めざせ1日80g! たんぱく摂ろう会のプレスリリース
■たんぱく質摂取意識と実行にギャップ!継続できている人は半数未満
本調査では、70.2%が「たんぱく質」の摂取を意識していると回答した一方、実際に継続的に摂取できているのは47.9%にとどまっていることが明らかになりました。
■ 継続層と非継続層でたんぱく質摂取における意識・行動に違いを発見
継続層は以下2点を意識することで習慣化している。
1.朝と昼の食事でもたんぱく質を摂取している。(スコア差+約20Pt)
2.手軽にたんぱく質を摂れるよう、様々な工夫をしている。
例:たんぱく質が多い食材/食品を家にストックしている。(スコア差+17.5Pt)
■ 医師(高尾美穂先生)が考えるたんぱく質摂取の重要性と継続へのヒント
「たんぱく質は炭水化物・脂質と並ぶ三大栄養素の一つで、人が生きるために欠かせません。筋肉だけでなく、髪や皮膚、爪など体のあらゆる部分をつくる基礎となるため、日々の食事で意識的かつ継続的に摂取することが大切です。夕食に比べ忙しい朝や昼の食事は、たんぱく質摂取を忘れてしまいがちです。」
そこで、朝や昼の食事でもたんぱく質を摂るポイントを先生に教えていただきました。
1.おかずやトッピングにたんぱく質を含む食品を取り入れるひと工夫を。
例:トーストにとろけるチーズ、コーヒーに牛乳、ごはんに鮭フレークなど。
2.たんぱく質を含むおかずを常備しておく。
3.つねに頭の片隅に「たんぱく質」という言葉を置いて食品を選ぶ。
■ 生活習慣課題として浮き彫りになる「たんぱく質摂取」
本調査は、国民がたんぱく質の重要性を理解しながらも、実際の摂取行動が伴っていない現状を示しています。「めざせ1日80g!たんぱく摂ろう会」では、今後も医師や栄養士等とも連携し、科学的根拠に基づく情報発信と行動定着のための啓発活動を推進してまいります。
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「めざせ1日80g!たんぱく摂ろう会」は日本人のたんぱく質摂取量低下という問題に取り組むため、株式会社 明治、伊藤ハム米久ホールディングス株式会社、マルハニチロ株式会社が2022年6月17日に設立したコンソーシアム(共同事業体)です。設立会社3社は連携し、日本人の低栄養という社会課題解決に向け、たんぱく質摂取の啓発を通じて全ての年代の方が心身ともに健康で安心して暮らせる「ウェルネス社会」の実現を目指して活動しています。
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【 調査概要 】
●調査対象者:全国在住15-74歳 2,686名
・性別内訳:男性1,340名、女性1,346名
・年齢内訳:15-19歳168名、20-29歳358名、30-39歳411名、40-49歳534名、50-59歳487名、60-69歳458名、70-74歳270名
●調査方法:インターネット調査
●調査実施機関:株式会社電通マクロミルインサイト
●調査時期:2025年3月21日〜3月22日
【 調査結果レポート 】
■たんぱく質の摂取を「意識している人」は約7割
よく知られている5つの栄養素(たんぱく質、食物繊維、鉄分、カルシウム、ビタミン類)の摂取意識について聞いたところ、たんぱく質摂取について「とても意識している」「ある程度意識している」と答えた人は計70.2%。5つの栄養素のうちで、「意識している」人の割合が最も高くなりました(有効回答数2,382名)。
■たんぱく質の摂取を「継続できている」人は約50%
たんぱく質摂取を意識していると答えた人(1,672人)のうち、約半数にあたる47.9%が「継続できている」と答えました。また、その内訳を見ると、77.2%の人が「ときどき難しいことがある」と答えました。
■たんぱく質摂取を「継続できている」人は男性では若い世代が多い。一方で40代女性は継続できている人の割合が著しく低い
たんぱく質摂取を意識している人(1,672人)について、「継続できているかどうか」を性別年代別に分析しました。その結果、男性では15歳以上から30代で、「理想通りに継続できている」人が20%前後と、高い割合でした。一方40代女性では「理想通りに摂取できている」人が2.3%と、ほかの年代に比べて著しく低いことがわかりました。
■たんぱく質摂取の継続における悩みは「大変さ・面倒さ」が上昇傾向
