【産総研グループ/AIST Solutions:セミナー開催】「におい判定アプリ」を用いてセンサ信号をAIで解析

11月17日〜12月12日 <基礎編:オンデマンド座学> / 12月5日 <実践編:ハンズオン実習>

株式会社AIST Solutionsのプレスリリース

  半導体式ガスセンサ × 機械学習によるにおい識別技術、セミナーにて実演公開 

株式会社AIST Solutionsは、国立研究開発法人産業技術総合研究所 マルチマテリアル研究部門 センシング材料研究グループが開発した「におい判定アプリ」を活用した、におい識別技術の実践的なセミナーを開催します。 このアプリは、半導体式ガスセンサと人工ニューラルネットワークを組み合わせ、センサ信号からリアルタイムににおいを判定でき、プログラミング知識を持たないユーザーでも利用可能なソフトウェアです。

 「におい識別は難しく専門的で手を出せない」

 「プログラミングは苦手だけどAI技術を使いたい」

     ── そんな悩みを抱える技術者・研究者の⽅にこそ、本セミナーは最適です。

「においセンサキット」から出力されるデータで「におい判定アプリ」が、においを判定

【アプリの概要】

本アプリは、データロガーから出力されるセンサ素子の抵抗値を応答値(Ra/Rg 比)に変換し、機械学習の入力変数として処理します。ここで、Raは基準状態での抵抗値、Rgはにおい環境での抵抗値を意味し、環境変動やセンサ個体差の影響を低減する役割を担います。

学習プロセスでは、取得した時系列データを教師データとして自動抽出し、標準化処理の後に人工ニューラルネットワーク(ANN)モデルで学習。センサ数(例:4種類)に応じた入力層、中間層(ReLU活性化関数・2層・各64ノード)、出力層(Softmax)からなるニューラルネットワークを構築します。これにより、多種類のにおいを高精度に分類判定可能です。

さらに、学習データとテストデータの分割(4:1)によるモデル精度評価機能を搭載し、Loss・Accuracyの推移を可視化。過学習の兆候も確認でき、実用現場での信頼性向上に資する仕組みを備えています。

においセンサキット

【開発の背景】

においの識別は、これまで嗅覚検査員や官能評価に依存してきましたが、客観的なデータ化への要請は食品の品質管理、化粧品の開発、医療診断、環境計測など多分野で高まっています。

市販のガスセンサと汎用データロガーを組み合わせ、低コストで導入できる「においセンサキット」から出力されるデータを解析するための「におい判定アプリ」を開発することで、研究者・企業が容易に「におい解析実験」を行えるプラットフォームを実現しました。

【セミナーでの公開実演】

セミナーでは、参加者が以下を体験できる内容となっています。

・ハード:市販センサキットの構成を理解できます。

・ソフト:「におい判定アプリ」によるにおいデータの学習・判定を実演します。

・応用例紹介:食品・酒類・化粧品・精油など「複数のにおい」を対象とした判定を実際にデモンストレーションします。

・研究連携の可能性:産業技術総合研究所との共同研究・技術指導・開発協力を紹介します。

これにより、参加者は「におい解析」の基礎から応用までを一貫して学ぶことが可能です。

※ 実演内容は、実際と異なる可能性があります。

【今後の展望】

産業技術総合研究所とAIST Solutionsでは、本アプリを基盤としつつ、以下の展開を進めていきます。

  • 高感度・高選択性を持つ新規ガスセンサ素子との連携

  • 特定用途(例:健康診断用呼気分析、環境モニタリング)に特化したモデル最適化

  • 産学官連携による社会実装の加速

においを「データ化」することで、これまで曖昧であった感覚評価を科学的に扱う新たな産業基盤を築くことを目指しています。

 セミナーの詳細

においを“見える化”する!センサ技術とアプリによる「簡単におい判定」 

<基礎編:オンデマンド座学> 

 2025年11月17日(月)10:00 ~ 2025年12月12日(金)23:59 

 ・においセンシング技術の背景・原理を体系的に学習いただけます。
<実践編:ハンズオン実習> ※定員15名(先着順) 

 2025年12月5日(金)13:00 ~ 16:30 WeWork JRセントラルタワーズ名古屋

  愛知県名古屋市中村区名駅1丁目1-4 JRセントラルタワーズ 50F(名古屋駅直結)

