魚肉ペプチドの摂取による犬の食いつき、毛並み改善とストレス軽減効果を確認

~研究結果を日本水産学会で発表~

鈴廣かまぼこ株式会社のプレスリリース

鈴廣かまぼこ株式会社(神奈川県小田原市 社長:鈴木智博 以下「鈴廣」)は、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン(広島県神石高原町 代表理事:大西健丞)が運営する「ピースワンコ・ジャパン」ご協力のもと、魚肉ペプチドの摂取によるペットの健康サポート効果について研究を行いました。魚肉ペプチドの摂取により、犬の食いつきや毛並みの改善およびストレスの軽減効果を確認しました。これらの研究結果を2025年9月24日-26日に開催された「令和7年 日本水産学会 秋季大会」で発表いたしました。(発表題目:「魚由来タンパク質源の給餌によるイヌの食いつきおよび被毛外観の向上、被毛コルチゾール含量の低下について」)

研究の背景と目的

魚肉タンパク質は大豆タンパク質や乳タンパク質よりペプシンに消化されやすく1)、その酵素分解産物である魚肉ペプチドは、様々な健康機能性を示すことから健康増進用の素材として注目されています。

これまで弊社魚肉たんぱく研究所では、魚肉タンパク質の健康機能に着目し、血圧上昇抑制作用1)や消化性必須アミノ酸スコア(DIAAS)といった機能を示唆する研究成果2)を発表してきました。特に、魚肉ペプチドは抗酸化活性の高いジペプチドが含有されておりヒトに対して疲労感を軽減する効果3)が認められています。

ペットの生活の質(QOL)向上を目的とした機能性ペットフードの市場は拡大傾向にあり、新規原料素材の開発が期待されています。機能性ペットフードとは基本的な栄養素に加えて、健康上の利点(消化、嗜好、被毛の改善等)を提供するように設計されたペット食品であり、魚肉ペプチドがこれらの素材として活用できる可能性があります。

 しかしながら、ペットへの効果に主軸を置いた研究は十分に進んでおらず、魚肉ペプチドが犬の健康機能にもたらす効果に関してはこれまで明らかにされていませんでした。そこで本研究では、魚肉ペプチドが犬の嗜好性や体調に及ぼす影響を明らかにするために、魚肉ペプチドを犬に給餌し、食いつき、毛並み、ストレスレベルへの影響を調べました。

1) 植木.相模湾産魚類の水溶性筋肉タンパク質の血圧上昇抑制作用.フードケミカル 376, 41-44, 2016

2) 魚肉たんぱく研究所HP 「本当に「質の高いタンパク質」を摂るために…知っておきたいDIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)と魚肉の優位性」 https://www.kamaboko.com/fishprotein/divs/diaas/

3) Sakai et al., Effects of fish meat-derived peptides on fatigue. Jpn. Pharmacol. Ther. 48, 1393-1399 , 2020 .

 食いつき、毛並み改善とストレス軽減の可能性を確認

イヌ20頭を試験対象とし、体重10 kgあたり魚肉ペプチドを8 g摂取できるように市販の配合飼料に魚肉ペプチドを添加して毎日朝夕2回に分けて30日間給餌しました。食いつきや毛並みの変化はVisual Analogue Scale(VAS)法で評価し、ストレスレベルは自然脱毛した被毛中のコルチゾール含量を指標としました。合わせて被毛の外観を走査型電子顕微鏡で観察しました。

食いつきは魚肉ペプチドを添加したことで有意に向上しました(図1)。毛並みのVASスコア(数値が高いほど状態が良い)も魚肉ペプチドを摂取したことで上昇する傾向にあり、摂取30日目には有意な差が認められ(図 2-1)、その時の被毛表面の損傷は改善する傾向が認められました(図2-2)。被毛中のコルチゾール含量は対照群と比べて魚肉ペプチド摂取によって有意に低下し、ストレス低減効果が示唆されました(図3)。

魚肉ペプチドについて

魚肉ペプチドは、かまぼこにも使われる魚のすり身を酵素で分解するというシンプルな製法で作られます。ペプチドとは、タンパク質が分解されてできるもので、アミノ酸がいくつかつながった状態のこと。分解が進んでいるため、通常の食事からタンパク質を摂取するよりも、アミノ酸を素早く、効率的に体内へ取り込めるのが特長です。近年の研究では、運動後の疲労回復を助ける効果も認められ、日常の健康維持やアクティブなライフスタイルを支える成分として注目されています。
 さらに今回の研究結果からは、犬の食いつき向上による栄養補給や健康維持、毛並み改善、ストレス軽減への効果も示唆され、機能性ペットフードの素材としての活用にも期待が高まっています。

ピースワンコ・ジャパンプロジェクトについて

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンは災害や紛争、社会構造の変化などによって危機にさらされた命に対して国内外問わず支援活動を行う、日本発祥のNGO(非政府で非営利の民間組織)です。1996年設立以来、世界各地に支援を届け続けています。

ピースウィンズ・ジャパンが運営する「ピースワンコ・ジャパン・プロジェクト」は、本部の広島を拠点に神石高原シェルターを含む全国11か所のシェルター・譲渡センターで「日本の犬の殺処分ゼロ」を目指して活動を行っています。広島県の犬の殺処分機は9年以上稼働を止めており、これまでに5,000頭以上の保護犬を譲渡・返還してきました。

https://wanko.peace-winds.org/

鈴廣かまぼこについて

小田原でかまぼこを作り続けて160年。創業以来、小田原かまぼこの伝統を受け継ぎ守り続けています。大切にしてきた職人技を独自研究施設の最先端科学で解明・立証し、さらなる高い品質と技術の伝承・発展を進めています。

現在は魚肉たんぱくの魅力を世に伝えるため「お魚たんぱくで世界を健やかに」というミッションステートメントを掲げ、かまぼこ製造技術を活かした新しい商品づくりと魚肉たんぱく市場の開発に取り組んでいます。

https://www.kamaboko.com/

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