学術雑誌『Cosmetics』誌に研究成果が掲載
三菱商事ライフサイエンス株式会社のプレスリリース
三菱商事ライフサイエンス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:清水 幸史)は、クリニックF、早稲田大学との共同研究で、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を用いた中高年女性を対象とした臨床試験を実施し、NMNの経口摂取により髪の成長とキューティクルの改善および毛髪に関する主観的評価が改善されることを確認しました。この研究成果が学術雑誌Cosmetics誌に掲載されました※。
※ 本研究は基礎研究であり、NMNを含有する商品の効能効果を検証する目的のものではありません。
【発表のポイント】
・中高年女性15名を対象にNMNを経口摂取した際の毛髪への影響を検証しました。
・NMN摂取により、毛髪の成長促進、毛髪径の増加、キューティクルの改善が見られました。
・毛髪中の成分も、NMN摂取によりアミノ酸など毛髪の成長に関与する成分の増加が認められました。
・主観的評価(VAS)においても、毛髪の変化に関する体感が得られており、NMN摂取は毛髪に関するQOL改善に繋がる可能性が示されました。
【発表内容】
研究背景
日本が直面する超高齢社会においては健康寿命の延伸だけでなく、QOL向上の観点からも「若々しさ」を保つための対策が求められています。NMNは、加齢やストレスにより低下する体内のNAD⁺レベルを補うことで、エイジングケア※が期待される化合物として注目されています。
これまでNMNは美容への効果が報告されつつある一方、ヒトの毛髪に対する臨床研究はこれまで報告はありませんでした。本研究では、中高年女性の毛髪にNMN摂取が及ぼす影響を探索的に検討することを目的としました。
※ 年齢に応じたお手入れのことを指します。
方法
40~50代の健常な日本人女性を対象に一般募集し、毛髪が気になる人(薄毛が気になってきた、髪のハリ・ツヤがなくなってきたと感じている人)を優先的に15名選抜し、被験者全員が試験食品を摂取するオープン試験として実施しました。
試験食品は1日500㎎のNMNを12週間(2024年9月12日~12月5日)摂取しました。
毛髪の成長周期や毛幹径を評価するためにトリコスキャンおよび採取した毛髪のSEM観察、毛髪中の代謝物・ホルモン濃度を測定しました。また、VASアンケートにより毛髪の質感など主観的指標を評価しました。
成果概要
・NMN摂取後、毛髪直径の平均値が有意に増加(p<0.01)するなど、毛髪の伸長や太さの増加、キューティクルの改善など外観面で明確な変化が確認されました。
・毛髪中の含有成分でも、NMN摂取後にアミノ酸や、エネルギー代謝に関連する成分など、毛髪の成長に関連する成分の増加が確認されました。
・アンケート(主観評価)においても、NMN摂取後の毛髪の変化を体感している結果が得られました。
結論
NMN摂取が“すこやかな髪”の成長をサポートすることが期待される結果が示されました。
NMNの経口摂取により、中高年女性における毛髪の成長促進やキューティクルの改善を通じて、毛髪ケアおよびQOL向上に有用な戦略となる可能性が示唆されました※。
※ 本研究は基礎研究であり、NMNを含有する商品の効能効果を検証する目的のものではありません。
毛髪は見た目の年齢(若々しさ)だけでなく、自己肯定感やQOLなど心理面や社会的活動性にも影響を及ぼす可能性が示されています。
今後、当社では共同研究先と連携し、毛髪や美容分野でのさらなる検証を進め、人々のQOL向上に貢献するための研究に努めてまいります。
【発表雑誌】
雑誌名:Cosmetics 2025, 12(5), 204
論文タイトル:Oral Supplementation of Nicotinamide Mononucleotide (NMN) Improves Hair Quality and Subjective Perception of Hair Appearance in Middle-Aged Women.
著者:Shuichi Fukumoto, Maiko Ito, Hiroyo Kunitomo, Takeshi Hataoka, Takuya Chiba
Osamu Nureki, Takahiro Fujimoto
DOI番号:10.3390/cosmetics12050204