 ・市販センサと回路を用いた実習。アプリによるリアルタイム判定を体験いただけます。 

【講師情報】

国立研究開発法人産業技術総合研究所 

材料・化学領域 マルチマテリアル研究部門

センシング材料研究グループ 研究グループ長 

伊藤 敏雄

名古屋大学大学院で博士(工学)を取得後、国立研究開発法人産業技術総合研究所に入所。2025年4月より現職。これまで主に、室内や呼気に含まれる揮発性有機化合物(VOC)、口臭の揮発性硫黄化合物(VSC)、呼気や不活性ガス中の酸素、等を計測する半導体式センサとなる電子セラミックス材料の開発から、センサアレイと機械学習によるにおい分析技術の開発など、ガスセンサに関する研究開発に従事。学会、協会からの受賞多数。

国立研究開発法人産業技術総合研究所 

材料・化学領域 マルチマテリアル研究部門

センシング材料研究グループ 上級主任研究員 

増田佳丈

名古屋大学大学院博士(工学)学位取得(2004年)および名古屋大学大学院工学研究科助手(2000-2006年)を経て、2006年に産業技術総合研究所に入所。専門はセラミックスで、特に、水溶液プロセスによるセラミックスナノ材料の開発とガス・においセンサへの応用等に取り組んでいる。水溶液プロセスでは、常温・常圧・水溶媒での金属酸化物の結晶化、微細構造の形成が実現されている。2020年日本セラミックス協会学術賞、2023年粉体粉末冶金協会研究功績賞。

国立研究開発法人産業技術総合研究所 

材料・化学領域 マルチマテリアル研究部門

センシング材料研究グループ 主任研究員 

崔 弼圭

大阪大学大学院で博士(工学)を取得後(2017年)、産業技術総合研究所にて産総研特別研究員(2017~2021年)を経て、2021年より同研究所の研究員として着任。現在、産業技術総合研究所 材料・化学領域 マルチマテリアル研究部門 センシング材料研究グループ 主任研究員。専門はセラミックスと応用化学で、特にガスセンサの材料開発および反応メカニズムの解明に取り組んでいる。近年は機械学習を用いたデータ解析によるガス識別・モニタリング技術の開発にも取り組んでおり、関連技術による多数の受賞歴あり。

【プログラム】

<基礎編:オンデマンド座学> 約150分 

 目次

プログラム 

 第1章 

ガスセンサの利活用 

 第2章 

ガスセンサの原理 

 第3章 

材料技術の進化

 第4章 

ガスセンサでどのようににおいを嗅ぎ分けるのか 

 第5章 

ガスセンサの用途と市場動向、将来展望 

<実践編:ハンズオン実習>

時間

プログラム 

13:00~13:10 

においセンサキットの紹介 

13:10~16:00

におい判定アプリの紹介|アプリ実習 

16:00~16:30

質疑応答、技術相談 

【受講料金

<基礎編:オンデマンド座学> 33,000円(税込)
<実践編:ハンズオン実習> 55,000円(税込) 

 ※ 実践編(ハンズオン実習)には基礎編(オンデマンド座学)も含まれます.。 

 ※ すでに基礎編を受講された方が、後日実践編へ参加される場合は、差額の22,000円(税込)でお申込みいただけます。

関連イベント情報

センシング技術について、2025年10月31日に開催される産総研中部センター「未来モビリティ材料」共創フェア(https://unit.aist.go.jp/chubu/tbf/2025/index.html)においてもご紹介いたします。


【受講に関するお問合せ】

(株)AIST Solutions プロデュース事業本部 テクノナレッジ⽀援チーム
   MDX-SupportTeam@aist-solutions.co.jp

テクノナレッジ講座とは

テクノナレッジ講座は、AIST Solutionsが提供するサービスの⼀つで、企業の研究者やエンジニアが各産業分野の先端的な知⾒や技術を短期間で学習し現場で実践的に活かせることを⽬的に実施しています。講師陣は国内最⼤級の国⽴研究機関である産業技術総合研究所の先鋭研究者が担当し、オンラインあるいはオンサイト(現地開催)にて、1〜3⽇間で開催します。

新しい技術を基礎から学びたい⽅から、学び直したい⽅、開発・製造現場において即戦⼒となるスキルを習得したい⽅まで、幅広い受講者を対象とした講座内容になっています。また、参加者同⼠や講師との意⾒交換やネットワーク形成ができる場も提供します。

受講後に、技術コンサルティングや共同研究など他のサービスもあわせてご利⽤頂くことで、基礎技術の開発から事業構築までの各ステップを⼀気通貫した伴⾛⽀援も可能です。

▼開催中のテクノナレッジ講座などの情報はコチラ

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