NTTプレシジョンメディシンのプレスリリース
次世代ゲノム医療とリアルワールドデータ利活用の展望を共有
2025年7月14日、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)主催によるシンポジウム「つながる、ひろがる バイオバンクが創る未来」が、東京・トラストシティ カンファレンス・丸の内にて開催されました。
本シンポジウムは、ゲノム医療の社会実装に向けて、全国のバイオバンク関係者および産官学の関係機関が一堂に会し、バイオバンクの現状と今後の展望、さらにはデータ利活用に関する制度・技術・倫理面の課題について幅広く議論する貴重な機会となりました。
当日は、会場とオンラインによるハイブリッド形式で実施され、会場には100名の参加者が来場、オンラインでも300名以上が視聴するなど、大変盛況なイベントとなりました。
NTTプレシジョンメディシン株式会社からは、取締役 データコンサルテーション事業部長 田畑雅章が「各界からの期待」セッションに登壇。当社が推進するゲノムデータの利活用に向けた取組、およびToMMoとの協業を通じた今後の共創に向けたビジョンについて講演を行いました。
ToMMoのイベント全体の記事についてもレポートが公開されていますので、イベント全体はこちらを参照くださいhttps://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/62566
■ 講演タイトル
「データ利活用プラットフォームが導く ToMMo ビッグデータの価値創造への期待」
■ 登壇内容の要旨
講演では、次世代型ゲノム医療の実現に向けて、当社が開発・運用する「Japan Precision Medicine Platform(JPP)」と、ToMMoの大規模かつ高品質な全ゲノム・リアルワールドデータの融合によって可能となるユースケースが紹介されました。
◆ 次世代ゲノム医療におけるJPPの役割
・JPPは、Trusted Research Environment(TRE)を基盤とし、複数の医療機関・バイオバンクが連携し
て安全かつ効率的にデータを活用できるプラットフォームです。
・特に、フェデレーション型解析モデルを活用することで、個人情報を保護しながら、施設間のデータ統
合・解析を可能にします。
◆ ToMMoとの連携
・2025年3月からは、ToMMoの15,000件の全ゲノム情報およびそれに付随するリアルワールドデータ
(RWD)を、BC Platforms社の「BC|INSIGHT」上で検証的に解析する共同業務を実施中。
・今後は、段階的に10万件、20万件規模への拡張を視野に入れており、国内外での利活用を想定した技
術検証とユースケース創出を進めています。
■ 想定されるユースケースの例
1.全ゲノム × 電子カルテ × 処方情報による層別解析 疾患別・個人別に薬効と副作用の相関性を分類し、個別化医療の実現に貢献。
2.ゲノム情報 × 健診データによるプレクリニカル予測研究 発症前の病理変化の早期発見と予防施策の立案。
3.多施設・多民族データとの比較解析 フェデレーションモデルにより、他のバイオバンクとの安全な連携・比較研究を実現。
■ データガバナンスと社会実装に向けて
講演ではまた、ゲノムデータの国際的利活用に向けて必要なガバナンス整備、倫理的配慮、セキュアな解析環境(TRE)の重要性についても言及。グローバルな法規制(GDPR, HIPAA)を視野に入れたインフラ整備と、産官学の連携によるルール形成の必要性が強調されました。
■ 今後の展望
本講演を通じて、ToMMoの高精度データの社会的価値を最大限に引き出し、次世代医療の研究開発に資する共創のあり方が共有されました。NTTプレシジョンメディシンは、引き続きToMMoおよび関係機関と連携し、安全・倫理的に配慮した形での医療データ活用を推進してまいります。ToMMoのイベント全体の記事についてもレポートが公開されていますので、イベント全体はこちらを参照くださいhttps://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/62566