塩野義製薬のプレスリリース
この1ヵ月に風邪の症状があった生活者1,200人と医師100人に聞く、夏の受診実態調査結果
◆生活者の約5人に1人(19.1%)が「暑いので医療機関での受診を避けたい」と回答
➢猛暑の影響による受診控えの可能性
◆発熱等から受診までの平均日数3.2日
◆約9割の医師が回答。新型コロナ陽性診断時、患者は「ただの風邪だと思っていた」
◆重症化リスクの高い高齢者になるにつれ、風邪の症状時にコロナを疑う人は低下傾向に
◆調査結果監修:平畑先生 “重症化や後遺症を防ぐため、「早期診断・早期治療」を“
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、感染症のリーディングカンパニーとして各医療機関と協力し、治療薬にとどまらない予防・診断等を通じた感染症の脅威からの解放に貢献したいと考えております。このたび、夏の受診に関する実態調査を行いました。主な結果を以下にお知らせいたします。本調査から得られた示唆を踏まえ、塩野義製薬は今後も社会に対する疾患啓発活動や、感染症対策のさらなる強化に努めてまいります。
●猛暑の今夏、5人に1人(19.1%)が「暑いので病院や医療機関での受診を避けたい」と回答。
●この1ヵ月に風邪の症状を感じて医療機関を受診した人は32.7%。67.3%は受診していない。「受診するほどでもない」「そのうち治る」と自己判断して受診していない。医療機関を受診した人のうち検査をして新型コロナ陽性だった人は17.1%と6人に1人の割合。
●不調を感じてから医療機関を受診するまでの期間は平均3.2日。(以上、生活者調査)
■医師の78.0%が「患者の初期の自己判断が間違っていると思うことがある」と回答。
■陽性診断に対し、患者は「ただの風邪だと思っていた」と反応することがあると医師の約9割が回答。
■医師が警鐘!酷暑の今夏気を付けたいTOP3「熱中症」「夏バテ」「新型コロナウイルス感染症」(以上、医師調査)
「夏の受診実態調査」調査概要
●調査時期:2025年7月18日(金)〜7月23日(水)
●調査方法:インターネット調査
●調査対象: ①生活者調査:直近1ヵ月に風邪の諸症状(発熱、のどの痛み、咳、鼻水、倦怠感など)を感じた20〜80代の男女1,200人 ②医師調査:新型コロナウイルス感染症の診察を行う医師(一般病院、医院・診療所・クリニックの内科・呼吸器内科・感染症内科・耳鼻咽喉科・循環器内科の医師)100人
●調査委託先:株式会社エクスクリエ/調査実施:株式会社クロス・マーケティング(①②ともに)
※ スコアの構成比(%)は小数第 2 位以下を四捨五入しているため、合計しても必ずしも 100%にならない場合があります。
調査結果監修:ヒラハタクリニック院長 平畑 光一 先生
詳細な調査結果は下記の通りです。
この1ヵ月に風邪の諸症状(発熱、のどの痛み、咳、鼻水、倦怠感など)を感じた20〜80代の男女1,200人と、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の診察を行う医師100人を対象に、夏の受診に関する調査を行いました。
夏の受診控えの実態 「風邪かもしれない」と感じても7割近くが受診しないまま…
風邪の諸症状を感じて、病院やクリニックなど医療機関で受診したかを聞くと、「受診した」のは32.7%で7割近く(67.3%)が受診していませんでした。年代別では20代の受診率が43.5%でした[図1]。
医療機関を受診しない理由は「受診するほどではない」「そのうち治ると思ったから」
医療機関を受診した人は「咳が止まらず苦しかったから」(30.6%)、「発熱していたから」(29.3%)、「からだがだるかったから」(23.2%)など、症状のつらさから医療機関を受診しています。受診しない人は「受診するほどではないと思ったから」(54.3%)、「受診しなくてもそのうち治ると思ったから」(38.0%)、「様子を見ればよいと思ったから」(33.8%)が挙げられます。20代は、受診理由として「仕事にさしつかえるから」(23.0%)より「家族や職場の人にうつしてはいけないと思ったから」(29.9%)が多く、受診しない理由では「面倒だったから」(23.0%)を挙げる人が他の年代より多くなっています。高齢の70〜80代では「暑かったから」(10.2%)受診しないという人が1割程度いました[図2]。
[図2]
不調を感じて医療機関を受診するまで平均3.2日
医療機関を受診した人に、不調を感じてから何日ぐらいで受診したかと聞くと、「2~3日後」と答えた人が38.3%と多く、受診までの日数は平均で3.2日でした[図3-1]。年代別に見ると、40代が2.5日と早く、70〜80代が受診するまで4.3日と最も長くかかっています[図3-2]
[図3ー1]
[図3ー2]
2025年の猛暑、日本は新型コロナ再流行が進行中!