「たんぱく質を摂る上でハードルや課題に感じること」を尋ねたところ(複数回答)、上位5位に入ったのは、知識や情報不足に関する回答(1位「自分がどれだけ摂取しているかわからない」、3位「どのくらい取ればいいかわからない」、5位「どんな食品を食べたらいいのかわからない」)と、大変さ・面倒さに関する回答(2位「毎日意識して摂り続けるのが大変」、4位「たんぱく質が入った料理を毎日考えるのが大変」)でした。特に大変さ・面倒さに関する回答は前年比2.6ポイント以上の上昇が見られました。
【 たんぱく質摂取 継続のための工夫 】
たんぱく質の継続摂取を「意識している人」「ある程度意識している人」を「継続層」、「あまり意識していない人を「非継続層」とし、両者を比較して、たんぱく質継続摂取のヒントを探しました。
■たんぱく質の継続摂取を意識している人(継続層)は、朝と昼の食事でもたんぱく質を摂取している
たんぱく質摂取を意識しているタイミングを聞いたところ、夕食では、継続層・非継続層ともに60%以上がたんぱく質摂取を意識していました。一方、朝と昼の食事では、継続層は非継続層に比べて約20ポイントも高い割合でたんぱく質摂取を意識していました。たんぱく質を継続的に摂取するには、朝と昼の食事がカギになるかもしれません。
■たんぱく質の継続摂取を意識している人(継続層)は、いつでも手軽にたんぱく質を摂れるよう、工夫している
「たんぱく質をどのように摂取しているか」を複数回答で尋ねたところ、継続層は非継続層より「食品を調理して摂る」「たんぱく質が多い食材/食品をストックしている」「プロテインなどの補給食品を活用する」「食材/食品をある程度固定して、考えたり調理したりする手間を省く」「たんぱく質を摂りやすい食事を作り置きしている」という回答が多くみられました。ここから、継続層はたんぱく質をいつでも手軽に摂るためにさまざまな工夫をしていることがわかります。
■たんぱく質摂取のきっかけや継続している理由を“共起語マップ”で可視化
今回の調査では、たんぱく質摂取を続けている理由や、継続摂取するための工夫を自由回答で尋ねました。その回答を分析し、可視化したものが“共起語マップ”です。共起語マップでは、頻出単語と、それとともに用いられる係り受け単語、同時出現の関連性の高い単語(共起語)と、それらの関係性が一目でわかります。
共起語マップはこちらから
■たんぱく質継続摂取のモチベーションは「自分への褒め言葉」
たんぱく質の重要性や、たんぱく質を継続摂取することの意義について、産婦人科医・産業医・婦人科スポーツドクター・産業医として活躍する高尾美穂先生に聞きました。高尾先生が考える「たんぱく質摂取を継続するためのヒント」も紹介します。
【 専門家プロフィール 】
産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター
高尾美穂(たかお・みほ)
副院長を務める「イーク表参道」では、婦人科の診療を通して女性の健康をサポート。婦人科スポーツドクターとして、女子サッカー、マラソン・駅伝ランナー、競馬学校などで女性アスリートの健康やコンディションを支えるほか、スポーツウェア開発にも携わってきた。また産業医として、働く女性の健康課題、健康経営、キャリア形成、職場環境の改善に取り組む。
■意識して摂らないと不足するのが「たんぱく質」
―― たんぱく質とは、どういった栄養素でしょうか。
高尾美穂先生(以下、高尾) たんぱく質は、炭水化物、脂質と並ぶ「三大栄養素」の一つ。つまり、人間が生きていくために必ず摂るべき栄養素です。現在の食生活では、炭水化物と脂質はそれほど意識しなくても摂れますが、たんぱく質はある程度意識して摂らないと不足してしまいます。
たんぱく質といえば筋肉というイメージがありますね。たしかに、筋肉を増やすにはたんぱく質が必要ですが、それ以外にも髪、皮膚、爪など、人間の体のあらゆる部分がたんぱく質をベースとして作られますから、日々の食事でたんぱく質を摂取し続けるのは、とても重要なことです。
―― 患者さんを診察する際、たんぱく質不足を懸念されることはありますか?
高尾 産婦人科で内診台を使って診察するとき、最初に目に入るのが患者さんの足なのです。ときどき、爪が潰れていたり、青くなっていたりする方がいて心配になります。爪の細胞は、爪の根元の皮膚の下にある「爪母(そうぼ)」で作られるのですが、そういった部分に十分なたんぱく質が届かないと、しっかりした爪を作ることができないからです。
ふくらはぎがむくんだ女性も多くみられます。ふくらはぎの筋肉には「筋ポンプ」の作用があって、その力で静脈血やリンパなどの水分を心臓のほうに押し戻します。筋肉が少ないと、ふくらはぎに水分がたまってむくんでしまう。水分がたまれば足が太く見えますし、寒い季節には冷えを感じやすくなります。
―― たんぱく質が不足すると、どんな影響がありますか?
