「出勤要請か、家族の安全確保か」で葛藤する現場の声
株式会社エムステージグループのプレスリリース
医療人材総合サービス、事業場向け産業保健支援を提供する株式会社エムステージ(東京都品川区、代表取締役:杉田雄二)は、エムステージが運営する『Dr.転職なび』『Dr.アルなび』の登録医師のうち638名に「防災」に関するアンケート調査を実施しました。
■ 調査背景
9月1日は「防災の日」です。関東大震災の発生日であるとともに、台風シーズンを迎える時期でもあり、自然災害への備えと意識向上を目的に創設されました。医療機関でも日頃から、防災訓練や物資の備蓄が進められていますが、災害時には医療従事者自身も被災する可能性があります。本調査では、主に地震・水害などの自然災害を想定し、医師の防災への意識や対策について調査しました。
■ 調査結果のサマリー
◯医療従事者としての防災意識について
・「初期対応マニュアルの把握」が最も重視される備え
・最も大きなプレッシャーは「出勤要請と家族・大切な人の安全確保の板挟み」
◯個人の防災について
・準備の程度に差はあれど、約9割の医師が何らかの備え
◯一般の方への防災アドバイス
・持病を持つ方へ「定期薬の余分な確保を」
■ 医療従事者としての防災意識について
1.「初期対応マニュアルの把握」が最も重視される備え
医療従事者として重要だと感じる災害時の備えについて、半数を超える医師が「初期対応マニュアルの把握」と回答。次いで、「情報伝達手段の確保」「患者のトリアージや搬送の判断力」が続きました。
2.最も大きなプレッシャーは「出勤要請と家族・大切な人の安全確保の板挟み」
災害時に感じるプレッシャーについては、「出勤要請と家族・大切な人の安全確保の板挟み」と回答した医師が約4割に上り、次いで、「医療資源が不足した際の判断責任」と回答した医師が多い結果となりました。
実際に、過去の災害で医療従事者として印象に残った経験では、「家族と患者とのバランス」「医療のインフラ依存」についてのコメントが多く見られました。
Q. 過去の災害で、医療従事者として印象に残った経験があれば教えてください。(フリー回答)
◼︎家族と患者とのバランス
・地震で勤務要請があり出勤したが、妊娠中の妻の安全が不安だった。[40代前半/消化器内科]
・子どもが産まれたばかりで家族と患者の治療でバランスを取るのが難しかった。[30代後半/放射線科]
・患者の救急対応の後、やっとの思いで帰宅すると、破壊された屋内に怯えきって疲弊した妻と息子が肩を寄せ合って座っていた。[60代前半/一般外科]
◼︎医療のインフラ依存
・限られた資材や環境でいかに安全で適切な医療を行うか考えさせられた。[40代後半/皮膚科]
・医療がインフラにいかに依存しているか思い知った。[40代後半/一般内科]
・機能を失った病院から紹介先病院への情報提供が難しかった。[60代後半/人工透析内科]
・洪水で地下のコンプレサーが停止し、人工呼吸器となってバッグを押し続けた。[50代後半/婦人科]
◼︎その他
・余震で患者の避難誘導の判断可否が迫られる状況が続き、緊張の毎日だった。[50代前半/一般内科]
・被災してクリニックを閉めようと考えたが、徒歩2時間掛けて薬を取りに来た患者さんがいて、
職場を守る意義を感じた。[60代前半/検診・ドッグ]
・震災後、メンタルヘルス問題が出てきた人がたくさんいた。[50代後半/産業医]
・震災後、平日は病院に缶詰で寝泊まり、週末だけ帰宅の生活が2ヶ月続いた。[50代後半/消化器内科]
・被災した病院から患者を受け入れたが、DMATでの情報共有が難しかった。[50代前半/心臓血管外科]
■ 個人の防災について
3.準備の程度に差はあれど、約9割の医師が何らかの備え
個人の防災グッズの準備状況について、「備蓄品・持ち出し用の両方を十分に備えている」と回答した医師は25.5%にとどまったものの、約9割の医師が何らかの防災グッズを準備していることがわかりました。
■一般の方への防災アドバイス
4. 持病を持つ方へ「定期薬の余分な確保を」
医療従事者としての経験に基づいた防災アドバイスとして、「持病のある方は常備薬を多めに確保しておく」「定期的に服用している薬には余裕を持たせる」といった、医療現場ならではの提言が寄せられました。
Q. 医療従事者としての経験から、災害に備えるためのアドバイスを教えてください。(フリー回答)
・持病のある方はかかりつけ医の他に対応可能な病院を把握しておく。[30代後半/形成外科]
・どこでも一定の医療が受けられるよう、持病の把握と薬手帳の携帯は必要。[40代前半/呼吸器内科]
・医療支援マップやハザードマップは紙とデジタル両方で備蓄。[40代前半/一般内科]
・持病をお持ちの患者さんは、常備薬・持病の薬を1週間分程度、常にご用意しておくことが重要と思います。[60代前半/循環器内科]
・緊急時の家族内での連絡方法を決めておく。[40代後半/循環器内科]
・最低限の応急処置の方法は学んでおくと便利だと思います。[40代後半/皮膚科]
・定期薬は最低1週間程度の余裕を持たせておくことが必要だと思う。[60代前半/一般内科]
・家族の分も含め、持病や内服薬を把握しておくこと。[30代前半/一般外科]
■ アンケート調査概要
・「防災」に関するアンケート
・調査対象:株式会社エムステージが運営する『Dr.転職なび』『Dr.アルなび』に登録する会員医師
・調査日:2025年8月1日~8月7日
・調査方法:webアンケート
・有効回答数:638
※引用・転載時には「株式会社エムステージ」とクレジットを明記下さい。
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株式会社エムステージ
「すべては、持続可能な医療の未来をつくるために」をグループビジョンに、医療従事者のキャリア支援・医療機関向け採用支援と事業場向け産業保健サービスを提供しています。
<会社概要>
商 号:株式会社エムステージ https://www.mstage-corp.jp/
代表者:代表取締役 杉田 雄二
設 立:2003 年 5 月
所在地:〒141-6005 東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower5階
事業内容:医療人材総合サービス、事業場向け産業保健支援