新型コロナウイルス感染症は、日本では2023年5月8日に5類感染症に移行され、有事対応から平時対応へと移行、世界的パンデミックから3年余を経て、新型コロナ対応は日常に戻ったとされました。しかし、日本ではこの夏、新型コロナの再流行が進行しています。厚生労働省の発表によると、2025年7月第30週(21日〜27日)の定点医療機関当たりの報告数は4.12件で、第26週(6月23日〜29日)の1.40件から、上昇しています。
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/001528485.pdf
8割近くの人が「新型コロナは風邪と同じでわかりにくい」と回答
こ のような状況の中、直近 1ヵ月に風邪の症状を感じた人に、新型コロナは風邪と同じような症状になるのでわかりにくいと思うかと聞くと、 77.3%が「わかりにくいと思う」(「そう思う」 33.7%+「ややそう思う」 43.7%)と答えました[図 4]。
[図4]
風邪の症状を感じたとき約4割が新型コロナ感染を疑っている、疑うのは若い世代に多く高齢者に少ない
直近1ヵ月に風邪の症状を感じたとき、新型コロナに感染していると疑ったかと聞くと、38.7%(「疑った」10.3%+「少し疑った」28.3%)が感染を疑っています。
年代別に見ると、20代は49.5%と約半数が疑っていますが、年代が上がるほど疑う割合が低い傾向があり、70〜80代で疑った人は28.5%でした[図5]。
[図5]
その風邪、実は隠れコロナかも?新型コロナ感染を疑うものの、医療機関を受診したのは半数
新型コロナ感染かもしれないと疑った人のうち医療機関を受診した人は53.4%で、半数近くの46.6%は疑いながらも受診していません。
年代別に見ると20代の受診率が72.7%と高いのに対し、40代では40.0%、70〜80代では43.9%と半数以下でした。働き盛りの40代や重症化リスクが高いといわれる高齢者の半数以上が、新型コロナ感染を疑いながらも医療機関を受診していません[図6]。
[図6]
風邪の症状を感じて医療機関を受診した人の約6人に1人が新型コロナに感染 全体の3割が「新型コロナに罹患しても重症化しないと思う」と回答
風邪の症状を感じ医療機関を受診した人のうち、新型コロナの検査を受けた人は53.8%いますが、そのうち陽性だった人は17.1%でした。受診した人の約6人に1人が新型コロナに感染していました[図7ー1]。
今夏、再流行が進行中の新型コロナですが、全体の約3割(29.2%)が「新型コロナは、罹患しても重症化はしないと思う」(「そう思う」7.6%+「ややそう思う」21.6%)と答えています[図8]。
[図7ー1]
[図7ー2]
[図8]
猛暑の夏に出かけたくないところは「屋外での運動」、病院に行きたくない人が約2割も
猛暑が続く2025年の夏、できるだけ避けたいものを聞きました。「屋外での運動や散歩」(55.8%)や「コンサートやイベントなど多くの人が集まる場所に出かける」(42.4%)が上位に挙げられました。その中で「病院・クリニックなどの医療機関での受診」を挙げた人が19.1%と、およそ5人に1人は「こんなに暑いと病院に行きたくない」と思っていました。年代別に見ると、20代・30代は受診を敬遠する人は14.0 %と少ないものの、40代以降になると2割以上が受診を敬遠していました。
約9割の医師が回答。新型コロナ陽性診断時、患者は「ただの風邪だと思っていた」
このような状況を、医師はどう捉えているのか? 新型コロナの診察を行う医師100人に聞きました。
