ジアミン不使用・過酸化水素不使用の一剤型・酸素反応型――「青」を起点に色の三原色(減法混色)で自然な黒髪色を再現
株式会社NILのプレスリリース
株式会社NIL(本社:神奈川県、代表取締役:佐藤 正晃)は、ジアミン系酸化染料および過酸化水素を一切使用せず、空気中の酸素と反応して発色する次世代色素を中核とする「染毛用組成物及び染毛方法」について、下記の通り特許が査定/登録されたことをお知らせします。
発明の名称:染毛用組成物及染毛方法
出願番号:特願2023-213366
登録番号:特許第7719523号
登録日:2025年7月29日
本技術は、特定の1-ナフトール誘導体が空気酸化(穏やかな酸化)により安定した“青色色素”を形成する点に独創性があります。生成した独自の「青」を基軸に、赤・黄の色素と減法混色の設計で組み合わせることで、黒髪圏に自然に馴染む黒〜ブラウンを髪上で再現します。安全性・染毛力・利便性の三要素を同時に満たす、白髪染め分野のブレイクスルーを実現しました!
開発の背景:安全な白髪染めが抱えていた「色」の課題
「安全に、手軽に、でもしっかりと染めたい」。このニーズに応えるため、過酸化水素を使わない空気酸化型の染毛技術が研究されてきましたが、大きな課題がありました。それは、白髪を自然な黒色や褐色に染めるために不可欠な「青色」の染料を、空気酸化で安定的に生成することが極めて困難だった点です。そのため、従来の空気酸化型製品では、色調が赤茶系に偏ったり、染毛力自体が不足したりする傾向がありました。
当社は、この根本課題を解決すべく、空気の力で褪色しにくい「青色」を発色させる、全く新しい色素前駆体の開発に着手いたしました。
新技術の概要:空気で「青」を生み出し、三原色で「黒」を創る
本特許技術の核心は、当社が独自に設計した「1-ナフトール誘導体」という化合物です。
この化合物は、それ自体は色を持たない「色素前駆体」ですが、髪に塗布されると空気中の酸素と穏やかに反応して酸化され、分子同士が結合(重合)することで色素を形成し、希少で安定した「青色」の色素を生成します 。
過酸化水素のような強力な化学薬品を必要とせず、空気の力だけで染色プロセスが進むため、髪のキューティクルを傷つけることなく、頭皮への刺激も大幅に低減できます。さらに、反応を促進する酸化触媒(銅錯体や酵素など)を微量配合することで、酸化スピードをコントロールし、より短時間で確実な染毛を可能にしました 。
そして、この独自開発の「青」をベースに、処方に赤色や黄色の染料を組み合わせることで、光の三原色(減法混色)の原理を応用し、アジア人の髪色に馴染む、自然で深みのある黒色や褐色を自在に創出することを可能にしました。これにより、白髪ケアで最も需要の高い色調を、髪に優しい処方で提供できる道がひらかれました。
新技術の3つの特徴
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安全性の追求
ジアミン系染料/過酸化水素 不使用。敏感肌への配慮と同時に、手肌・浴室汚れの抑制にも資する処方設計が可能。高い染毛力と再現性 -
独自の青を軸に減法混色で設計。
黒〜ブラウンの再現性が高く、1回使用から体感しやすいレベルの染毛力(当社評価)。生活へ
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適合性
シャンプー/トリートメント/エアゾールムースなど多様な形態に対応。日常のケア習慣に無理なく組み込める利便性。
実施例と設計自由度
前駆体の置換基設計により、青緑〜暗赤紫〜淡桃など広い色相域を単独化合物で表現可能であることを実証。さらに既存色素の少量ブレンドで、黒/褐色域の微細なニュアンスまで調整できます。
今後の展望
株式会社NILは、本特許技術を基盤とし、安全性と機能性を追求したヘアケア製品の開発を加速させてまいります。第一弾として、日々のバスタイムで白髪ケアが完結する、高機能カラーシャンプー及びカラートリートメントの製品化を計画しております。
本技術を通じて、髪を染めることへの不安や負担を解消し、誰もが自分らしいヘアカラーを心から楽しめる社会の実現に貢献していく所存です。今後の株式会社NILの展開に、どうぞご期待ください
【株式会社NIL(エヌアイエル)】
株式会社NIL(代表取締役社長:佐藤正晃、本社:神奈川県秦野市)
長年にわたって蓄積した有機化学の知見とナノ粒子製造技術の開発実績を基に、 機能成分の効果を最大化する革新的な機能性極小微粒子(スーパーナノ粒子)製造技術を開発し、SUNA(スーナ)ブランドを展開、現在、「エイジングケア」をキーワードに、天然由来の機能成分を用いた新たな機能性化粧品・機能性食品・医薬品等、様々な産業分野で製品開発と事業化を推進しています。