高尾 筋肉量を維持できなくなりますし、髪や爪、肌が衰える、体力や免疫力が低下するなど全身にさまざまな悪影響があります。また、たんぱく質は「骨の老化」にも大きく関わっています。骨の約80%はカルシウムなどのミネラルでできていますが、コラーゲンというたんぱく質も約20%含まれているんです。加齢とともにコラーゲンが減ると、骨のしなやかさが失われて骨折のリスクが高くなります。また、腰椎が変形して、背中が丸くなってきます。
骨折しやすくなるのも、姿勢が悪くなるのも年を取れば当たり前と思うかもしれませんが、けっしてそんなことはありません。同じ70歳でも車椅子で生活する人もいれば、フルマラソンを走れる人もいるのですから。将来もずっと健康で動ける体を維持するには、充分な骨と筋肉が必要。そのために、40〜50代の頃からたんぱく質を意識して摂取し続けることが大切です。
■頭の片隅につねに「たんぱく質」という言葉を置いておく
―― 2025年の「たんぱく摂ろう会」アンケート調査から、「『たんぱく質摂取を継続していない人(非継続層)』は、『たんぱく質摂取を継続している人(継続層)』と比べて、朝食や昼食でのたんぱく質摂取をあまり意識していない傾向がある」ことがわかりました。
高尾 たしかに、夕食に比べて朝食や昼食のタイミングは忙しい時間帯で、栄養バランスやたんぱく質摂取を考えることを忘れてしまいがちですね。
―― 朝食や昼食でもたんぱく質を摂るには、どうしたらよいでしょうか。
高尾 たんぱく質は基本的に、肉・魚・卵・豆製品・乳製品の5つのグループに含まれています。ですから、これらの食品をおかずやトッピングに取り入れるといいですね。でも、難しく考える必要はありません。朝食ならトーストにとろけるチーズを乗せて焼くとか、コーヒーに牛乳を入れる。ごはんに鮭フレークをのせる、ゆで卵を一つ食べるといった、ちょっとした工夫でたんぱく質を補給できます。
また、アンケート結果にあったように「たんぱく質を含むおかずを常備しておく」。これもたんぱく質摂取には良い方法ですね。
―― コンビニやスーパーで食品を買う場合は、どんな点に気をつけるといいですか?
高尾 食品パッケージに書かれている栄養成分表をチェックする習慣をつけるといいですね。例えばサンドイッチを選ぶときは栄養成分表を見比べて、たんぱく質の一番多いものにする。買い物をするときは「たんぱく質○g入り」などと表記されているものを選ぶ。つねに頭の片隅に「たんぱく質」という言葉を置いて、食品を選ぶのです。
■たんぱく質を「継続摂取」する意義
―― なぜ、たんぱく質摂取を継続するとよいのでしょうか。
高尾 筋肉を作るチャンスを逃さないためです。私は子どもの頃からずっと体を動かすのが大好きですが、そういう人は少数派。実際、40〜50代の女性の5人に4人は運動習慣がありません。そんな多数派に体を動かしてもらうため、WHOや厚生労働省は「身体活動」という考え方を提唱しています。身体活動には、健康増進や体力づくりを目的とした「運動」と、買い物や洗濯、通勤・通学などの「生活活動」の二つが含まれます。例えば買い物や通勤のときに速歩きするのも身体活動の一環になります。
ここで考えてほしいのがタイミングです。運動、とくに筋力トレーニングをすると、その直後に成長ホルモンが分泌されます。そのときに血中にたんぱく質があれば、成長ホルモンの働きによって筋肉が発達します。だから筋肉をつけたい人やアスリートは運動直後のタイミングでプロテインを補給するわけです。
筋肉を使った後にたんぱく質を補給すればよいのは、生活活動をする場合でも同じです。でも、日常生活の中で、どのタイミングで速歩きしたり、重い物を持ち上げたりするかわかりませんよね。だから、たんぱく質を継続的に摂取して、血中につねにたんぱく質がある状態をキープするのが理想なのです。そうやって筋肉をいつでもスタンバイ状態にしておけば、ちょっとした運動も無駄にせずにすみますから。日常生活をしながら筋肉を作るって、いわば生活のボーナスポイントみたいなものですよね。
―― ほかにも、たんぱく質摂取を継続するモチベーションになる行動はありますか?
高尾 たんぱく質は体にとって、非常に大切な栄養素の一つ。それを意識して摂取するのは間違いなく「自分にいいこと」ですから、実行できたら自分を大いに褒めていいと思うんです。「今日もたんぱく質をちゃんと摂った」「ちょっとだけど運動した」。そんな自分を褒めることが、継続のモチベーションになるでしょう。
女性はもちろん、男性も年齢とともに体は徐々に変化し、それと同時に自信が失われがち。そんな毎日の中で「自分にいいことを続けている」と実感することは、自信の回復につながります。努力を続けるあなたを、10年後、20年後の自分もきっと褒めてくれるはずですよ。
■本調査のダイジェスト版レポートはこちらから
https://tanpakutoroukai.jp/report/20/
【 「めざせ1日80g! たんぱく摂ろう会」について 】
・設立
2022年6月17日
・参画会社
幹事会社:株式会社 明治・マルハニチロ株式会社・伊藤ハム米久ホールディングス株式会社
・活動内容
ウェルネス社会(人生100 年時代と言われる中、老若男女、すべての人々が心身ともに健康に暮らせる社会)の実現に向けて、さまざまな地域社会において、たんぱく質摂取の重要性についてメッセージを発信していきます。
・WEBサイト https://tanpakutoroukai.jp/