新型コロナ陽性と診断した際に患者からの反応を聞くと、医師の 90.0%が「ただの風邪だと思っていたという反応があった」(「よくある」 52.0%+「たまにある」 38.0%)と答えました[図 9]。
*新型コロナ陽性と診断した患者の反応「ただの風邪だと思っていた」の質問に対し「よくある」「たまにある」と回答した計
[図9]
酷暑の夏、医師が特に気を付けたいことTOP3「熱中症」「夏バテ」「新型コロナウイルス感染症」
酷暑の夏、新型コロナの診察を行う医師100人に特に気をつけたいことを聞くと、「熱中症」(87.0%)、「夏バテ・自律神経の乱れ」(72.0%)に次いで、「新型コロナウイルス感染症」(69.0%)が上位に挙げられました[図10]。
[図10]
医師の78.0%が「患者の初期の自己判断が間違っていると思うことがある」と回答
また、臨床の現場で思うことを聞くと、医師の58.0%が「風邪の諸症状を訴える患者に対して『もう少し早く受診していれば』と思うことがある」と答えています。また、「患者の自己判断で初動が遅れ、重症化や疾患の長期化につながっているケースがある」は65.0%、「患者の初期の自己判断が間違っていると思うことがある」は78.0%と多くなっています(いずれも「よくある」「たまにある」の合計値)[図11]。新型コロナ再流行の気配が高まる今年の夏、風邪の症状を感じたら、自分の判断ではなく、医療機関を早めに受診することが肝心のようです。
[図11]
調査結果について、本調査結果を監修したヒラハタクリニック院長の平畑光一先生にコメントをいただきました。
調査結果監修:ヒラハタクリニック 院長 平畑光一先生
今回の調査では、新型コロナ陽性になった患者様が診察時に「ただの風邪と思っていた」という体験を約9割の医師がした、という結果が出ています。当院は 2020 年 3 月から新型コロナ後遺症の診療を開始し、多くの新型コロナ感染症の患者様も診察していますが、当院においては最近でも風邪症状で受診される患者様の半数以上が新型コロナ感染症です。一方で、患者様からは「酷暑で家から出る気が起きず、なかなか受診できない」というお話をよくうかがいます。結果的に、症状が始まってから来院までに日にちが経ってしまっていることも多くなっているようです。
新型コロナ感染症は、初期症状が比較的軽いことも多い一方、ひとたび感染してしまえばあとから重症化する可能性、後遺症が残る可能性も十分にあるため、症状だけで自己判断することは非常に危険と言えます。風邪のような症状があれば、まずは医療機関を受診し、検査を受けることが非常に大切。新型コロナ感染症であれば、早めの治療が重要です。
調査結果監修医師のプロファイル
平畑光一先生(ひらはた・こういち)
山形大学医学部卒業。東邦大学大橋病院消化器内科で大腸カメラ挿入時の疼痛、胃酸逆流に伴う症状などについて研究。胃腸疾患のほか、膵炎など、消化器全般の診療に携わった。
2008年7月よりヒラハタクリニック院長。2020年春より、新型コロナ後遺症外来を開設。
医療向けIT企業の(株)メイドインクリニックを設立。
ヒラハタクリニック 東京都渋谷区渋谷1-24-6 マトリクス・ツービル9F
https://www.hirahata-clinic.or.jp/dr/
塩野義製薬の取り組み
塩野義製薬は、感染症領域の研究・開発を60年以上続け、数々の治療薬を社会にお届けしてきました。
現在に至るまで、世界でも有数の菌ライブラリや先進的な研究設備を獲得し、感染症に対する知見と技術を確立しています。感染症の脅威に立ち向かうため、治療薬にとどまらない予防・診断などを組み合わせることで、流行に左右されない持続可能な治療をサポートしていきます。