設立10年以内のヘルスケアベンチャーマップを公開 合計262社 & 52カテゴリー掲載
株式会社ポテックのプレスリリース

2025年のヘルスケアカオスマップを作成・公開いたしました。今回は合計262社および56の事業カテゴリーを取り扱っています。また、合わせて今回作成したカオスマップの特設サイトも公開中です。
https://chaosmap-in-healthcare.pottech.co.jp/

2025年のヘルスケア市場について
2025年のヘルスケアベンチャー市場は以下のようなトレンドが確認できます。
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AI活用の市場拡大
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リカバリーウェア市場の拡大
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健康経営市場の参入が引き続き活発
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治療用アプリ市場への参入が下火に
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オンライン診療市場への参入が活発化
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上場可能な医療機関形態である調剤薬局と訪問看護の事業拡大・ロールアップ
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VCからの資金調達を実施・公表する企業が減少
AI市場の拡大
生成AIの活用が、医療現場でも着実に進んでいます。特に現在最も進んでいる領域が、診療情報の音声書き起こしや、それらを元にしたカルテや報告書の自動作成の領域です。
Ubie, medimo, Voice Chart, Kanavoなどのプロダクトが着実に市場に浸透していっており、これらのプロダクトが医療現場におけるAI活用の第一歩となっています。
今後は、こうしたAIの活用が、医療現場の人手不足に対してどのように貢献するのかの、より国全体での議論が進んでいくことが期待されます。
リカバリーウェア市場の拡大
これまで、ヘルスケア市場の文脈ではスリープテックやメンタルヘルス領域のソリューションが注目され続けてきましたが、市場は拡大せず、撤退する企業が多く存在しました。
しかし、睡眠やメンタルヘルスの課題は、一般消費者からするとリカバリー市場という定義で確実に市場は拡大してきています。
際たる事例は、TENTIAL社によるbakuneシリーズは、多くの人が知るところではないでしょうか。また近年では、エムスリーとソニーの子会社であるサプリムもリカバリーウェア市場に参入し、ビジネス的成功を収めつつあります。
このように、様々な消費者ニーズを包含した、リカバリー市場は今後も継続拡大していくことが予想されています。
健康経営市場の参入が引き続き活発
企業向けの産業医の派遣・紹介や、従業員の健康管理・健診管理を行うSaaSツール、従業員のメンタルヘルスサポート事業は、引き続き新規参入が継続している市場です。
BtoB市場であるため、市場リスクが小さく安定的であることや、既存プレイヤーのサービス提供の質がまだまだ高くない状況に(産業医は契約していても企業に訪問していないケースが多々)あること、ヘルスケアソリューションの販路に困った企業が健康経営文脈で市場参入するケースがあること、まだまだ健康経営に投資余力のある企業が多く存在し開拓可能性のある市場であることなどが、参入・成長企業が多いことの背景にあると考えられます。
健康経営市場における上場企業も着実に増えている事も含めて、まだまだ成長余地のある市場の1つであることは今後数年は確実だと考えられます。
治療用アプリ市場への参入が下火に
CureApp社の上場や保険承認などの事例を中心に、2015年~2020年ごろは治療用アプリ開発に参入するベンチャー企業や大手企業は多く存在しました。
しかし、近年治療用アプリの市場及びソリューションとしての限界値が市場関係者の期待値よりも小さな場所にあるのではないかという空気が強くなってきています。
そのため、治療用アプリ開発に参入する企業は近年は減少傾向です。
オンライン診療市場への参入が活発化
2018年にオンライン診療が解禁されたものの、保険診療領域のオンライン診療はなかなか普及しない状況が続いていました。オンラインで診療を受けても、最後は調剤薬局で対面で薬を受け取らないといけなかったり、診療報酬点数上の取り扱いについて医療機関側にオンライン診療を推進するメリットがなかったことなどが、その理由として考えられます。
しかし、2021年ごろから自由診療領域のオンライン診療、特にAGA治療やピルのオンライン処方が活発になり始め、ここ1, 2年ではより診療科や疾患に特化したオンライン診療サービスが増え続けています。
ユーザー(患者)側が、オンライン診療という体験に慣れてきたこと、医療機関側がオンライン診療を活用した自由診療で収益を上げる事例が増えてきたことなどが、背景として考えられます。
既存の病院やクリニックの診療がオンライン診療化する事は引き続き考えにくい状況ですが、診療化・疾患・治療法などで特化したオンライン診療を展開するためのクリニックの新設が今後も継続していくことは、市場のトレンドとして不可逆的な流れだと考えられます。
上場可能な医療機関形態である調剤薬局と訪問看護の事業拡大・ロールアップ事例が増加
医療機関を直接経営することによって、医業収入をベースに企業経営を行う事例は増えてきています。手法としては、保険診療領域の病院やクリニックを法人としては経営できない為、MS法人や一般社団法人などの形態を利用する形が一般的だと言われています。
しかし、クリニック経営や病院経営は直接行うと、上場審査が降りないというリスクを背負います。クリニック経営については依然として、上場審査がおりたビジネスモデルが存在しません。
そのため、病院経営に関わる企業は、コンサルティングもしくは不動産オーナーになることによって、病院経営を改善する対価を得る手法を用いています。
一方で、調剤薬局や訪問看護ステーションの経営は上場企業でも可能なため、資金余力のある企業は調剤薬局や訪問看護事業者のロールアップ(買収)などを進めて、新たな業態展開を進めている事例が増えてきています。
VCからの資金調達を実施・公表する企業が減少
一時期のVCからの調達ブームは、他の業界と同様にヘルスケア領域でも完全に下降局面に差し掛かっています。VCからの資金調達を公表する企業数が明らかに減ってきていること、調達できていてもシリーズの変わらないエクステンションラウンドでの調達の事例が多いことなどがその証左です。
他の市場からすると医療・ヘルスケア市場は硬直性が高い市場であり、なかなかイノベーティブな市場創造は起こりにくいということが分かってきたのが、直近10年ほどの流れではないでしょうか。
企業にとっては無理にエクイティを活用した企業運営を行うよりも、クリニック経営やその他の医療機関経営、もしくは人材サービスなどに踏み込みことによって、手元資金もしくは借入による経営で十分に生き残れるという判断も増えてきています。
一方で、リスクマネーによる挑戦が、それなりに参入ベンチャーの数を支えてきていたのも事実です。資金調達の手法に今後も変化は継続していくでしょうが、変わらず多くの調整が必要であり、その挑戦の価値がある市場であることは、今後も変化はないでしょう。
株式会社ポテックでは、医療機関向けシステム開発事業及びセキュリティ対策事業を展開中
株式会社ポテックでは、上記のヘルスケアカオスマップを長年作成してきた、ヘルスケアビジネスに関するノウハウを活用して、様々な企業のヘルスケア領域における新規事業開発のご支援をさせて頂いております。
また、医療機関向けのシステム開発や、ISMSの新規取得・運用や、3省2ガイドライン対応などのセキュリティ対策事業も行っております。
上記ヘルスケアカオスマップや、2025年のヘルスケア市場のトレンドなどでご興味あることがあれば、会社HPのお問い合わせよりご連絡ください。