「縦ジワレス」なツヤ唇が続く、スティック口紅を開発

株式会社コーセーのプレスリリース

 株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)は、高い透明性や立体性を持つポリウレタンゲルを応用することで、塗布4時間後の唇でも「縦ジワレス」(※1)なツヤが持続するスティック口紅を開発しました。本技術は、2025年10月3日発売の口紅「アディクション ザ リップスティック グレイズドボム」(※2)に応用されます。

(※1)メイクアップ効果による

(※2)アディクション 公式ウェブサイト 商品掲載ページ

図1 開発したスティック口紅の縦ジワレス効果とツヤの検証

研究の背景

 近年、口紅市場ではツヤや色の持続性に加えて、ぷっくりとしたふくらみなどの立体感のある仕上がりとなる口紅が注目されています。その中でも、より若々しく見せたい、唇のシワが気になってしまう、というユーザーから求められる要素として、唇の縦シワを目立たなく見せる「縦ジワレス」があります。しかし、多くのユーザーに好まれているスティックタイプの口紅では、リップグロスに比べてツヤ感や立体感が不足し、縦ジワを目立たなくすることが難しいという課題がありました。そこで、柔軟かつ膜厚なゲルをつくる特性をもつ「ポリウレタンゲル」に着目し、スティックタイプの口紅でありながら、ツヤのある立体的な仕上がりと縦ジワレス効果の両立を実現する新たな口紅の開発に取り組みました。

ツヤ高い透明性と立体性を兼ね備えた口紅骨格の検証

 一般的にスティックタイプの口紅は、使用時や落下時の折れを防ぐため、一定の強度を保った品質が求められます。しかし、硬度を高めるためにワックスの配合を増やすと、口紅が濁り、ツヤを損なう要因となります。また、唇に立体感を持たせるには透明性の高いゲル化剤を配合して膜厚にすることが有効ですが、スティック状に成形しづらくなるなどの課題がありました。

 本研究では、これらの課題を解決する素材としてポリウレタンゲルに着目しました。ポリウレタンゲルは油剤と組み合わせることによって、高い透明性と十分な硬度を持ったゲルを形成する素材です。ポリウレタンゲルによるツヤへの効果を検証するため、口紅の基本骨格であるワックスと油剤にポリウレタンゲルを組み合わせた無色サンプルを作製し、外観とツヤの評価を行いました。その結果、ポリウレタンゲルを配合したサンプルは配合しないサンプルに比べて外観の透明性が高く、塗布時の外観も反射像がよりくっきりと見えることを確認しました(図2左)。また、同サンプルをグロスメーターという光沢を評価できる機器で測定したところ、ポリウレタンゲルを配合したサンプルの方が高いツヤ数値を示しました(図2右)。

図2 ポリウレタンゲル配合サンプルの外観とツヤの評価

 また、ポリウレタンゲルは動きにしなやかに追従するような柔軟性を持っているため、唇に塗布した際も動きに対して崩れにくく、長時間にわたって膜厚な仕上がりを保つ力があると考えました。そこでポリウレタンゲルを口紅用の油剤に配合したサンプルを平面に配置し、その形状変化を観察したところ、塗布直後から膜厚で立体的な形状となり、30分後でもその厚みや立体性が維持されていることを確認しました(図3)。

 以上から、ポリウレタンゲルは口紅において、ツヤと持続的な立体性に有効な素材であることが検証できました。

図3 ポリウレタンゲル配合サンプルの膜厚と立体性の評価

縦ジワレスでツヤが続くスティック口紅の開発

 実際にポリウレタンゲルを配合したスティック口紅を開発し、その縦ジワレス効果の検証を行いました。開発した口紅を唇へ塗布し、その直後と4時間後の外観を評価しました。その結果、塗布により縦ジワが目立たないツヤのある唇となり、塗布から4時間後でも縦ジワレスやツヤが維持できていることが確認できました(図1)。

今後の展望

 本研究により、ポリウレタンゲルを使いこなすことで硬度などの製剤課題を解決しながら、縦ジワレス効果を実現するスティック口紅を開発することができました。今後もお客さまのニーズを叶えられるよう、素材開発や製剤開発を推進していきます。

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