的には、「パシャっとカルテ」へのデジタルバイオマーカーの搭載も視野に入れ、個別化医療や予防医療の実現に向けた新たな健康支援モデルの確立を目指してまいります。
※本研究は、外部の倫理審査委員会による審査・承認を経て実施されています。
◾️Arteryex / 「パシャっとカルテ」について
Arteryexは、医療データを患者自身が管理し自分の“資産”として運用する「健康銀行」構想をかかげ、医療情報管理アプリ「パシャっとカルテ」を中心としたサービスを提供しております。また、「パシャっとカルテ」より入手した医療情報を活用した、医療情報プラットフォーム提供事業をはじめ、ヘルスケア関連を中心にシステムの受託開発を行っております。
会社名 :Arteryex株式会社
設立日 :2018年2月1日
所在地 :東京都千代田区外神田6-6-1 斎藤ビル2階・4階
代表取締役 :李 東瀛
事業内容 :医療情報管理アプリ「パシャっとカルテ」の開発ならびに運営、医療情報プラットフォームサービスの提供、医療分野におけるシステム・アプリケーションの開発
◾️テックドクターについて
テックドクターは「データで調子をよくする時代へ」をビジョンに掲げ、ウェアラブルデバイスをはじめとした日常のセンシングデータから健康に関するインサイトを導く「デジタルバイオマーカー」の開発と、その社会実装を進めています。医療・製薬・食品関連企業や研究機関と連携し、データに基づくAI医療の実現を目指しています。
会社名 :株式会社テックドクター
WEB :https://www.technology-doctor.com/
設立日 :2019年6月21日
所在地 :東京都中央区京橋二丁目2番1号 京橋エドグラン4階
代表取締役:湊 和修
事業内容:デジタルバイオマーカー開発プラットフォーム「SelfBase」の開発および運用、デジタル医療ソリューションの提供
*デジタルバイオマーカー
デジタルバイオマーカーとは、スマートフォンやウェアラブルデバイスなどから取得される日常的な生体データをもとに、疾患の有無や病状の変化、治療の効果を連続的かつ客観的に評価する指標です。
従来のバイオマーカーは、医療機関で一時的に測定される「点のデータ」でしたが、デジタルバイオマーカーは日常生活の「線のデータ」を継続的に取得できる点が特徴です。運動、睡眠、心拍などの指標をもとに、病気の早期発見や治療モニタリング、さらには薬剤開発における新たなエンドポイントとしても期待されています。
海外では2019年頃から開発が進み、国内でも注目が高まっています。
**リアルワールドデータ(RWD)
リアルワールドデータ(Real-world data)とは、日常生活で得られる人の健康に関わるデータです。例えば、診療録(カルテ)や処方箋、ウェアラブルデバイスのデータがリアルワールドデータと呼ばれており、医薬品などの研究・開発、公衆衛生、医療経済など幅広い分野で利用されています。
参照:日本製薬工業協会
https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/kenkou_iryou_data/detail_01.html
***リアルワールドエビデンス(RWE)
リアルワールドエビデンス(Real-world evidence)とは、リアルワールドデータ(RWD)を解析して得られる医療的な知見や科学的根拠のことです。RWEは、医薬品や治療法の有効性・安全性の評価、公衆衛生政策の立案、医療の質改善などに活用されます。